液化天然ガス

液化天然ガスとは

液化天然ガス (LNG) とは、天然ガスを液体状態に冷凍した製品です。

天然ガスは気体状態で採取されますが、液化することで体積を大幅に減少させ、密度を高めることが可能です。これにより、輸送や長期間の保存が容易になります。液化天然ガスは主にメタンを主成分とする天然ガスから作られ、エネルギー源として世界中で広く利用されています。

また、液化天然ガスは燃焼時に発生する二酸化炭素や窒素酸化物の排出量が、ガソリンや重油などと比較して少ない点も特徴です。したがって、環境に対する影響が相対的に軽減されることがあります。重油などから液化天然ガスへ燃料転換することで、地球温暖化ガスの排出量を削減することができます。

液化天然ガスの使用用途

液化天然ガスは様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 発電所

液化天然ガスは発電所で広く使用されています。ガスタービン発電やガスエンジン発電などでは液化天然ガスも主流な燃料の一つです。これらの発電技術は発電および排熱利用効率が高く、電力と熱源を安定して供給することが可能です。

また、液化天然ガスを使用した発電所は比較的迅速に立ち上がる点も特徴です。したがって、ピーク時の需要対応が容易であるという利点もあります。これにより、エネルギー供給の安定性が向上します。

2. 産業用燃料

液化天然ガスは鉄鋼業やセメント製造にも広く活用されます。鉄鋼業では高温での溶解や鋳造プロセスにおいて、液化天然ガスが燃料として使用されています。また、セメント製造プロセスでは高温のロータリーキルン炉などを使用しますが、その燃料として液化天然ガスを採用することも多いです。

3. 商業施設

液化天然ガスは商業施設の暖房や給湯に使用されることもあります。液化天然ガスは高い熱量を有しており、効率的な暖房・給湯が可能であるためです。一部の地域では都市ガスの代替としてLNGが利用されており、インフラの整備が進んでいます。

4. 運輸燃料

海洋船舶においても、環境規制が厳しくなる中で、液化天然ガスを船舶燃料として利用する動きが広がっています。これにより、大気汚染物質の排出量を削減することが可能です。バスやトラックに使用される場合もあり、ディーゼル燃料に代わる選択肢として注目されています。

液化天然ガスの原理

天然ガスはメタンやその他の炭化水素から成り立っており、常温では気体状態です。液化天然ガスはこれらを冷却し、液体化した製品です。

製造工程では、低温での圧力を制御しながら天然ガスを液体に変換します。液化により、ガスの体積を約600倍も減少させることが可能です。液化には液体窒素や液体メタンなど、極低温の液化ガスが使用されることがあります。

液化された天然ガスは特殊なタンク容器に保管され、輸送されます。主に断熱された二重壁のタンクが使用され、内側には液化ガスを保管し、外側には断熱材が配置されています。これにより、液化ガスの保持温度を一定に保つことが可能です。

液化された天然ガスを使用地点で再びガス状態に戻す場合、再ガス化設備を使用します。蒸発器や温度管理装置が一例であり、安全かつ効率的に再ガス化を行うことが可能です。

液化天然ガスの選び方

液化天然ガスの供給企業を選ぶ際には、以下の要素を考慮することが重要です。

1. 信頼性

サプライヤーが安定した液化天然ガスの供給を行ってきたことを確認します。過去の取引実績や信頼性を調べることが重要です。また、液化天然ガスは危険な物質でもあるため、取り扱いにおける安全性の記録や規制遵守状況を確認し、安全基準を満たしていることも評価します。

2. 供給能力

サプライヤーの液化天然ガス供給能力を評価し、需要に応じて確実に供給できることを確認します。 LNGの輸送インフラの整備状況や、需要地に適切に接続されていることを確認することが重要です。

3. コスト

液化天然ガスの価格は市場価格に影響されますが、競争力のある価格設定を行っているかを比較検討します。また、契約の柔軟性や長期的な安定性を確保するために、供給量や価格調整メカニズム、契約期間、違約時の条件などを明確にしておく必要があります。

液化石油ガス

液化石油ガスとは

液化石油ガス (LPG) とは、天然ガスや原油から生成される燃料ガスです。

主成分はプロパンとブタンで、これらは圧力をかけることで液化する性質を持っています。エネルギー源として広く利用されており、家庭での暖房・調理、さらには自動車の燃料としても使用されています。

液化石油ガスは小さな容器に多くのエネルギーを詰め込むことが可能です。そのため、コンパクトで効率的なエネルギー源として利用されています。比較的少ない容積で大量のエネルギーを輸送・保管することが可能です。

また、燃焼時に発生する二酸化炭素や窒素酸化物も比較的少ない点も特徴の一つです。環境に対する影響が比較的少ない燃料として活用されています。

液化石油ガスの使用用途

液化石油ガスは様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 一般家庭

液化石油ガスは主にガスコンロやガスオーブンの燃料として利用されます。プロパンやブタンを主成分とするLPGはすばやく安定した火力を提供し、料理の調理時間を短縮させることが可能です。特に地方ではLPGが一般的な調理用エネルギー源として利用されています。

2. 工業

液化石油ガスは多くの工業プロセスで使用されます。溶接作業や金属加工および熱処理などの工程での燃料として重宝されます。高温を要するプロセスや、安定した燃焼性能が必要な場面で特に有用です。

