真空成形

監修:名古屋樹脂工業株式会社

真空成形とは

真空成形とは、型と材料の間を真空にすることでプラスチックをする技術です。

加熱されたプラスチックシートを型と密着させ、材料と型の間を真空にすることで成形する仕組みです。半導体設備部品や自動車などのプラスチック製品の製造に広く使用されています。

真空成形は少量多品種の製品を製造するのに適しています。シート材を使用するため、1個から製造することが可能です。また、加熱されたプラスチックシートが型の形状に柔軟に合致するため、高度なデザインを持つ製品が製造することが可能です。これにより、高品質な外観を有する製品を製造することができます。

また、真空成形は一般的に比較的低コストで行うことができます。型の製造コストが低く、生産効率が高いため、試作や少量多品種に有利です。

真空成形の使用用途

真空成形は様々な製品の製造に利用されます。以下は使用用途の一例です。

1. 自動車

自動車の内装部品は真空成形によって製造されることがあります。ダッシュボードやドアパネルまたはシートカバーなどがその一例です。また、バンパーなどの一部の外装部品でも活用されることがあります。

2. 工業用品

工業用の機器のカバーを、真空成形で製造されることがあります。衝撃から機器を保護する重要な役割を果たします。プラスチックの種類を正しく選定することで、頑丈かつ軽量なケースを製造することが可能です。

3.  半導体部品

半導体製造・搬送装置のカバーを、真空成形で製造されることがあります。プラスチックの種類を正しく選定することで、頑丈かつ軽量なケースを製造することが可能です。

真空成形の原理

真空成形は加熱されたプラスチックシートを型に配置し、その後真空とすることでプラスチックを成形する技術です。以下のような手順で実施されます。

1. 材料準備

最初に成形に使用するプラスチックシートを選択し、必要なサイズに切断します。通常は熱可塑性ポリマーを選定することが多いです。ポリ塩化ビニルやポリプロピレンなどがその一例です。

2. 加熱

次に、プラスチックシートを加熱することで柔軟にします。これにより、型の形状に合わせて柔軟に曲がる仕組みです。加熱されたプラスチックシートは、製品形状に合わせた型の上に均等に配置されます。

3. 真空化

プラスチックシートが型の上に配置されたら、プラスチックシートと型の間を真空にします。これにより、型の形状に沿ってプラスチックシートが吸い付けられ、成形される仕組みです。真空ポンプなどを使用することでプラスチックシートと型の間を真空にします。

4. 冷却

プラスチックシートが型の形状に成形されたら、自然冷却にてプラスチックを固めます。冷却時間を適切に設定することで、割れや反りなどの不具合を防止することが可能です。固まったプラスチック製品は型から取り外され、必要に応じてトリミングなどの仕上げ作業が行われます。

真空成形の選び方

真空成形を代行する加工業者を選定する際は、以下の要素を考量することが重要です。

1. 信頼性

真空成形サービスを提供する企業の経験と信頼性は非常に重要です。長年の実績や信頼性の高い顧客サービスを提供している企業を選ぶ必要があります。過去の実績や顧客のレビューを調査することで、企業の信頼性を確認することが可能です。

2. 技術・設備

真空成形技術と設備は、製品の品質や生産性に直接影響します。最新の技術を採用し、最新の設備を備えた企業を選ぶことで、高品質な製品を生産することが可能です。

3. 品質管理

品質管理制度が整備されている企業を選ぶことが重要です。ISO認証を取得している企業や、品質管理に積極的な企業を選ぶことにより、高品質な製品を提供することが期待できます。

4. 柔軟性

真空成形サービスを提供する企業が柔軟に生産対応を実施してくれるかも重要です。顧客のニーズに合わせた製品や生産プロセスを提供できる企業を選ぶことで、より良い製品を製造することができます

本記事は真空成形を行う名古屋樹脂工業株式会社様に監修を頂きました。

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圧空成形

監修:名古屋樹脂工業株式会社

圧空成形とは

圧空成形とは、圧縮空気を利用してプラスチックを成形する技術です。

成形機に樹脂のシート材料をセットし、ヒーターにて加熱軟化させ空気圧力を使って型に密着させて成形する仕組みです。
プラスチック製品を作るための製造プロセスの一種であり、プラスチック容器や機械カバーなどを製造するために広く使用されています。
圧空成形を活用すると、比較的低コストで製品を製造することが可能です。金型の製作コストが比較的低く、少量多品種に向いています。

