ICカードリーダライタとは
ICカードリーダライタとは、ICカード (集積回路 (Integrated Circuit 以下IC) を組み込んだカード) と通信し読み取ったり書き込んだりする装置です。
ICカードは情報を電子的に記録・保持するためのカードです。銀行のキャッシュカードや、Suicaカードに代表される交通系カードがその一例です。ICカードリーダライタはこれらのカードに記録された情報を読み取ったり、新しい情報を書き込んだりすることができます。
ICカードは情報を暗号化して保持することが可能であり、情報セキュリティが高く、ICカードリーダライタを使用することで、ICカードとの認証を行ったり、暗号化通信をすることでセキュリティを強化することができます。
ICカードリーダライタの使用用途
ICカードリーダライタは様々な場面で使用されます。以下はその一例です。
1. 金融業
ICカードリーダライタは銀行が顧客に発行するキャッシュカードの管理に利用されています。顧客の口座情報や残高および取引履歴を読み取りつつ、更新された情報を書き込むことが可能です。また、カードの紛失時にもセキュリティ性能が高い点が特徴です。
2. 交通機関
ICカードリーダライタは公共交通機関で利用されるICカードの発行・チャージ・利用履歴の管理に使用されます。利用者はカードに事前にチャージした金額で、電車やバスなどを利用することが可能です。ICカードリーダライタを使ってカードにチャージしたり、利用履歴を確認したりすることができます。
3. 医療機関
医療機関でICカードリーダライタを利用することで、患者の身体情報や治療履歴を記録・管理することが可能です。例えば、患者が通院時にICカードを使用して、診察や検査の結果を記録したり、処方箋を発行したりすることができます。これにより、医療情報の精度を高め、効率的な医療サービスの提供が可能です。
4. オフィス
オフィスの入退室管理において、ICカードリーダライタは重要な役割を果たします。ICカードを使用して、従業員や訪問者のアクセスを管理することが可能です。ICカードリーダライタはカードによって個人を認証し、アクセス許可を与えるかどうかを決定します。
ICカードリーダライタの原理
ICカードは内部にマイクロチップがあり、そのチップに情報が電子的に記録されています。ICカードリーダライタはこのマイクロチップに接触または非接触で通信し、情報を読み取ったり書き込んだりする仕組みです。
接触方式では、ICカードリーダライタの接触ピンによってICカードの接触面にある端子に直接接続します。ここで電子的な信号のやり取りが行われ、情報の読み書きが行われます。非接触方式では、ICカードに近づけることで電磁波やRFID (Radio Frequency Identification) 技術を利用してカード内の情報を読み取ります。
ICカードリーダライタとICカードの間でのデータ通信には、特定の通信プロトコルが使用されています。これにより、正確で安全な情報のやり取りが可能となります。一般的なプロトコルにはISO/IEC 7816やISO/IEC 14443などがあります。
ICカードリーダライタの選び方
ICカードリーダライタを選ぶ際は、以下の要素を考慮します。
1. インターフェイス
ICカードリーダライタには、接続するコンピュータ (PC、タブレット等) とのインターフェイスとして複数の種類があります。USB接続が最も一般的に利用されることが多いですが、他にもBluetooth方式、シリアル接続やイーサネット接続などがあり、接続する対象や使用環境に応じて適切なインターフェイスを選ぶ必要があります。
2. 通信規格
ICカードの種類によって通信規格が異なります。ISO/IEC 7816はICカード表面に接続端子がある接触式ICカードの通信規格であり、主に金融業界で使用されます。ISO/IEC 14443はICカード表面に接続端子を持たない、非接触方式のカードの通信規格であり、また、ISO/IEC 18092に区分されるNFC (Near Field Communication) に対応したICカードリーダライタは交通系ICカードなどでも使用されています。マイナンバーカードは接触式のISO/IEC 7816と非接触式のISO/IEC 14443の両方に対応したICカードになります。
3. 通信速度
ICカードリーダライタの通信速度は、データの読み書きを行う際の性能を示します。特に大量のデータを処理する場合や、高速な応答が求められる場面では高速な通信速度が重要です。通信速度はリーダライタの仕様書に記載されており、使用する環境や目的に応じて適切な速度を選ぶ必要があります。