3. 農業

農業では、温室の暖房や畜舎の暖房に使用されます。特に冷涼な地域や寒冷地域では、作物の生育環境を維持するために重宝されます。これにより、季節や地域を問わずに商品価値の高い作物を生産することが可能です。

4. 自動車産業

一部の国や地域では、一般的に自動車や商用車両にLPGが使用されています。LPG車両はガソリン車両やディーゼル車両に比べて、環境への影響が少ないとされています。LPGの燃料効率が高く環境にも優しいため、特に都市部での交通渋滞時における大気汚染の低減に寄与しています。

液化石油ガスの原理

液化石油ガスは主にプロパン (C3H8) とブタン (C4H10) から構成されます。これらのガスは通常の気温と気圧では気体ですが、圧力をかけることで液化する性質を持っています。液化石油ガスの製造は、天然ガスや原油の精製から得られたガスを圧縮し、液化させる仕組みです。

天然ガスや原油の精製過程で得られたガスを圧縮します。圧縮後、高圧下で冷却することによって、ガスの温度が下がります。この過程でプロパンやブタンの気体は液体に変化し、液化石油ガスとして収集することが可能です。

液化石油ガスは特殊なタンクや容器に貯蔵されます。これらのタンクは耐圧性があり、液化ガスの圧力や温度を管理するための計器などが備わっています。貯蔵された液化石油ガスは、タンクローリーや船舶などで輸送されることが多いです。

使用時には、液化石油ガスは専用のガス供給装置から利用されます。適切な圧力でガスをバーナーや炉に供給し、点火・燃焼させることで熱エネルギーを得ることが可能です。

液化石油ガスの選び方

液化石油ガスのサプライヤーを選ぶ際は、以下の要素を考慮することが重要です。

1. 組成比

液化石油ガスの成分比率は、使用目的に応じて変更することができます。すすや汚れを少なくしたい場合は、ブタジエンなどの含有量が少ない製品を選定します。また、火力を向上させたい場合は、イソブタンの含有量が多い製品を選定することも可能です。

2. 供給形態

液化石油ガスの供給形態には様々な種類が存在します。ボンベやタンクローリーなど、使用量や設置場所に応じて選定することが可能です。需要に応じて適切な供給形態を選ぶ必要があります。

3. 価格

液化石油ガスは規格化された製品であり、品質は一定水準以上に保たれていることが多いです。同等の品質と供給の中で、経済的な選択肢を選ぶことが求められます。市場価格の変動や価格設定の透明性も考慮することが重要です。

4. 安全性

液化石油ガスは燃焼する物質のため、安全に取り扱うことが非常に重要です。使用する液化石油ガスは、地域の安全基準や規格に適合させる必要があります。安全性の確保と法令の遵守を考慮してサプライヤーを選定します。

学校内装

監修:帝国器材株式会社

学校内装とは

学校内装とは、学校などの教育施設における内部空間のデザインや設備を指します。

学校内装は、学習の質や児童生徒の集中力、快適さに直接影響を与えます。学校内装の考え方は、小中学校に限らず、高校・大学、学習塾なども含めて幅広く取り入れられています。安全かつ機能的で、過ごしやすく学びやすい環境整備が行われており、特に木材を取り入れた内装設計が多く行われています。

学校内装の使用用途

学校内装は、主に以下のような教育施設で取り入れられています。

  • 小中学校
  • 高等学校
  • 大学
  • 学習塾・予備校

学校のなかでも普通教室のみならず理科室などの特別教室や図書室、体育館、廊下、昇降口、トイレなどの内部空間も学校内装に含まれます。

学校内装は、それぞれの空間において、児童生徒が過ごしやすく学びやすい環境だけでなく、教職員が快適に過ごしながら円滑に業務ができる環境も提供します。また児童生徒と教職員のコミュニケーションを促進し、安心感を与えます。さらに運動会などの特別なイベントにも対応できるよう柔軟性のある設計が行われます。

学校教育には、他者や環境との社会的な関わりの中で精神の成長を促すことや、基本的な生活習慣の確立と、社会生活を送る上での規範意識を身に付けさせる役割もあります。このような学習活動を支える空間として、児童生徒同士の交流を生む空間や豊かな芸術空間などの構築が必要とされる場合もあります。

また、運動を通じて体力を養い、身体の成長を促すことも学校教育の目的の一つです。日常的な体力づくりを行うための体育館などの運動施設や、食育を充実させるための空間なども学校内装における役割に含まれます。

学校内装の原理

1. 概要

学校内装は、児童生徒の学習・生活の場としてふさわしい環境整備を行うことが重要です。安全性や機能性、意匠性などのバランスが求められる他、近年では多様な学習形態への対応が必要となっています。

これらの環境を実現するために、教室などの広さ、空気質、温湿度、光、音などについて、配慮・工夫が必要とされています。安全性の高い材料の選択と詳細設計、空間ごとに適した色彩や照明の計画、機能的な製品の導入、家具の配置などを工夫することで、学校内装を最適化することができます。

