防鳥ワイヤー

監修:株式会社アルティマ

防鳥ワイヤーとは

防鳥ワイヤーとは、鳥類を止まりにくくすることにより鳥害を防ぐワイヤーです。

近年、鳥類の鳴き声による騒音・糞害・建物での巣づくりなどの鳥害が社会問題になっていますが、野鳥保護の観点から人間と鳥の共生を考えた鳥害対策を考えることが重要です。

鳥を傷つけない主な鳥害対策としては、剣山型の防鳥ピン、防鳥ネット、防鳥ワイヤーなどがあり、いずれも物理的に着地・侵入を防いで鳥を寄せ付けない方法です。

剣山型の防鳥ピンは先端が尖っていないピンを多数配置し、鳥類を止まりにくくし防鳥するタイプです。取り付けやすさが特徴ですが、ピンにある程度の長さが必要であり人通りのある場所に配置しにくいことや、多少美観を損なう心配があります。

防鳥ネットは鳥類の侵入を防ぐ方法で、建物の開口部や屋根など広い部分への設置に有効で、ネットの強度や耐久性、美観のバランスをとることが求められます。丈夫なネットを隙間なく張ることが出来れば、防鳥効果が高い方法です。

防鳥ワイヤーは鳥が止まりにくくなる様にワイヤーを張る方法ですが、美観を損ねず広範囲にコストを抑えながら設置可能で耐久性があるといった特徴があります。防鳥ワイヤーは、鳥が住み着いていない初期段階に効果的な鳥害対策で、鳥害を未然に防ぐ手段として使用されることも多くあります。

防鳥ワイヤーの使用用途                    

防鳥ワイヤーは様々な場所で使用されています。以下はその使用用途の一例です。

1. マンションや住宅

鳥類が居心地の良い場所を探す際には構造物の縁に止まって、安全性などを確認します。その鳥類の習性を利用し、マンションや住宅の屋根・屋上・ベランダの手すりなどの構造物の縁に防鳥ワイヤーを設置した例が多くあります。防鳥ワイヤーは、新築物件の施工段階から鳩の被害を未然に防ぐ方法として取り入れられることも多くあります。

2. 駅舎

防鳥ワイヤーを駅舎に設置して鳥害を防いでいる例も多数あります。駅舎のH鋼に防鳥ワイヤーを張るための支柱をクランプ固定し、フランジ部とH鋼を同色に塗装することにより美観にも配慮しながら鳥害対策している例もあります。

3. 橋げた

歩道橋の橋げたの様な振動のある場所にも、防鳥ワイヤーは設置されています。橋げたのH鋼やL鋼に防鳥ワイヤーの支柱を固定するクランプは、振動に耐えられる様に強力な締め付けが可能なものを使用しています。

防鳥ワイヤーの原理

以下に防鳥ワイヤーの主要な構造と原理を記載します。

1. ワイヤー

一般的に耐食性のあるステンレススチールワイヤーが用いられ、耐久性を高める為にナイロンコートしたタイプもあります。鳥類が止まりにくい細さで且つ耐久性が問題のないワイヤー径を、防鳥したい鳥の種類に合わせて選択する必要があります。ワイヤーは1段張りより2段張りにする方が防鳥効果は高く、複数のワイヤーを奥行方向に段違いに張って更に防鳥効果を高めた例もあります。

2. 支柱・固定具

ワイヤーを張る為に支柱を立てます。設置する場所の形状に応じてクランプなど支柱を固定するための金具を使用しますが、この金具は支柱と一体型のものもあります。平面でクランプなどが使用出来ない場合にはビス固定したり、パイプに固定する場合にはバンドタイプのものを使用する方法もあります。

3. スプリング

ワイヤーを適切なテンションで張る為に、ワイヤーの端にスプリングを配置します。スプリングはワイヤーの取り付けや交換を容易にし、防鳥ワイヤーを設置した構造物を清掃する場合に一時的にワイヤーを取り外すといったことも可能にします。

その他 

以下に、防鳥ワイヤーを設置する際に考慮すべき項目を記載します。

1. 鳥害対策としての適切性

防鳥ワイヤーは、鳥が住み着いておらず鳥害があっても軽微な初期段階の鳥害対策として有効です。従って、鳥の滞在期間が長く糞が大量に落ちているなど鳥害が進んでいる段階では、防鳥ネットなどの他の手段で防鳥する必要があります。

2. 専門業者の利用   

防鳥ワイヤーを設置する際は、何処に張るか、適切なワイヤー径・支柱・スプリング間隔、何段張りにするか、支柱の固定法など検討すべき項目が複数あります。

一軒家などのベランダに防鳥ワイヤーを設置する際には、防鳥ワイヤーと支柱がセットになったものが販売されていますので個人でも設置は可能です。

より効果的な鳥害対策をしたい場合や、公共施設など広い範囲に設置したい場合には、専門業者に相談してみるのも良いでしょう。

本記事は防鳥ワイヤーを製造・販売する株式会社アルティマ様に監修を頂きました。

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