圧空成形の使用用途

圧空成形は様々な用途で使用されます。以下はその主な例です。

1. 医療機器

医療機器の製造においても圧空成形が利用される場合があります。少量多品種に向いているという特徴から、医療機器のカバーなどに幅広く使用されています。

2. 工業用機械カバー

工業用機械カバーの製造においても圧空成形が利用される場合や、金属部品からの置き換えなどでも利用される場合があります。射出成型では難しい、少量多品種でのカバーなどに幅広く利用されています。

3. ロボットカバー

ロボットのカバーの製造においても圧空成形が利用される場合があります。真空成形では製造できない細かい形状も再現できることから、ロボットのカバーなどに幅広く利用されています。

4. 食品

圧空成形は薄物業界と厚物業界に分かれています。上記は厚物業界がメインですが、薄物の業界では食品に使われるプラスチックトレーなどを、圧空成形によって効率的に製造することが可能です。たまごのパックやお菓子の容器などを製造するために使用されることが多いです。

圧空成形の原理

圧空成形は比較的にシンプルな工程によってプラスチックを加工する技術です。以下は一般的な圧空成形のプロセスです。

1. 加熱

まず、使用するプラスチック板材料を選定し、加熱して軟化させます。この段階でプラスチックが柔らかくなり、形状が変えられる状態へと変化させる仕組みです。加熱後は金型がプラスチックにセットされ、密封することで空気が抜けるのを防止します。

2. 加圧

金型がプラスチックにセットされた後、圧縮空気を上部から吹き付けられます。圧縮空気によってプラスチックを金型に密着させることが可能です。圧力の強弱や空気導入のタイミングは、製品形状やプラスチック特性に合わせて調整されます。

3. 冷却

成形されたプラスチックは自然冷却にてを冷却します。冷却によってプラスチックの硬化を促進し、製品の形状を固定させる仕組みです。金型内に冷却水や冷却油を循環させる方法が一般的に使われ、迅速な冷却・硬化を促進します。

4. 取り出し

プラスチックを十分に冷却して硬化した後、金型を開放して成形された製品を取り出します。金型と圧空BOXを開放することで成形された製品を容易に取り出すことが可能です。製品が金型から取り出された後は、余分な部分を取り除くなどの仕上げ作業が行われることもあります。

圧空成形の選び方

圧空成形をサービスとして受注する会社も多く存在します。これらの会社を選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。

1. 経験・信頼性

圧空成形サービスを提供する企業の経験と信頼性は非常に重要です。長年の実績や信頼性の高い顧客サービスを提供している企業を選ぶことが重要です。過去の実績や顧客のレビューを調査することで、企業の信頼性を確認できます。

2. 技術・設備

圧空成形の技術と設備は、製品の品質や生産性に直接影響します。

3. 品質管理

品質管理制度が整備されている企業を選ぶことが重要です。ISO9001などの認証を取得している企業は高品質な製品を提供することが期待できます。

4. ロケーション

圧空成形サービスを提供する企業のロケーションは製品の配送料や納期に影響します。地理的にアクセスしやすく、効率的な物流手段を持つ企業を選ぶことが重要です。

本記事は圧空成形を行う名古屋樹脂工業株式会社様に監修を頂きました。

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カテゴリー
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Plastic Recycling Machine

What Is Plastic Recycling Machine?

Plastic recycling machine refers to equipment used to manufacture recycled pellets from plastic waste.

When recycling plastic waste, the following processes are involved:

  1. Cleaning of Contaminated Materials
  2. Dehydration
  3. Size Reduction with Shredders or Grinders
  4. Drying and Volume Reduction
  5. Manufacture of Recycled Pellets Using Extruders

Each of these processes is necessary to convert waste into pellets of appropriate size and shape, facilitating easy reuse or recycling. This promotes waste reduction and resource reuse.

Plastic recycling machines can refer to machines specific to these processes or those involved in multiple or all recycling stages.

Applications of Plastic Recycling Machines

Plastic recycling machine is used to manufacture recycled pellets from plastic waste for material recycling purposes. These pellets undergo mixing, melting, and molding processes to create various recycled products.

Materials commonly used for recycling include PET (Polyethylene Terephthalate), HDPE (High-Density Polyethylene), LDPE (Low-Density Polyethylene), and PP (Polypropylene).

