オートサンプラとは
オートサンプラ (英: Auto Sampler) とは、自動サンプル調整装置のことです。
分析装置を使用して何らかの分析を行う場合には、手作業で試料導入を行う場合が一般的です。オートサンプラを使用することで試料を自動的に供給し分析することが可能です。
基本的には元素分析装置やクロマトグラフィーなどの分析装置と組み合わせて使用します。固体試料用や液体試料用など分析装置の導入系に合わせて、様々な種類のオートサンプラが開発されています。
オートサンプラの使用用途
オートサンプラは、様々な産業分野で使用されています。クロマトグラフィーや環境分析、医薬・食品分野などが代表的です。
液体クロマトグラフィー (LC) やガスクロマトグラフィー (GC) などの分析において、試料を自動的に注入するために使用されます。オートサンプラを使用することで、手動でサンプルを注入するよりも正確かつ迅速に分析を行うことが可能です。
環境分析では水質や大気中の汚染物質の濃度を測定するために使用されます。一定の間隔で連続測定が可能なため、プロセス系の連続制御プラントでは必須の機器となっています。
食品工業や医薬分野においても広く使用されています。医療分野では血液や尿の検査などに使用し、多くのサンプルを効率的に処理しています。薬品分野などでは原料や製品の成分分析に使用され、高精度多量分析の手段として重宝されています。
オートサンプラの原理
オートサンプラは種類や使用場面に応じて多種多様な製品が存在しており、それぞれ原理が異なります。
オートサンプラで分析する際は、まずは試料の準備をします。投入するサンプルは事前に試料皿やマイクロプレートなどの試料容器に入れておき、サンプル量や濃度に応じて注入量や注入回数を設定します。サンプル準備も自動で実施するオートサンプラも多く設計されます。
試料の準備が終わったら、試料容器内のサンプルをオートサンプラにセットして自動的に供給します。オートサンプラーによっては試料を自動的に混ぜたり、温度を制御したりする機能も備えている場合があります。
試料が供給されると、分析装置によって自動的に分析が実施されます。分析結果はオートサンプラーによってデータ処理され、PCやデータ収集装置に送信されたりします。
オートサンプラの種類
オートサンプラーには使用される分析装置やサンプルの種類によってさまざまな種類があります。以下はオートサンプラの種類の一部です。
1. ランダムアクセス型
様々な種類の試料をランダムに供給することができるタイプのオートサンプラーです。大量の試料を処理するために使用され、高い効率で処理することができます。分析の多様性が高い点が特徴です。
2. フロントアクセス型
フロントアクセス型は試料をフロントパネルから手動で投入するオートサンプラーです。試料が自動供給ではないため、サンプルセットと取り出しの手間が必要です。ただし、機器の取り扱いが簡単で、手動測定よりもサンプルセットが容易です。
フロントアクセス型は手動セットが必要なため、少量のサンプルを処理するために使用されます。高価な試薬を使用する場合や、微量サンプルの分析に適しています。その特性から、研究開発分野で使用される製品です。
3. キャリーフィル型
自動的にサンプルを吸引して試料を供給するタイプのオートサンプラーです。液体クロマトグラフィーなどで使用され、吸引部に適したサンプルがある場合に使用されます。
色素分析や蛍光スペクトル分析においては、正確な試料供給を実現するために使用されます。また、細胞培養分析においても試料供給の自動化を実現するために使用されます。
4. マイクロプレート
マイクロプレートを使用して、一度に複数のサンプルを処理するオートサンプラーです。高い処理速度が必要な分析に使用されます。
参考文献
https://www.chem-agilent.com/pdf/low_5991-1287JAJP.pdf
https://sub.osaka-soda.co.jp/HPLC/nanospace/nan_0004.html