2. 学校内装における木材利用の推進

文部科学省は、昭和60年に各都道府県教育委員会教育長宛に「学校施設における木材使用の促進について」という通知文を発出して以来、教育施設への木材利用を推進しており、学校の木造化や、学校内装における木材の利用が進められています。

木材は、温かみのある意匠性を持つと共に、室内の湿度を調整し、ブルーライトなどの目に負担をかける光を吸収するなど、室内環境を快適に保つ機能があります。特に、内装材として木材を使用することにより、風合いと快適性に優れた教育環境づくりが可能です。木材のなかでも国産材・地域材を活用することで、脱炭素化や森林の保全、地域の文化の継承、地域の活性化などにも繋がります。

学校内装の種類

1. 概要

学校内装には、教室や廊下、昇降口、図書室、体育館、トイレなど、学校内のさまざまな空間の内装が含まれます。児童生徒のための空間だけでなく、職員室など教員のための環境も学校内装の一部です。

学校内装は、それぞれの空間の用途に応じた機能性や意匠性が求められるため、様々な内装材が使用されます。普通教室に用いられる代表的な内装材は、木材や掲示ボード(クロス)、長尺シートなどです。

特別教室には、それぞれの用途に合わせた特殊な内装材が使用される場合があります。例えば、理科室には耐薬品性に優れた床材、音楽室や図書室には吸音性に優れた壁材・天井材などが使用されます。玄関やホールなど、特に高い意匠性が求められる場合には、天井や壁に木製ルーバーなども使用される場合があります。

2. 建具・パーテーション (学校間仕切り) ・防球格子戸

廊下と教室や各室を仕切る、建具・パーテーションも学校内装として用いられます。木材利用推進の観点から、木製建具・木製パーテーションの利用も進んでいます。木製パーテーションは、設計上の工夫によっては、ロッカー等の家具と一体化させることも可能です。また、木製であっても含浸加工による不燃処理を施したり、突板加工によって不燃仕様にしたりすることもできます

スギ・ヒノキなどの国産材・地域材を利用することで、地球環境保全や林業の活性化、それぞれの地域産業の活性化、地域環境の保護等に貢献します。

体育館などに窓を設ける際に、ボールによる破損を防ぐために防球格子戸が設けられる場合があります。国産材・地域材を利用した木製防球格子戸もあり、木の温かみを感じさせながらも安全性と耐久性に優れたものがあります。

主に国産スギ材が使用されますが、スギ材はしなやかさ優れており、衝突したときの衝撃を和らげることが可能です。また木製防球格子戸は、体育館が避難所として使用されている際も、生活の場として温かみある空間を提供できることが特長です。

本記事は学校内装を提供する帝国器材株式会社様に監修を頂きました。

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ICカードリーダライタ

ICカードリーダライタとは

ICカードリーダライタとは、ICカード (集積回路 (Integrated Circuit 以下IC) を組み込んだカード) と通信し読み取ったり書き込んだりする装置です。

ICカードは情報を電子的に記録・保持するためのカードです。銀行のキャッシュカードや、Suicaカードに代表される交通系カードがその一例です。ICカードリーダライタはこれらのカードに記録された情報を読み取ったり、新しい情報を書き込んだりすることができます。

ICカードは情報を暗号化して保持することが可能であり、情報セキュリティが高く、ICカードリーダライタを使用することで、ICカードとの認証を行ったり、暗号化通信をすることでセキュリティを強化することができます。

ICカードリーダライタの使用用途

ICカードリーダライタは様々な場面で使用されます。以下はその一例です。

1. 金融業

ICカードリーダライタは銀行が顧客に発行するキャッシュカードの管理に利用されています。顧客の口座情報や残高および取引履歴を読み取りつつ、更新された情報を書き込むことが可能です。また、カードの紛失時にもセキュリティ性能が高い点が特徴です。

2. 交通機関

ICカードリーダライタは公共交通機関で利用されるICカードの発行・チャージ・利用履歴の管理に使用されます。利用者はカードに事前にチャージした金額で、電車やバスなどを利用することが可能です。ICカードリーダライタを使ってカードにチャージしたり、利用履歴を確認したりすることができます。

3. 医療機関

医療機関でICカードリーダライタを利用することで、患者の身体情報や治療履歴を記録・管理することが可能です。例えば、患者が通院時にICカードを使用して、診察や検査の結果を記録したり、処方箋を発行したりすることができます。これにより、医療情報の精度を高め、効率的な医療サービスの提供が可能です。

4. オフィス

オフィスの入退室管理において、ICカードリーダライタは重要な役割を果たします。ICカードを使用して、従業員や訪問者のアクセスを管理することが可能です。ICカードリーダライタはカードによって個人を認証し、アクセス許可を与えるかどうかを決定します。

ICカードリーダライタの原理

ICカードは内部にマイクロチップがあり、そのチップに情報が電子的に記録されています。ICカードリーダライタはこのマイクロチップに接触または非接触で通信し、情報を読み取ったり書き込んだりする仕組みです。

接触方式では、ICカードリーダライタの接触ピンによってICカードの接触面にある端子に直接接続します。ここで電子的な信号のやり取りが行われ、情報の読み書きが行われます。非接触方式では、ICカードに近づけることで電磁波やRFID (Radio Frequency Identification) 技術を利用してカード内の情報を読み取ります。