Recycled plastics are used in various products such as:

  • Bottles, containers, and packaging
  • Furniture and household items
  • Clothing, carpets, and textiles
  • Footwear like sneakers
  • Bags, films, and sheets
  • Automotive parts
  • Toys, stationery, and building materials

Principles of Plastic Recycling Machines

Plastic recycling machines can refer to machines specific to certain recycling stages or those involved in multiple stages. The main processes include:

  1. Supplying Raw Material Waste via Feeders
  2. Cleaning Contaminated Materials
  3. Dehydration and Drying
  4. Volume Reduction
  5. Size Reduction with Shredders or Grinders
  6. Pelletization: Manufacturing Recycled Pellets Using Extruders

Plastic waste materials like films, foams, non-woven fabrics, bags, and flakes are used as raw materials.

Types of Plastic Recycling Machines

Various machines are used in different recycling stages:

  • Cleaning, Dehydration, and Drying Machines: Bottle washers, flake washers, screw press dehydrators, and dryers.
  • Size Reduction Machines: Shredders, crushers, granulators, and grinders.
  • Pelletization Machines: Extruders and pelletizers.

Integrated machines for multiple processes or complete recycling lines are also available, contributing significantly to efficiency in plastic recycling processes.

計算科学ソフトウェア

計算科学ソフトウェアとは

計算科学ソフトウェアとは、工学などの領域で数値計算やシミュレーションを行うためのソフトウェアです。

これらのソフトウェアは複雑な数学的な問題を解決するために使用されます。物理学や気象学または経済学などの分野において、様々な問題を解決するためのソフトウェアです。高度な数学的アルゴリズムや計算技術を用いて、現実世界の問題を解析するために役立ちます。

計算科学ソフトウェアの使用用途

計算科学ソフトウェアは、研究分野などにおいて複雑な計算を実行するために使用されます。以下はその主な例です。

1. 化学

計算科学ソフトウェアの中でも分子モデリングソフトウェアは、分子の構造や性質をモデル化するためのツールであり、化学反応の機構の解明や新しい化合物の設計に必要不可欠です。また、新しい反応経路の発見や反応条件の最適化にも活用されます。触媒や材料選定を行う際にも使用されることが多いです。

2. 地学

地学においては、地形の高度データを処理し、地図や地形プロファイルを作成する際に使用されます。また、数値地形モデルやプレートモデルを用いて、地震や火山活動などの地殻変動のシミュレーションを行うことも可能です。地層の厚みや地下水の流れなどを数値モデルを作成し、地下構造の解析や地下資源の探査に役立てる場合もあります。

災害防止の観点からも計算科学ソフトウェアを使用する場合があります。地震の発生や火山の噴火、地滑りなどの現象をシミュレーションして、災害予測や防災対策の立案に活用することが可能です。

3. 物理学

量子科学などにおいては、素粒子同士の衝突実験の結果を予測し、新粒子の発見や素粒子の性質の解明に使用する場合があります。また、機械工学においても広く活用されます。流体の流れや熱伝導などの物理現象を数値モデルを用いて解析し、エンジニアリングや材料科学の分野に応用することが可能です。

4. 経済学

経済学においては、ソフトウェアを使用して市場の挙動をモデリングすることもできます。回帰分析やARIMAモデルなどの統計手法を用いて、経済指標の動向や将来の予測を行います。これにより、経済界の混乱を防止し、市場を安定させることが可能です。

5. 気象学

気象学では、計算科学ソフトウェアが天気予報や気候研究に不可欠です。気象データの解析と予測では、気象観測データを解析し、将来の天候や気候変動を予測します。気候変動の解析では、気候モデルを用いて地球の気候変動のメカニズムを解析し、将来の気候変動の影響を予測することが可能です。

計算科学ソフトウェアの原理

計算科学ソフトウェアは、数学的な問題を解くための数値計算アルゴリズムを実装したソフトウェアです。微分方程式の数値解法や行列計算または最適化アルゴリズムなどを実行することが可能です。これにより、複雑な計算が必要な様々な問題を解決することができます。

大規模なデータセットや高次元のデータを処理する際に、効率的なデータ構造とアルゴリズムが必要です。計算科学ソフトウェアはデータの効率的な管理と処理を実現するために、適切なデータ構造や最適化されたアルゴリズムを使用します。例えば、高速な行列演算を実現するために、データ構造や演算のアルゴリズムが最適化されています。

