抜き加工とは
抜き加工とは、抜き型を加工対象の素材に押し当てて素材を様々な形状にカットする加工サービスです。
プレス機械を用い、鉄・ステンレスなどの金属や、カーボン、ゴム、樹脂をはじめとする様々な板材を加工する手法です。
抜き加工の使用用途
抜き加工は、様々な産業分野において部品・部材の加工に使用されています。複雑な形状の加工にも使用することが可能です。各種ガスケット、カバー、シール、シム、スペーサー、パッキン、フィルター、その他の製品製造が行われています。使用されている産業分野には下記のようなものがあります。
- 建築、建材分野
- 電子機器分野
- 車載機器
- 医療機器
- 農業機器
- 発電機
- ホビー関係
抜き加工の原理
1. 抜き加工に使用される素材
抜き加工に使用される素材には次のようなものがあります。
- 金属: 鉄 (SPCC・冷間薄鋼板など) 、SUS材、アルミニウム材、真鍮材
- カーボン
- ガラス繊維
- ゴム
- 布
- 紙、パルプ、木材
- 各種プラスチック樹脂 (PE、PET、フッ素樹脂など)
-
防水・防塵シート
-
粘着テープ
-
放熱・熱対策材
抜き加工においては、一定の靭性がないと、素材がひび割れてしまいます。そのため、硬くてひび割れやすい素材には適していません。
2. 抜き加工の概要
抜き加工は、プレス機械を使用して材料の板材を抜く加工方法です。加工方法には大きく分けて2つの方法があります。
- 型と真っ直ぐな土台の間で材料を挟み込んで抜く方法
- 型と型で材料を挟み込んで抜く方法
1の土台を用いて抜く方法では、全層をカットするフルカットと2層以上の構造素材においてカットしたい層だけをカットするハーフカットが可能です。下記のような型が使用されます。
- エッチング型:型材の不要部分を溶かし、残った部分でベース部分と刃物部分を作る。
- トムソン型:木材や樹脂などの板材にレーザーで溝を作り、その溝に刃物を埋め込む。
- 彫刻型:金属の塊を切削等で削り出してベース部分と刃物部分を作る
2の型と型で材料を挟み込んで抜く方法では、パンチ (突起) とダイ (穴) が対になった金型が用いられます。ダイ型を固定し、パンチ型が上下に動くことにより、1対の型で上下から素材を挟んで加工します。この方法ではハーフカットは出来ないため、フルカットのみの加工です。
抜き加工の種類
抜き加工には主に
- 打ち抜き加工
- 穴抜き加工
- 縁切り加工 (トリミング加工)
- ハーフ抜き加工(半抜き加工)
- スリット(切込み)加工
などの種類があります。
1. 打ち抜き加工
打ち抜き加工とは、型を使い、金属板に圧力をかけて目的の形に打ち抜く加工方法です。製品部分は元の板材から完全に分離し、残った板材の部分はスクラップになります。
2. 穴抜き加工
穴抜き加工は打ち抜き加工と同様に型枠で板材をくり抜く加工方法ですが、打ち抜き加工とは反対にプレス機に残った板材の側が製品となる加工方法です。例えば、製品にネジを通すための穴を開けるなど、板材に穴をあけることを目的に用いられます。
3. 縁切り加工 (トリミング加工)
縁切り加工とは、整形された部品の縁をきれいに切り取り、形状を整える加工方法です。すでに成形されている商品を綺麗にする目的や、製品の大きさを調整する目的で用いられます。
4. ハーフ抜き加工(半抜き加工)
ハーフ抜き加工 (半抜き加工) とは、穴抜きを途中で止めた状態にして凸形状を作る加工方法です。他の抜き加工と違い、凹凸をつけるだけで板材をくり抜く加工方法ではありませんが、半抜き加工も抜き加工の一つに分類されます。
プレスを深くし過ぎると板材が切断されてしまったり亀裂が入ったりしてしまうため、綺麗に成形するためには技術が必要です。
5. スリット (切込み) 加工
スリット加工とは、一部が開いたドアのような形状の製品を作る際に用いられる加工方法です。抜かれた部分は分離しないように注意を払います。切り込みに合わせて曲げ加工も必要な加工方法であり、金属板と平行のパンチを使うことはできません。スリットの角度に合わせたパンチと、それと一対になるダイを使用するのが一般的です。