ICカードリーダライタとICカードの間でのデータ通信には、特定の通信プロトコルが使用されています。これにより、正確で安全な情報のやり取りが可能となります。一般的なプロトコルにはISO/IEC 7816やISO/IEC 14443などがあります。

ICカードリーダライタの選び方

ICカードリーダライタを選ぶ際は、以下の要素を考慮します。

1. インターフェイス

ICカードリーダライタには、接続するコンピュータ (PC、タブレット等) とのインターフェイスとして複数の種類があります。USB接続が最も一般的に利用されることが多いですが、他にもBluetooth方式、シリアル接続やイーサネット接続などがあり、接続する対象や使用環境に応じて適切なインターフェイスを選ぶ必要があります。

2. 通信規格

ICカードの種類によって通信規格が異なります。ISO/IEC 7816はICカード表面に接続端子がある接触式ICカードの通信規格であり、主に金融業界で使用されます。ISO/IEC 14443はICカード表面に接続端子を持たない、非接触方式のカードの通信規格であり、また、ISO/IEC 18092に区分されるNFC (Near Field Communication) に対応したICカードリーダライタは交通系ICカードなどでも使用されています。マイナンバーカードは接触式のISO/IEC 7816と非接触式のISO/IEC 14443の両方に対応したICカードになります。

3. 通信速度

ICカードリーダライタの通信速度は、データの読み書きを行う際の性能を示します。特に大量のデータを処理する場合や、高速な応答が求められる場面では高速な通信速度が重要です。通信速度はリーダライタの仕様書に記載されており、使用する環境や目的に応じて適切な速度を選ぶ必要があります。

ダイシングテープ

ダイシングテープとは

ダイシングテープとは、半導体ウェハーの裏面に貼られる粘着テープです。

半導体ウェハーを個々のチップ (ダイ) に分割する作業をダイシング工程と呼ばれます。半導体ウェハーを製品として利用可能なダイに分割するために欠かせないものであり、精密さと安定性が求められる重要な作業です。ダイシングテープはこの工程においてウェハーやダイを固定するためのテープです。

ダイシングテープはウェハーの裏面にしっかりと貼り付けられ、切削工程中にダイを確実に支持します。これにより、ダイがずれることなく正確に切断され、品質の高い製品が得られます。また、テープがダイの位置を安定させるため、切削作業が正確に進行し、生産性が向上します。

ダイシングテープの使用用途

ダイシングテープは主に半導体業界で使用されます。以下はその用途の一例です。

1. MEMS製造

MEMSとはMicro Electro Mechanical Systemsの略であり、小型の電子機械を指します。MEMSデバイスの製造工程では、微細な構造を持つウェハーを切断する際にダイシングテープが使用されます。これにより、微細な構造が損傷することなく製品化することが可能です。

2. センサー製造

センサーは様々な物理量や環境パラメータを検出するためのデバイスです。センサーの製造においてもダイシングテープが使用されます。加速度センサーやジャイロスコープなどを製造する際に、ウェハーを正確に切断するために貼り付けることが多いです。

3. 光学デバイス製造

光学デバイスは光を利用して情報を処理および検出するためのデバイスです。特に光学デバイスでは、ウェハーが非常に薄く、脆弱な場合があります。ダイシングテープはこれらの薄膜を保護し、加工中の損傷を防ぎます。

ダイシングテープの原理

ダイシングテープにはポリオレフィンやポリエステルなどのポリマー系フィルムが基材として使用されます。これにより、テープが柔軟性を持ち、ウェハーの曲面にも適応することが可能です。

基材の一面には、ウェハーをしっかりと固定するための粘着剤が塗布されています。この粘着剤はアクリル系やシリコーン系のものが使われ、ウェハーの表面と強固に接着します。粘着剤の特性は接着の強さや耐熱性などが重要な要素です。
粘着剤はUV剥離型と感圧型の2種類に大別されます。

粘着剤の上には保護目的で一時的に貼られるリリースライナーがあり、粘着剤が使用前に外部からの汚染を受けることなく保護する仕組みです。リリースライナーは通常はフィルムで構成されており、簡単に剥がすことができます。

ダイシングテープにはウェハーを安定して固定するために必要な強力な粘着力が求められます。しかし、同時に加工後に簡単に取り外せることも重要です。このバランスを保つことが製品の品質を保つために不可欠です。

ダイシングテープの選び方

ダイシングテープを選ぶ際は、以下の要素を考慮することが重要です。

1. サイズ

ダイシングテープの選定において重要なのは、ウェハーのサイズに合った適切なテープの寸法です。ウェハーの直径や形状に合わせて、適切な幅と長さを選ぶ必要があります。一般にテープの幅はウェハーの直径よりも若干大きめに選ぶことが推奨されます。

2. 粘着力

粘着剤種類はUV剥離型粘着剤と感圧型粘着剤に大別され、粘着力はダイシングテープのウェハーに対する接着の強さを示します。適切な粘着力を選ぶことでウェハーを安定して保持し、切削中にズレが生じるのを防ぐことが可能です。粘着力は製品の仕様によって異なり、通常はN/mmなどの単位で表示されることが多いです。

3. 基材材質

基材フィルムの材質はテープの柔軟性や耐熱性、化学的安定性に影響を与えます。ウェハーの特性や製造プロセスの要件に応じて選定します。ポリオレフィンやポリエステルが使用されることが多いです。

PETは柔軟性があり、一般的な環境下での使用に適しています。化学的安定性にも優れている点が特徴です。ポリイミドは高温耐性に優れ、薄膜でありながら高強度な基材として販売されています。

4. リリースライナー材質

リリースライナーにはシリコーン系剥離処理フィルムが多く使用されます。

Material Characterization

What Is Material Characterization?