また、大規模な計算やシミュレーションを行う際には、並列処理や分散処理が必要です。計算科学ソフトウェアは複数のプロセスを使用して処理を並列化し、複数のコンピュータ間で処理を分散することが可能です。これにより、計算のスケーラビリティが向上し、より大規模な問題を解決することが可能です。

一般的にはこれらを簡単に実行するために、適切なインターフェイスが実装されています。実行した計算結果を、簡単に可視化できるソフトも多いです。グラフやアニメーションなどを用いて、計算結果を視覚的に分かりやすく表現します。

計算科学ソフトウェアの種類

計算科学ソフトウェアには様々な種類があります。以下はその一例です。

1. 数値解析ソフトウェア

数値計算ソフトウェアは数学的な問題を解くための数値計算アルゴリズムを実装したソフトウェアです。微分方程式の数値解法や行列計算または積分・微分などを実行することができます。これにより、様々な数学的問題を実行することが可能です。

2. シミュレーションソフトウェア

シミュレーションソフトウェアは物理現象をモデル化し、シミュレーションを実行するためのツールです。物理学や工学などの様々な分野で使用されます。

3. データ解析ソフトウェア

データ解析ソフトウェアは大規模なデータセットからパターンやトレンドを抽出し、データの解釈や予測を行うためのツールです。統計解析や機械学習またはデータマイニングなどの手法を使用してます。これにより、データの分析や可視化が可能です。

耐アルコールペン

監修:大道産業株式会社

耐アルコールペンとは

耐アルコールペンとは、耐水性・耐溶剤性を持ち、書いた文字がアルコールなどでも消えないペンです。

理化学実験などでは、ガラス器具やマイクロチューブなどの実験器具・研究備品に実験情報を書くことが多くあります。一方で、実験室などではアルコールなどの溶剤を用いることが多いため一般的な油性インクでは消えやすい環境です。そのため、研究開発シーンをターゲットとした耐アルコールペンが製品化されています。インクはにじみにくく、速乾性に優れた特性を持つことが特徴です。

耐アルコールペンの使用用途

1. 概要

耐アルコールペンは主に研究・開発・試験などにおいて、実験器具に実験情報などを筆記するために用いられる筆記用具です。

例えば、バイアルやマイクロチューブなどにサンプルを保管する際に内容物の番号や情報などを筆記したり、フラスコや試験管などに重量などの一時的なメモを筆記する用途などがあります。化学、生物学などに関係する研究分野で特に一般的に需要があります。

2. 筆記する対象物など

筆記される器具や備品には主に次のようなものがあります。

  • ラベル
  • ビーカー
  • 試験管
  • 遠沈管
  • フラスコ
  • バイアル
  • スライドガラス
  • カバーガラス
  • シャーレ
  • マイクロチューブ

また、耐アルコールペンは、紙・木材・段ボール・布・金属・磁器などの一般的な素材にも筆記することが可能です。耐水性に優れており水と混ざりにくい素材のインクであるため、凍結面や結露面にも筆記することができます。研究開発においては、冷凍庫から取り出したサンプルチューブや水で濡れた器具などに筆記する場合もあるため、このような特性は役に立ちます。

耐アルコールペンの原理

1. 耐水性・耐溶剤性

耐アルコールペンは、油性顔料インクなどが使用され、下記のような物質に対して消えにくい性質を持ちます。

  • アルコール (エタノール、イソプロパノールなど)
  • クロロホルム
  • キシレン
  • 耐酸性
  • 耐アルカリ性

実験室で用いられる様々な溶剤に対して耐性を発揮する筆記用具です。

2. 筆記特性

耐アルコールペンは、ガラス、各種樹脂 (ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ABSなど) 金属などに特に優れた筆記特性があります。

滑面およびフロスト面への筆記が可能です。各素材について充分な耐性、強度を得るための目安となる乾燥時間は概ね下記のとおりです。

  • ガラス滑面: 3〜5分
  • 樹脂滑面: 3分
  • ガラス・樹脂のフロスト面: 30秒
  • フィルム: 30秒

また、製品によっては紙・布・ビニール・木材・段ボール・磁気へも筆記を行うことができます。オートクレーブの使用は、材質や表面状態によって、筆記した文字が消えることがあります。

