距離センサー

距離センサーとは

距離センサー

距離センサーとは、距離を測定するためのセンサーです。

最近は、自動車や産業機械の自動運転、先進安全システムの検知物体との衝突の防止などに活用されています。距離センサーは、大きくLiDAR (光学) を用いたもの、ミリ波を用いたもの、超音波を用いたものの3種類です。

多くのセンサーは、TOF (英: Time of Flight) と呼ばれるセンサーの仕組みを活用しており、方式ごとの信号を発信して、測定物から反射された信号を受信した時間から距離を測定しています。

距離センサーの使用用途

距離センサーの使用用途は、方式によって異なります。

1. LiDAR方式

LiDAR方式は、分解能が高いために位置や形状の認識精度が高い方式です。飛行機やドローンなどに取り付けて地形の3D形状測定を行う自動運転で、前方物体の形状認識などで使用されます。

また、障害物との距離を自動搬送車に認識させる安全装置や製品の形状や寸法を認識して自動仕分けする装置にも利用されています。

2. ミリ波方式

ミリ波方式は、測定距離が比較的大きく、環境変化に強い方式です。ある程度限られた範囲内で人間など動くものを検出する人感センサーや、セキュリティ用途でも使用されています。

また、自動車の運転を支援するアダプティブクルーズコントロールや衝突被害軽減ブレーキにも使用されています。また、後方からの接近物を感知して高速道路での車線変更のサポートなどをおこなうブラインドスポットモニターもこの方式です。

3. 超音波方式

超音波方式は、低コストで導入できる方式です。ただし、検知距離は10m程度と他の方式と比較すると短くなります。

安価に導入できるので、人が近づくと電気を点けるような人感センサーやコンベア上の荷物の検出などに好適です。また、自動車の駐車時の障害物検知にも使用されています。

4. ステレオカメラ

ステレオカメラも画像から距離を算出できるため、距離センサーとして分類されることがあります。距離の測定に優れたミリ波方式の距離センサーと組み合わせ、距離と共に画像で判断する自動車の運転支援システムに搭載されることもあります。

距離センサーの原理

多くのセンサーは、TOF (英: Time of Flight) と呼ばれるセンサーの仕組みを活用しています。方式ごとの信号を発信して、測定物から反射された信号を受信した時間から距離を測定しています。

1. LiDAR方式

LiDAR方式では、レーザー光が使用され、可視光の他、紫外線および近赤外線が用いられます。パルス状信号のレーザー光を送信して、測定物から反射光を受信するまでの時間を検出して距離を算出しています。

分解能が高く、小さなものでも検出可能で、精度が±数mm程度と高精度なのが特徴です。一方で、光が透過するものの測定や、埃の舞う環境の測定には向いていません。また、光の状態が複雑に変化する場所での測定にも不向きです。

2. ミリ波方式

ミリ波方式は、ミリ波に該当する電磁波を用いた方式です。ミリ波には、パルス方式とFMCW方式があります。パルス方式は、パルス状の電波を送信し、測定物から反射された電波を受信するまでの時間を検出して距離を算出する方式です。

FMCW方式は周波数を時間とともに変化させた電波を送信し、送信信号と反射信号を干渉させて発生するビート周波数 (周波数差) から距離を算出します。ミリ波方式は遠くまで測定可能で、精度も±0.1mm程と優れており、明るい環境やほこりが舞う環境にも強いのが特徴です。

ただし、電波を吸収しやすい物質、具体的にはプラスチックや衣服、非金属物質などの素材には不向きです。

3. 超音波方式

超音波方式では、パルス状の超音波を送信し、測定物から反射された超音波を受信するまでの時間を検出して距離を算出しています。安価に導入でき、空間だけでなく、液中および固体中にも使用できるのがメリットです。

ただし、測定可能な距離が10m程度と短く、ある程度の大きさの対象物でなければ測定不能なのがデメリットです。また、音波のため音を吸収する物質には向いておらず、スポンジや発泡材の測定には向いていません。

4. ステレオカメラ

ステレオカメラでは、2つのカメラを用いて、測定物を撮影して、位置情報を取得しています。その2つのカメラの位置情報とカメラの設置距離から3点測量を行い、測定物までの距離を検出する仕組みです。

ステレオカメラは暗い道では画像データを収集しにくく、まぶしい逆光下では検出精度が落ちる弱点も併せ持ちます。

距離センサーのその他情報

身近な距離センサー活用事例

スマホ搭載されている距離センサーには、ToFセンサーが用いられています。測定した距離情報をスマホカメラのオートフォーカス機能の精度向上に利用しています。

これにより従来はピントを合わせることが難しかった環境下でも、被写体とカメラとの距離を高精度に算出できるようになり、オートフォーカス機能の性能が大きく向上しました。カメラと画像内のあらゆる箇所の距離を測定可能で、従来は2Dでしか捉えられなかったカメラ画像を3Dデータとして処理できるようになると期待されています。

応用すれば画像内の被写体認識精度が大きく向上するため、仮想現実 (VR技術) や拡張現実 (AR技術) 分野での適応に大きな期待が寄せられています。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/56/202/index.html
https://www.macnica.co.jp/business/maas/columns/134429/
https://news.mynavi.jp/article/20200320-smartphone_word/

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