Material Characterization measures and evaluates the physical, chemical, and mechanical properties and performance of materials.

Properties such as strength, hardness, durability, thermal conductivity, electrical conductivity, and chemical stability of materials are tested. This provides a quantitative understanding of how a material will behave under certain conditions. Test results are used for material design, selection, and durability prediction.

Material Characterization allows objective evaluation of material properties, improving product quality control and quality assurance and reducing the risk of defective products. Additionally, the behavior of materials under specific environmental conditions can be evaluated, enabling the selection of the most appropriate material.

Uses of Material Characterization

Material Characterization is used in a variety of applications. The following are some examples:

1. Research Institutes

Research institutes perform Material Characterization to characterize new materials and determine how their properties affect material design and application. This leads to the development of new high-strength materials, energy-efficient materials, and environmentally friendly materials, among others. A better understanding of the physical and chemical properties of materials is possible.

2. Automotive Industry

Material Characterization of automotive parts and bodies evaluates their safety in collisions and durability in long-term use. Material strength, fatigue properties, durability, and corrosion resistance are important. Additionally, material property tests are conducted when developing new lightweight materials yet maintain strength and safety, as vehicle bodies are required to be lighter following stricter fuel consumption and environmental regulations.

3. Aerospace Industry

Materials for aircraft engine parts and airframe parts must withstand high temperatures and extreme environmental conditions. Material Characterization can evaluate the strength and heat resistance of specific materials at elevated temperatures.

Additionally, aircraft require lightweight yet high-strength materials to improve fuel efficiency and flight performance. Through Material Characterization, materials such as composite materials and titanium alloys that have both of these characteristics can be evaluated.

4. Construction Industry

This test is performed to evaluate the strength and fire resistance of concrete, reinforcing steel, wood, and other materials. This is essential to meet building and safety standards.

Principle of Material Characterization

Material Characterization evaluates the physical, chemical, and mechanical properties of materials. The first step is to prepare the specimen to be tested. The specimen is machined to a specific shape and size and adjusted to fit the test equipment.

The necessary testing equipment is then prepared to perform the various tests. These testing machines are designed to apply precise loads to the test specimens. The loads defined by these testing machines are applied to the specimen.

During the test, physical quantities such as loads and displacements or stresses in the specimen are measured. This allows the behavior and properties of the specimen to be quantified. The measured data are recorded for later analysis and comparison.

The data obtained from the test results are used for characterization and analysis. This is often used to determine the performance and applicability of the material. Through the above procedures, material characterization testing provides reliable data for various industrial and research fields, contributing to the design of materials and the development of new technologies.

Types of Material Characterization

There are many different types of Material Characterization. The following are some examples:

1. Impact Testing

Impact testing is used to evaluate how a material behaves under impact or sudden loading. It is performed to measure the toughness of a material and to evaluate its fracture behavior and energy absorption, especially when subjected to sudden loading. Charpy impact testing is an example.

2. Fatigue Testing

Fatigue testing is used to evaluate how a material will hold up under repeated loading. The fatigue failure or failure behavior caused by the repeated loading of a material over a long period can be verified. The fatigue life is evaluated by the number of cycles and stress amplitude by applying a specified cyclic load to the specimen.

3. Thermophysical Property Testing

Thermophysical property tests are used to determine the thermal conductivity and coefficient of thermal expansion of materials. These are important factors in determining the performance of a material under design and usage conditions.

4. Electrical and Magnetic Property Tests

Electrical and magnetic property tests are used to measure the electrical conductivity, magnetic properties, and insulation properties of materials. These properties directly affect the design and performance of electronic devices. Electrical resistance, capacitance, and magnetic permeability can be determined.

ADAS Testing

What Is ADAS Testing?

ADAS testing is a service that conducts developmental testing of advanced driver-assistance systems (ADAS), which are automotive driver-assistance systems.

ADAS includes various automotive systems that support driving operations to enhance safety and comfort for drivers and pedestrians. While the driver remains in control, vehicle systems can be partially automated, adapted, and enhanced to minimize human error and reduce traffic accidents. ADAS testing provides an environment for testing such technologies.

Uses of ADAS Testing

ADAS testing provides simulation and testing solutions for developing automotive ADAS systems.

ADAS is a driver assistance system that uses data from various sensor technologies to understand the conditions around the vehicle. ADAS systems include testing of individual hardware functions such as millimeter-wave sensors, laser radar, and cameras, testing of the on-board ECUs connected to these sensors, testing of the entire system in a virtual space, and testing of actual vehicles on a test course or similar environment. Various tests are conducted to simulate situations that may occur in a real traffic environment.