3. その他の特性

耐アルコールペンは、耐溶剤性以外にも次のような特性があります。

  • 耐熱性
  • 耐冷性
  • 耐摩擦性
  • 耐候性
  • 耐光性

ただし、これらの性質は製品にもよります。耐熱性では、インクが乾いたあとであれば一般的に220℃から400℃程度の熱に耐えることができます。耐冷性では-50℃よりも低い温度まで対応しており、ディープフリーザーなどでも使用可能です。凍結面や結露面に筆記することができるため、フリーザーから出したばかりのサンプルなどにも筆記することができます。

耐アルコールペンは、十分に乾燥したあとは簡単には落ちなくなりますが、落としたい場合はウエスに中性洗剤を含ませこすり落とすことで落とすことができます。

耐アルコールペンの種類

耐アルコールペンは、様々なメーカーから複数の製品が販売されています。

色の種類には、黒・赤・青などが有ります。細さは0.3mm、0.6mm、0.8mm、1.0mmなどです。両頭タイプのものもあり、細いものから太いものまで用意されています。細いものは特にマイクロチューブの蓋など狭いところに筆記することに最適です。細い製品では、ペン先に硬い素材が用いられ、筆記しやすさを実現しています。用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。

本記事は耐アルコールペンを製造・販売する大道産業株式会社様に監修を頂きました。

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撥水ペン

監修:大道産業株式会社

撥水ペンとは

撥水ペンとは、主に生化学実験である免疫組織化学染色法やその他の蛍光抗体反応において、スライドガラス上の試料周囲に撥水性のサークル (囲い) を作製することに用いられるペンです。

免疫組織化学染色法とは、抗体を用いて組織切片中のタンパク質やその他の抗原の位置を検出する生化学手法です。抗原を抗体で標識した後、蛍光色素を用いた蛍光検出法などにより、抗原抗体複合体を可視化します。撥水ペンは、スライドグラス上の試料周囲に疎水性サークルを作製することで、抗体や検体の流失を防ぐことが可能です。一般的な蛍光抗体法の一つであるペルオキシダーゼ-抗ペルオキシダーゼ複合体 (Peroxidase Anti-Peroxidase; PAP) の名前を取って、PAPペンと呼ばれる場合もあります。

撥水ペンの使用用途

撥水ペンは、主に顕微鏡用のスライドグラスを用いる、免疫組織化学染色法やin situハイブリダイゼーション法などの生化学実験で使用されます。

試料周囲に撥水性のサークルを筆記することで、検体の囲いを作製し、スライドグラス上から試料や抗体などが流れ出ることを防ぐことが可能です。「ペン」ではありますが、一般的な文字などの筆記には適しておらず、このような実験用途専門に使用されます。

撥水ペンの原理

1. 免疫組織化学染色法

免疫組織化学染色法とは、特異的な抗原-抗体反応を用いて細胞および組織内の抗原物質を特異的かつ再現性良く検出する手法です。蛍光抗体法や酵素抗体法などが含まれます。

  1. 標本調製
  2. 抗原賦活化
  3. 抗体染色
  4. 抗体検出

免疫組織化学染色法は、上記のステップから成ります。撥水ペンは、標本調製の段階で撥水サークルを作製することで、スライドグラス上からその後のステップで試料や試薬が流出するのを防ぐ役割があります。

抗体標識には直接標識法と間接標識法があり、直接標識法では、酵素または蛍光プローブで直接標識した一次抗体を用います。間接標識法は、一次抗体と二次抗体を使います。二次抗体は一次抗体に特異的に結合する抗体で、酵素または蛍光プローブで標識されています。検出は、「発色または酵素による検出 (酵素抗体法) 」と「蛍光に基づく検出方法 (蛍光抗体法)」などで行われます。

2. 撥水ペンの機能

撥水ペンは、ペン形状のため、試料の大きさや形状、個数に合わせてスライドガラス上に撥水ラインを引くことが可能です。

撥水ペンのインクは撥水性を持ち、アルコールやアセトンに不溶です。一方、キシレンに容易に溶解するため、キシレンやその代替品で完全に除去することができます。大抵の撥水ペンにおいては、120℃までの耐熱性があります。

