パワーリレー

パワーリレーとはパワーリレー

パワーリレーとは、おおむね3Aより大きい電流を流すことが可能なリレー部品です。

リレーは有接点リレーと無接点リレーに大分できますが、パワーリレーは有接点リレーに当たります。一般的な制御リレーよりも大きな電流が流れることが想定されるため、大きな電流に耐えうるべく堅牢な構造です。

また、その特性から、異常な大電流が回路に流れた際の安全回路用のリレーとして組み込まれることもあります。

パワーリレーの使用用途

パワーリレーは産業において幅広く使用される部品の1つです。以下はパワーリレーの使用用途一例です。

  • 太陽光パネルとその給電装置の回路
  • 大きな動力を持つロボットの駆動用
  • エレベータおよび建設現場の重機などの駆動用
  • 電気自動車などの充電設備内
  • ハイブリッドカーのメイン回路

パワーリレーの原理

パワーリレーは端子、接点、電磁コイルなどで構成されます。

1. 端子

端子は配線と接続する部分です。パワーリレーの場合ははんだ着けによって配線を固定する場合も多いです。また、パワーリレーを端子台ユニットに取り付け、丸端子などで端末処理された配線を接続する場合もあります。

2. 接点

接点は電気の通り道となる駆動部品です。大電流用途となるほど接点が大きく、または数が多くなります。

電気抵抗を低減する目的で、接点には銀合金や金が使用されます。銀合金は電気抵抗も低いため、広く使用されます。金は銀合金よりも酸化しにくい特徴を有しますが、融点が低く高価なため微少負荷向けです。

パワーリレー内の接点には、可動接点と固定接点があります。固定接点はケーシングなどに堅牢に固定されます。可動接点は可動鉄片と共に駆動し、固定接点と接触することで電気を通電させます。

3. 電磁コイル

電磁コイルは、電磁力で可動鉄片を駆動させる部品です。可動鉄片には可動接点が付属しており、電磁コイルによる電磁力で固定接点と接触します。電磁コイルが非通電時にはばねによって接点同士が引き離され、または接触しています。

パワーリレーの種類

パワーリレーは、DC駆動リレーとAC駆動リレーに大分されます。

1. DC駆動パワーリレー

DC駆動は、コイルが直流電源で駆動するパワーリレーです。DC電源は誘導電圧に強く、低電圧でも動作が安定する特徴があります。リレーコイルには、ダイオードを接続して逆流防止とすることが多いです。

規格として、DC5V,12V,24Vなどがあり、使用用途によって使い分けします。伝送距離が長い場合や、制御盤でのリレー回路を組む場合は、電圧が高い24V電源が使用されます。本質安全防爆を考慮した回路にはDC12V,5V等が使われます。

2. AC駆動パワーリレー

AC駆動は、コイルが交流電源で駆動するパワーリレーです。商用電源は交流電源のため、直接使用することができます。DC仕様で必要なパワーサプライが不要であるというメリットがあります。

コイル電圧はAC100VやAC200Vが使用されます。AC400V制御回路は、離隔距離を保つことが難しいため使用されるのは稀です。

パワーリレーのその他情報

パワーリレーの故障

パワーリレーは電磁力で機械的に動作するため、寿命が存在します。動作回数の寿命は数十万回程度です。寿命を超えるか、過大なショックが加わると、以下のような故障が発生します。

1. コイル断線
パワーリレー内の電磁コイルが断線する故障です。コイルの断線によって全ての接点が動作しなくなります。接点の駆動音がしないため、比較的発見しやすい故障です。

2. 溶着
パワーリレーに過大な電流が流れた際に、接点が溶着して開放しなくなる故障です。大型機器の制御として使用している場合は、装置が停止しなくなるため非常に危険です。ONとOFFを切り替えながら、接点の導通を確認して診断します。

3. 接点の動作不良
リレー接点が擦り切れるまたは汚れるなどして電気的に導通しなくなる故障です。接点が短絡せずに開放したままとなります。溶着と同様に導通や電圧を確認して診断します。

4. コイルの短絡
電磁コイルのニスが剥がれるなどして、短絡してしまった場合に発生する故障です。電磁コイルへ通電した際に、制御用電源自体がトリップして判明します。

制御回路はパワーリレーを並列に複数つなげている場合が多いため、発見に時間を要す場合があります。

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