Principle of ADAS Testing

1. Technological Elements of ADAS

The realization of ADAS requires sensor technology for the external world, an onboard ECU that controls the vehicle body and other components, a fast and accurate onboard network, and an onboard locator. The main components include the following:

  • Millimeter-wave radar: measures the relative distance to surrounding objects
  • Laser radar (LiDAR): analyzes the distance to distant objects and the nature of those objects
  • On-board cameras
  • Position measurement sensors
  • ADAS locator: Positioning system combining satellite positioning, gyro sensors, and vehicle speed measurement
  • In-vehicle ECU (electronic control unit)
  • In-vehicle networks
  • Ultrasonic sensors (sonar)

2. ADAS Functions

Typical ADAS functions realized from the above-mentioned ADAS technology elements are as follows:

  • Adaptive cruise control system (ACC)
  • Forward collision warning (FCW)
  • Collision damage mitigation braking system (AEBS: advanced emergency braking system)
  • Night vision/pedestrian detection (NV/PD: night vision/pedestrian detection)
  • Traffic sign recognition (TSR)
  • Lane departure warning (LDW: lane departure warning)
  • Lane keeping assist system (LKAS)
  • Blind-spot monitoring (BSM)
  • Rear cross traffic alert (RCTA)
  • Driver monitoring system (DMS)
  • Automatic headlamp light axis adjustment (AFS: adaptive front lighting system)
  • Advanced parking assist (APA)

3. ADAS Testing

There are three main types of ADAS testing environments, depending on the development stage:

  • Sensor simulation on a program in a virtual space
  • Driving tests using miniature models, etc.
  • Driving tests conducted on a test course or public roads by incorporating the necessary equipment in an actual vehicle

ADAS includes various sensor technologies used for each function to recognize the outside world, judgment technologies such as image recognition technology, and vehicle operation technologies such as steering wheel operation. Tests are conducted for each of these functions in the early stages of development. In the later stages of development, complex scenarios using multiple vehicles and soft targets must be created and verified in actual vehicles. A variety of weather environments are assumed, as well as pedestrians, vehicles, and other soft targets. In some cases, driving control robots are deployed to reproduce the driver’s operation with a high degree of accuracy.

Types of ADAS Tests

There are various types of ADAS tests, some of which are listed below:

1. Measuring the Distance to a Stopped Vehicle

AEBS (collision damage mitigation braking system) and FCW (forward collision warning) are important systems for avoiding accidents. These systems need to correctly monitor the road conditions ahead and the condition of the vehicle.

To test these functions, a system that can measure the distance to obstacles in real-time with an accuracy of ±2 cm using GPS is provided.

2. Indoor Test Systems

Indoor test systems are systems that simulate real-world environments with high accuracy based on actual road driving data. The system can reproduce various problematic scenes and enable evaluation on a table. Sometimes, an environment that combines the real and virtual is used.

重合装置

監修:新明和工業株式会社

重合装置とは

重合装置とは、モノマーを重合してポリマーを生成するための装置です。

モノマーは比較的小さく単純な分子を指します。複数のモノマー分子が化学反応によって長鎖の高分子化合物であるポリマーを形成する化学反応を重合と呼びます。通常、重合は特定の条件下で、触媒や反応条件を調整しながら実行されます。

重合装置を使用することで、反応条件を精密に制御できるため、理想的な反応条件下でポリマーを生成することが可能です。これにより、反応の収率や生成物の品質が向上します。また、自動化された重合装置を使用することで、大量のポリマーを効率的に生産することができます。

重合装置の使用用途

重合装置は化学工業において必要不可欠です。以下はその使用用途の一例です。

1. プラスチック

プラスチックは重合装置を使用して合成される合成樹脂です。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどがあります。プラスチックは広範な用途に使用され、包装材料や建設材料または自動車部品など、生活に密接に関わる化学製品の一つです。

2. ゴム

合成ゴムは重合装置でモノマーからポリマー化して合成されます。合成ゴムは特定の物性を持たせることができ、重合装置で耐摩耗性や耐熱性などの特性を調整して製品を製造します。タイヤやシール材またはスポーツ用品などの製造に使用され、産業や日常生活に不可欠です。

3. 合成繊維

合成繊維は重合装置でモノマーを重合して作られる人工的な繊維です。ポリエステルやナイロンなどの合成繊維は、耐久性や吸湿性などの特性を調整しながら製造されます。衣料品、や家庭用品などに広く使用されています。

合成繊維は天然繊維に比べて製品の特性をコントロールしやすい点が特徴です。したがって、日常品や産業機器において様々な応用が可能です。

4. 塗料

樹脂塗料には主にポリマーが使用され、重合反応を調整することで塗料の特性を調整しながら製造されます。一般的な樹脂塗料にはアクリル樹脂塗料やウレタン樹脂塗料などがあります。これらに顔料や溶剤などを混ぜ合わせることで、塗料として販売されています。

重合装置の原理

重合装置の原理は、複数のモノマー分子を化学結合させてポリマーを生成することです。反応槽や加熱・冷却装置、撹拌装置などによって構成されます。

反応槽は重合装置において化学反応が行われる主要な容器です。化学的に安定で耐久性のある材料で作られており、ステンレス鋼やガラス強化プラスチックなどがその一例です。反応槽の材質は、化学反応の性質( 酸性、アルカリ性、高温、高圧など) に応じて選定されます。