3. 撥水ペンの使い方

  1. 初回使用時は、ペンのキャップを外し、ペン先を上にして固い面に置きます。手袋をはめた指などで先端を押し込み、ペンからガスを放出します。
  2. 使用前によく振ります。
  3. ペン先を顕微鏡のスライドに置き、チップ先端にインクが染み込むまでスライドに対して先端を数回押し下げます。
  4. 顕微鏡スライドの各試料の周囲に線を引きます。
  5. ペンキャップを元に戻し、チップを下にして室温で保管します。

インクが出過ぎるとスライドに過剰な試薬が溜まる可能性があるため、インクが出すぎてしまった場合は、不要な紙などに押し当て、余分なインクを拭き取ることが必要です。

撥水ペンの種類

撥水ペンは、それほど製造メーカーは多くないものの、複数のメーカーで製造されています。撥水ペンの線の太さには、2mm、3mm、4mmなどの種類が有ります。

インク容量は、2mmの細線タイプで2.5mLまたは3mL、4mmの太線タイプで5mLです。細線タイプは約500回、太線タイプで約1000回使用することが可能です。インクの色は、通常、薄い緑または水色です。

一般的には撥水ペンはガラス上に界面活性剤が残っていると機能しませんが、中には界面活性剤 (Tween 20、Triton X-100など) を含んだバッファーに対しても安定な種類の撥水ペンも有ります。

本記事は撥水ペンを製造・販売する大道産業株式会社様に監修を頂きました。

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ダインペン

監修:大道産業株式会社

ダインペンとは

ダインペンとは、物体の表面のぬれ特性 (表面張力、ダインレベル) を簡易的に図るためのペンです。

テンションチェッカー、ぬれ性チェックペンと呼ばれる場合もあります。ダインレベルとは、物体表面の接着性を表す指標です。ダインペンを用いることにより、インク、ニス、プライマーなどがプラスチックや金属などの素材表面にどれだけ接着するかを測ることができます。蛍光ペンのように手軽に塗って確認できることが特徴です。

ダインペンの使用用途

1. 概要

ダインペンは、様々な物質の表面張力やぬれ特性を測定したり、表面エネルギーの値を測定するために使用されます。主な用途例は下記の通りです。特に、印刷・塗装・接着が必要となる産業分野で多く使用されます。

  • プラスチックやその他の無孔質基材の表面張力の測定
  • 印刷前の印刷対象物の表面状態 (印刷適性) の確認
  • 光洗浄など各種洗浄後の対象物の状態の確認
  • プラズマ表面処理をはじめとする、表面改質後の素材表面の接着性、親和性の確認 (PE・PP・プラスチックフィルムなど)
  • 金属加工部品の脱脂洗浄後の油分残渣テスト

これらが行われる主な分野には下記のようなものがあります。

  • 自動車内外装部品
  • 電子機器・電子部品
  • 樹脂製品・セラミック製品
  • 鉄鋼・非鉄金属等の製造部門・研究開発部門
  • 各種印刷 (グラビア印刷、オフセット印刷、UV印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、インクジェットプリンタ)
  • ドライラミネーター、押し出しラミネーター
  • インフレーションフィルム、Tダイフィルムシート、延伸フィルム
  • コーティング

ダインペンの原理

1. 濡れ性とは

濡れ性とは、液体と固体表面の親和性です。液体が固体表面上で分子間力の作用によって均一に広がる現象を「濡れ性が高い」と評価します。

濡れ性には表面張力が関係しており、主に液体と固体の表面エネルギーによって決まります。液体が固体表面上で広がるための条件は、液体の表面エネルギーが固体の表面エネルギーより小さいことです。すなわち、固体の表面エネルギーは高ければ高いほど濡れ性が高くなります。表面エネルギーはダイン数と呼ばれる場合もあり、その単位は、SI単位系でmN/m (ミリニュートン毎メートル) 、CGS単位系でdyn/cm (ダイン毎センチメートル) が使用されています。

このような指標である濡れ性は、インクやのり・ニスなどが、プラスチックや金属の表面にどれだけ接着するかを測ることに用いられます。

2. ダインペンによる濡れ性の測定の方法

ダインペンは、測定するダイン数ごとにペンが用意されており、離散的にダイン数を測定することができます。使い方の概要は下記の通りです。

  1. 希望するダイン数のテストペンでテストする素材表面を塗布します。
  2. 塗布後、約2〜4秒後の液膜の状態で適正を判断します。液膜に破れや収縮が起きていなければ塗れているため、更に高いダイン数のインクで順次テストし、判定します。逆に液膜に破れや収縮が起きているときは低いダイン数のインクで順次テストし判定します。 
  3. 2を繰り返し、液膜に破れや収縮が起きなかった最も高いダイン数が素材表面のダイン数となります。

