オリフィスとは
図1. オリフィス
オリフィスは、孔 (穴) 加工が施された薄い金属板です。
英語ではOrificeと表記され、配管内などに設置することで流体の流量や圧力を制御します。一般的オリフィスは「オリフィスプレート」とも呼ばれています。
オリフィスの使用用途
オリフィスは、産業用、工業用の配管においてさまざまな流量および圧力制御も場面で使用されています。
図2. 差圧式流量計
使用例として、「差圧式流量計」として配管中の流体の流量を計測するために、オリフィスが使用されています。オリフィス前後のフランジから流体を取り出し、その差圧を流量に換算し指示計に表示します。
図3. オリフィスの実際の使用例
このようにオリフィスを流量測定に使用する場合の規定は、JIS Z 8762-2 円形管路の絞り機構による流量測定方法 第2部: オリフィス板を参照してください。
ショックアブソーバでは、オリフィスの高い圧力損失を利用しています。オリフィス孔の穴径を小さくすると、流体の圧力損失を高くなりショックアブソーバの減衰力は大きくなります。逆に穴径を大きくすると、減衰力が小さくなります。
オリフィスの原理
図4. オリフィス下流の流量 (Q) の計算式
オリフィスの原理を簡単に説明すると、オリフィスを設置する配管内径より小さいオリフィス孔の内径が小さいため、ベルヌーイの定理に基づき、流体の圧力はオリフィスの上流側に比べ下流側は低くなります。
※ ベルヌーイの定理は、流体の流れにおけるエネルギー保存則です。
オリフィスの小さな孔を流体が通過すると、配管のオリフィス前後では圧力差が発生します。これは配管中では圧力エネルギー、速度エネルギー、位置エネルギーは常に一定であるというベルヌーイの法則によります。
オリフィスを通過した直後の流体は流速が速くなります、速度エネルギーは増加します。そして、位置エネルギーは同じだとすると速度エネルギーが増加した分だけ、圧力エネルギーは減少します。この違いをオリフィス前後で圧力差として測定することで、流体の流量を算出することができます。
また、流量や圧力を調整する目的でオリフィスを使用する場合に、図7のような式に基づきオリフィス下流の流量を求めることができます。
オリフィスの種類
オリフィスは、大きく分けて「同心円オリフィス」「偏心オリフィス」「四部円オリフィス」「制限オリフィス」の4種類があります。
1. 同心円オリフィス
一般的な差圧式流量計などの絞り流量計に使用されています。
2. 四分円オリフィス
配管内の流量が少なくレイノルズ数が小さい場合に使用します。レイノルズ数とは、慣性力と粘性力の比の無次元数です。
図5. レイノルズ数 (Re) の計算式
3. 偏心オリフィス
流体中にスラリー (固体の粒子と液体が混ざり合った流体) などが含まれている場合に使用します。配管下側にオリフィス孔を設置することで、スラリーが流れやすくなります。
4. 欠円オリフィス
偏心オリフィスと同様の使用方法です。
図6. オリフィスの種類
配管にオリフィスを設置する場合は、フランジでオリフィスを挟み込んで組立品として使用します。ショックアブソーバのように、あらかじめ製品に組み込まれて使用されていることもあります。
図7. オリフィスおよびフランジの組立品