加熱・冷却装置は反応槽内の温度を制御し、反応条件を最適化するための装置です。電気加熱装置や蒸気加熱装置によって加熱し、冷却水や冷却媒体を使用して冷却します。これらを制御装置によって制御し、設定温度に反応槽内の温度を維持する役割を果たします。

撹拌装置は反応槽内の反応物質を均一に混合し、反応速度を向上させるための装置です。機械的なシャフトに取り付けられたブレードや羽根、あるいは超音波振動子などがあります。反応物質を均一に混合し、触媒や添加剤を分散させる役割を果たします。

重合装置の選び方

重合装置を選ぶ際は、以下の要素を考慮することが重要です。

1. 反応の種類・条件

どのような種類の重合反応を行うのかを明確にします。例えば、自由基重合やイオン重合、リビング重合などの種類があります。その後、反応の温度や圧力および反応物質の濃度などの条件を確認し、それに適した装置を選びます。

2. 生産量

どの程度のスケールで反応を行うのかを検討します。 実験室規模での重合反応と産業規模での重合反応では、装置のサイズが異なります。日産量や年間生産量の目標に応じて、装置のサイズと能力を選定します。

3. 反応物質の種類

使用するモノマーや触媒の種類や特性を考慮し、適した装置を選びます。特に酸・アルカリ性の物質を取り扱う場合は、ステンレス鋼や硬質ポリマーなどの容器が必要となる事が多いです。生成するポリマーの粘度や物理的・化学的特性などを予測し、製品要件に合致する装置を選定します。

本記事は重合装置を製造・販売する新明和工業株式会社様に監修を頂きました。

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防鳥ワイヤー

監修:株式会社アルティマ

防鳥ワイヤーとは

防鳥ワイヤーとは、鳥類を止まりにくくすることにより鳥害を防ぐワイヤーです。

近年、鳥類の鳴き声による騒音・糞害・建物での巣づくりなどの鳥害が社会問題になっていますが、野鳥保護の観点から人間と鳥の共生を考えた鳥害対策を考えることが重要です。

鳥を傷つけない主な鳥害対策としては、剣山型の防鳥ピン、防鳥ネット、防鳥ワイヤーなどがあり、いずれも物理的に着地・侵入を防いで鳥を寄せ付けない方法です。

剣山型の防鳥ピンは先端が尖っていないピンを多数配置し、鳥類を止まりにくくし防鳥するタイプです。取り付けやすさが特徴ですが、ピンにある程度の長さが必要であり人通りのある場所に配置しにくいことや、多少美観を損なう心配があります。

防鳥ネットは鳥類の侵入を防ぐ方法で、建物の開口部や屋根など広い部分への設置に有効で、ネットの強度や耐久性、美観のバランスをとることが求められます。丈夫なネットを隙間なく張ることが出来れば、防鳥効果が高い方法です。

防鳥ワイヤーは鳥が止まりにくくなる様にワイヤーを張る方法ですが、美観を損ねず広範囲にコストを抑えながら設置可能で耐久性があるといった特徴があります。防鳥ワイヤーは、鳥が住み着いていない初期段階に効果的な鳥害対策で、鳥害を未然に防ぐ手段として使用されることも多くあります。

防鳥ワイヤーの使用用途                    

防鳥ワイヤーは様々な場所で使用されています。以下はその使用用途の一例です。

1. マンションや住宅

鳥類が居心地の良い場所を探す際には構造物の縁に止まって、安全性などを確認します。その鳥類の習性を利用し、マンションや住宅の屋根・屋上・ベランダの手すりなどの構造物の縁に防鳥ワイヤーを設置した例が多くあります。防鳥ワイヤーは、新築物件の施工段階から鳩の被害を未然に防ぐ方法として取り入れられることも多くあります。

2. 駅舎

防鳥ワイヤーを駅舎に設置して鳥害を防いでいる例も多数あります。駅舎のH鋼に防鳥ワイヤーを張るための支柱をクランプ固定し、フランジ部とH鋼を同色に塗装することにより美観にも配慮しながら鳥害対策している例もあります。

3. 橋げた

歩道橋の橋げたの様な振動のある場所にも、防鳥ワイヤーは設置されています。橋げたのH鋼やL鋼に防鳥ワイヤーの支柱を固定するクランプは、振動に耐えられる様に強力な締め付けが可能なものを使用しています。

防鳥ワイヤーの原理

以下に防鳥ワイヤーの主要な構造と原理を記載します。

1. ワイヤー

一般的に耐食性のあるステンレススチールワイヤーが用いられ、耐久性を高める為にナイロンコートしたタイプもあります。鳥類が止まりにくい細さで且つ耐久性が問題のないワイヤー径を、防鳥したい鳥の種類に合わせて選択する必要があります。ワイヤーは1段張りより2段張りにする方が防鳥効果は高く、複数のワイヤーを奥行方向に段違いに張って更に防鳥効果を高めた例もあります。

2. 支柱・固定具

ワイヤーを張る為に支柱を立てます。設置する場所の形状に応じてクランプなど支柱を固定するための金具を使用しますが、この金具は支柱と一体型のものもあります。平面でクランプなどが使用出来ない場合にはビス固定したり、パイプに固定する場合にはバンドタイプのものを使用する方法もあります。