3. ダインペンの成分

ダインペンの成分としては、ホルムアミドが用いられることが多いです。一方で、非毒性・非刺激性の観点からホルムアミドを含まないダインペンも販売されています。

ダインペンの種類

ダインペンは、異なるダイン数のペンが4本〜8本前後のセットで販売されていることが一般的です。30番台や40番台のダイン数のペンが最も汎用されますが、50番台や60、70も販売されています。

インクカラーは、赤、青、緑などがあり、通常の容量 (50mLなど) のペンタイプの他、使い切りの少量タイプ (10mLなど) もあります。ホルムアミドなどを含まない非毒性・非刺激性の製品もありますが、キシレンやホルムアミドなどの有機化合物を含むものでは製品安全データシート (SDS) を確認することが必要です。

本記事はダインペンを製造・販売する大道産業株式会社様に監修を頂きました。

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OPP袋

OPP袋とは

OPP袋とは、ポリプロピレンを原料として作られた袋です。

OPPはOriented Polypropylene (オリエンテッドポリプロピレン) の略です。ポリプロピレンを引っ張りながら加熱するなどの方法で、分子が特定の方向に整列するように調整されています。これにより、高い透明性や強度または耐久性を有することが特徴です。

上記特性の通り透明性が高いため、袋に入れつつ中の商品を見せることが可能です。小売業界で商品の見栄えを向上させ、購買意欲を高めるのに役立ちます。また、耐久性が高く、外部からのダメージから商品を保護することができるため、脆弱な商品や食品の包装に有利です。

比較的低コストで製造されるため、大量生産や大量注文に適しています。ジッパー付き袋やフラット袋など、様々なスタイルで販売されています。

OPP袋の使用用途

OPP袋は様々な用途で使用されます。以下はその主な例です。

1. 食品

菓子類またはドライフルーツなどの包装に広く使用されます。透明性が高く、商品の見た目を美しく保ちながら、新鮮さを保つことが可能です。一般的に熱密封されているため、食品が外部の空気や湿気から保護する役割も果たします。

2. 化粧品

化粧品やチューブなどを包装し、保護するために使用されます。特にクリームやローション、シャンプーなどの液体製品に適しています。透明なOPP袋を使用することで、商品のカラーやデザインを見せつつ、外部からの汚れや損傷から保護することが可能です。

3. 書籍・チラシ

本やノートあるいは筆記具などの文房具を包装し、保護するために使用されます。特に書店や文房具店での陳列・保管時に使用されることが多いです。OPP袋は透明性が高いため、製品を保護しながらも内容を見せることができます。

また、チラシなどの広告物を包装するためにも使用されます。大量配布される広告物を保護し、配布時や受け取り時に品質を維持するために役立ちます。 OPP袋は一般的に水に対して耐性があるため、印刷物を水から保護することも可能です。

OPP袋の原理

OPP袋はポリプロピレンフィルムから作られた袋です。通常は透明なフィルムですが、必要に応じて色付けされることもあります。

OPPフィルムはポリプロピレン樹脂を熱で溶かし、圧延して製造される仕組みです。この過程でフィルムは一定の方向に引き伸ばされ、分子が整列します。これにより、フィルムは強度が向上し、特定の方向に透明性が高くなります。

OPPフィルムは熱収縮性を有します。これは、フィルムに熱を加えることで収縮し、密閉性が高まる特性です。この性質は、熱密封された袋を作る際に利用することが可能です。

耐久性が高く、環境にやさしい包装材料として知られています。また、印刷が可能であり、ブランドのロゴや製品情報を印字することができます。一般的に薄いですが、厚みは使用する製品や目的によって異なります。

OPP袋の選び方

OPP袋を選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。

1. サイズ

包装する製品のサイズと形状に応じて、適切なサイズのOPP袋を選択する必要があります。製品が適切に収まるように、袋の幅や高さを確認します。また、製品が袋に余裕を持って収まるように、必要に応じて多少大きめのサイズを選択することが重要です。

