耐アルコールペン

監修:大道産業株式会社

耐アルコールペンとは

耐アルコールペンとは、耐水性・耐溶剤性を持ち、書いた文字がアルコールなどでも消えないペンです。

理化学実験などでは、ガラス器具やマイクロチューブなどの実験器具・研究備品に実験情報を書くことが多くあります。一方で、実験室などではアルコールなどの溶剤を用いることが多いため一般的な油性インクでは消えやすい環境です。そのため、研究開発シーンをターゲットとした耐アルコールペンが製品化されています。インクはにじみにくく、速乾性に優れた特性を持つことが特徴です。

耐アルコールペンの使用用途

1. 概要

耐アルコールペンは主に研究・開発・試験などにおいて、実験器具に実験情報などを筆記するために用いられる筆記用具です。

例えば、バイアルやマイクロチューブなどにサンプルを保管する際に内容物の番号や情報などを筆記したり、フラスコや試験管などに重量などの一時的なメモを筆記する用途などがあります。化学、生物学などに関係する研究分野で特に一般的に需要があります。

2. 筆記する対象物など

筆記される器具や備品には主に次のようなものがあります。

  • ラベル
  • ビーカー
  • 試験管
  • 遠沈管
  • フラスコ
  • バイアル
  • スライドガラス
  • カバーガラス
  • シャーレ
  • マイクロチューブ

また、耐アルコールペンは、紙・木材・段ボール・布・金属・磁器などの一般的な素材にも筆記することが可能です。耐水性に優れており水と混ざりにくい素材のインクであるため、凍結面や結露面にも筆記することができます。研究開発においては、冷凍庫から取り出したサンプルチューブや水で濡れた器具などに筆記する場合もあるため、このような特性は役に立ちます。

耐アルコールペンの原理

1. 耐水性・耐溶剤性

耐アルコールペンは、油性顔料インクなどが使用され、下記のような物質に対して消えにくい性質を持ちます。

  • アルコール (エタノール、イソプロパノールなど)
  • クロロホルム
  • キシレン
  • 耐酸性
  • 耐アルカリ性

実験室で用いられる様々な溶剤に対して耐性を発揮する筆記用具です。

2. 筆記特性

耐アルコールペンは、ガラス、各種樹脂 (ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ABSなど) 金属などに特に優れた筆記特性があります。

滑面およびフロスト面への筆記が可能です。各素材について充分な耐性、強度を得るための目安となる乾燥時間は概ね下記のとおりです。

  • ガラス滑面: 3〜5分
  • 樹脂滑面: 3分
  • ガラス・樹脂のフロスト面: 30秒
  • フィルム: 30秒

また、製品によっては紙・布・ビニール・木材・段ボール・磁気へも筆記を行うことができます。オートクレーブの使用は、材質や表面状態によって、筆記した文字が消えることがあります。

3. その他の特性

耐アルコールペンは、耐溶剤性以外にも次のような特性があります。

  • 耐熱性
  • 耐冷性
  • 耐摩擦性
  • 耐候性
  • 耐光性

ただし、これらの性質は製品にもよります。耐熱性では、インクが乾いたあとであれば一般的に220℃から400℃程度の熱に耐えることができます。耐冷性では-50℃よりも低い温度まで対応しており、ディープフリーザーなどでも使用可能です。凍結面や結露面に筆記することができるため、フリーザーから出したばかりのサンプルなどにも筆記することができます。

耐アルコールペンは、十分に乾燥したあとは簡単には落ちなくなりますが、落としたい場合はウエスに中性洗剤を含ませこすり落とすことで落とすことができます。

耐アルコールペンの種類

耐アルコールペンは、様々なメーカーから複数の製品が販売されています。

色の種類には、黒・赤・青などが有ります。細さは0.3mm、0.6mm、0.8mm、1.0mmなどです。両頭タイプのものもあり、細いものから太いものまで用意されています。細いものは特にマイクロチューブの蓋など狭いところに筆記することに最適です。細い製品では、ペン先に硬い素材が用いられ、筆記しやすさを実現しています。用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。

本記事は耐アルコールペンを製造・販売する大道産業株式会社様に監修を頂きました。

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