3. スプリング

ワイヤーを適切なテンションで張る為に、ワイヤーの端にスプリングを配置します。スプリングはワイヤーの取り付けや交換を容易にし、防鳥ワイヤーを設置した構造物を清掃する場合に一時的にワイヤーを取り外すといったことも可能にします。

その他 

以下に、防鳥ワイヤーを設置する際に考慮すべき項目を記載します。

1. 鳥害対策としての適切性

防鳥ワイヤーは、鳥が住み着いておらず鳥害があっても軽微な初期段階の鳥害対策として有効です。従って、鳥の滞在期間が長く糞が大量に落ちているなど鳥害が進んでいる段階では、防鳥ネットなどの他の手段で防鳥する必要があります。

2. 専門業者の利用   

防鳥ワイヤーを設置する際は、何処に張るか、適切なワイヤー径・支柱・スプリング間隔、何段張りにするか、支柱の固定法など検討すべき項目が複数あります。

一軒家などのベランダに防鳥ワイヤーを設置する際には、防鳥ワイヤーと支柱がセットになったものが販売されていますので個人でも設置は可能です。

より効果的な鳥害対策をしたい場合や、公共施設など広い範囲に設置したい場合には、専門業者に相談してみるのも良いでしょう。

本記事は防鳥ワイヤーを製造・販売する株式会社アルティマ様に監修を頂きました。

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抜き加工

監修:ユメックス株式会社

抜き加工とは

抜き加工とは、プレス機や裁断機を使用して、対象となる素材を金型やトムソン型など様々な型を用いて打ち抜く(プレスする)加工です。

プレス機械

図1. プレス機械

抜き加工の使用用途

抜き加工は、様々な産業分野において部品・素材の加工に使用されています。複雑な形状も形にすることが可能です。各種絶縁フィルム、絶縁紙、カバー、シール (ラベル) 、シールド材、スペーサー、ガスケット、パッキン、フィルターなど、多種多様の製品が製造されています。

使用されている産業分野には下記のようなものがあります。

  • 電子機器
  • 医療機器
  • 電源
  • 蓄電池
  • 発電機
  • 車載機器
  • 農業機器
  • 農業資材
  • 建築・建材分野
  • ホビー各種

抜き加工の原理

1. 抜き加工に使用される素材

抜き加工に使用される素材には次のようなものがあります。

  • 各種プラスチックフィルムまたはシート材 (PC、PP、PET、PBT、アラミド繊維、ポリイミド、アクリル等)
  • 各種金属箔 (アルミ箔、銅箔、SUS、特殊シールド箔等)
  • 各種粘着テープ、両面テープ
  • 防水・防塵シート
  • 放熱・熱対策材
  • ゴム、スポンジ
  • 金属: 鉄 (SPCC・冷間薄鋼板など) 、SUS材、銅・黄銅材、アルミニウム材、真鍮材
  • カーボン
  • ガラス繊維
  • 紙、パルプ、木材

2. 抜き加工の概要

抜き加工は、プレス機、裁断機を使用し材料のシート材・板材を抜く加工方法です。加工方法には大きく分けて2つの方法があります。

  1. 抜き型と平らな土台の間で材料を挟みプレスして抜く方法
  2. 抜きが上下に存在し材料を挟みプレスして抜く方法

1.の土台を用いて抜く方法では、素材を抜ききってしまう方法フルカットと2層構造以上の素材をカットしたい層だけをカットするハーフカットが可能です。その際、下記のような型が使用されます。

  • トムソン型 (ビク型) :合板や樹脂プレートレーザーで必要な形の溝を加工し、その溝に薄い刃物を埋め込む。
  • エッチング型 (ピナクル型) :薄いステンレス材の必要な形だけを残し、不要部分を溶かし (エッチングし) 、残った必要な形部分を刃物として加工 (磨き上げ) して作る。
  • 彫刻型:金属の板材を必要な形に切削加工し、残した形状部分を刃物として加工 (磨き上げ) して作る。

2.の上下に型が存在する打ち抜き方法は、上型のパンチ (突起)  と下型のダイ (穴) が対になった金型が用いられます。ダイ型を固定し、パンチ型が上下に動くことにより、1対の型で上下から素材を挟んで加工します。この方法ではハーフカットは出来ないため、フルカットのみの加工です。

※1で紹介している、トムソン型 (ビク型) でも特殊な加工方法を用いて、上下型で打ち抜き加工することも可能です。

トムソン型(ビク型)

図2. トムソン型 (ビク型)

抜き加工の種類

抜き加工には主に

  • 打ち抜き加工
  • ハーフカット加工 (シール加工)

の2種類があります。

1. 打ち抜き加工

打ち抜き加工とは、型を使い、材料に圧力 (プレス) をかけて必要な形に打ち抜く加工方法です。製品部分は元の材料から完全に分離し、残った材料の部分はスクラップになります。

2. ハーフカット加工 (シール加工)

主に粘着付きの台紙付き素材に対し、粘着付き素材部分だけに切込みを入れ、台紙自体は打ち抜かない加工方法です。製品をシート状で提供することが可能です。

ハーフカット

図3. ハーフカット

本記事は抜き加工を提供するユメックス株式会社様に監修を頂きました。

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