2. 密封方法

OPP袋の密封方法には熱密封やジッパー密封、粘着テープ密封などがあります。熱密封は一般的に食品や医薬品の包装に適しています。ジッパー密封は製品を再封可能にするために使用され、粘着テープ密封は手軽に開封することが可能です。

3. 色

OPP袋は通常透明ですが、必要に応じて色付きの袋を選択することもできます。色付きの袋は商品の外観を変えたり、プライバシーを確保したりするために使用されます。ただし、一般的には透明な袋が使用され、内容物を保護しつつ可視化する際に有利です。

4. その他

その他には、適合している規格なども確認が必要な場合があります。特に食品の方法に使用する際は、食品衛生法規格基準に適合した製品を選ぶことが必要です。ブランドロゴなどをOPP袋に印字する場合は、当該サービスを提供している会社の製品を選定します。

カードスリーブ

カードスリーブとは

カードスリーブとは、カードを保護するために使用されるプラスチック製の袋です。

カードを傷や汚れから保護する役割を果たします。特に貴重なカードやコレクションアイテムを保護する際に有用です。カードがスリーブに入っていると、日常的な取り扱い時に発生する擦れや破損から保護することが可能です。

また、カードスリーブはカードの長期保存に適しています。スリーブに入れることで、カードが劣化したり変色したりするのを防ぎます。特に高価なカードを長期間保存する場合には、カードスリーブは欠かせないアクセサリーです。

カードスリーブの使用用途

カードスリーブは様々なカードを保護するために使用されます。以下はその一例です。

1. 玩具

トレーディングカードゲームなどにおいて、カードを保護するために使用されます。プレイヤーはデッキ内のカードを保護し、プレイの際にカードの品質を維持するためにスリーブを使います。これにより、貴重なカードを厳重に保護することが可能です。

2. ビジネス

ビジネスにおいては、クレジットカードや身分証明書などの重要なカードを保護するためにもカードスリーブが使用されます。特にRFIDチップを備えたカードの場合、特殊なスリーブを使用することで、不正なスキミングから情報を守ることが可能です。これにより、財産や情報材を他者に盗難されることを防ぎます。

また、名刺やパスカードなどの個人情報を含むカードを保護するためにも、カードスリーブが使用されます。特に再利用可能な素材で作られたスリーブは、環境に配慮した選択肢として好まれることも多いです。

3. 製造業

電子部品や回路基板などの製造プロセスでは、カードスリーブが静電気や粉塵から部品を保護するために使用されます。特に静電気に敏感な部品を取り扱う場合、カードスリーブは部品の安全性を確保するために有利です。製品の表面を保護し、傷や汚れから守る役割も果たします。

カードスリーブの原理

カードスリーブの構造は比較的シンプルですが、効果的にカードを保護する製品です。一般的なカードスリーブはプラスチック製の透明な袋状アクセサリーです。一般的にポリ塩化ビニール (PVC) やポリプロピレン (PP) などの素材で作られますが、他の素材も使用されることがあります。

カードスリーブは、厚みの異なるフィルムで作られています。一般的には薄い透明なプラスチックフィルムで作られており、カードを包む役割を果たします。カードを保護し、傷や汚れから守る仕組みです。

また、カードスリーブの上部または側面には、カードを挿入するための開口部があります。これにより、カードをスリーブに挿入したり取り出したりすることが可能です。一般的には、開口部はカードをしっかりと保持するために、ジッパーや折り返しによって加工されています。

カードスリーブの原理はカードを傷や汚れから守ることです。カードをスリーブに挿入することで、カードの表面が直接的な接触から守られ、長期間の保存や使用に耐えることができます。

カードスリーブの選び方

カードスリーブを選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。

1. 寸法

カードスリーブの寸法は、カードのサイズに合わせて選ぶ必要があります。一般的なカードは63mm×88mm程度の場合が多いです。カードのサイズを測定し、それに合ったスリーブを選ぶことが重要です。

2. 厚み

カードスリーブの厚みは、保護の程度や取り扱いのしやすさに影響します。一般的にスリーブの厚みはμmで表されます。スリーブが厚いほどカードをより強固に保護しますが、厚みが増すと柔軟性が低下する場合があります。

3. 材質

カードスリーブの材質も重要な要素です。一般的な材質としては、ポリ塩化ビニール (PVC) やポリプロピレン (PP) 、ポリエチレンテレフタレート (PET) などがあります。また、環境に配慮して再利用可能な素材を選ぶこともできます。