鉛シート

鉛シートとは

鉛シート (英: Lead sheet) とは、鉛を主成分とした薄い板形状、もしくはシート形状にした鉛製品のことです。

鉛は非常に重い金属であり、高い密度と柔軟性を持っています。これらの特性により、鉛シートはさまざまな用途で使用されています。

防音マットとして床に引いたり、防音材として壁に貼り付けたりして使う場合が多いです。また、放射線を効果的に遮蔽するため、放射線治療や放射線防護の用途もあります。

各種用途に合わせた厚みが存在するため、用途に応じて最適なものを使い分けることが大切です。

鉛シートの使用用途

鉛シートは家庭内や研究開発施設などにおいて、主に、次のような用途があります。

1. 放射線遮蔽

鉛は放射線を効果的に遮蔽するため、放射線治療や放射線防護の用途で使用されます。医療施設や核施設などで、X線室や防護壁に鉛シートが使用されることがあります。

2. 音や振動の吸収

鉛の高い密度と柔軟性により、音や振動を吸収する効果があります。音響室や振動対策の材料として使用されることがあります。

鉛シートの性質

鉛シートの主成分である鉛には、以下のような性質があります。

1. 高密度

鉛は非常に高い密度を持つ金属です。その密度は他の一般的な金属よりも高く、重い物質として知られています。有名な金属材料の鉄の密度は7.87g/cm^3ですが、鉛は11.34g/cm^3です。この数字を比較してみても、鉛の密度が高いことがよくわかります。

2. 柔軟性

鉛は比較的柔らかい金属であり、容易に加工・成形することが可能です。この柔軟性により、鉛シートは様々な形状にカットや加工され、特定の用途に適した形になります。手の力でも簡単に変形させられるため、釣り糸に使用する錘 (ウェイト) に使われています。

3. 耐腐食性

鉛は腐食に対して耐性があります。この特性により、鉛シートはさまざまな環境で使用される際に長期間にわたって耐久性を持ちます。

4. 高い放射線遮蔽性

鉛は放射線を効果的に遮蔽する特性を持ちます。

5. 有害性

鉛は有害な物質であり、特に長期間にわたる高濃度の暴露は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、鉛の取り扱いには十分な安全対策が必要です。

これらの性質により、鉛はさまざまな産業や用途で利用されていますが、その有害性に注意しながら適切な取り扱いが求められます。

鉛シートの種類

また、鉛シートは各種用途に合わせた種類、厚みが存在します。代表的なものは、以下のとおりです。

1. 放射線遮蔽用鉛シート

放射線治療や放射線防護に使用されます。厚みは1.0mmから5.0mm以上まで幅広くあります。

2. 防水用鉛シート

建物の屋根や外壁の防水に使用されます。一般的な厚みは1.0mmから1.5mm程度です。

3. 遮音シート

音響室や振動対策に使用されます。厚みは0.5mmから1.0mm程度です。

鉛シートの選び方

鉛シートは、さまざまな性質を持つ鉛をシート状に加工したものです。防音効果を得るためには、鉛シートの厚みは適切な大きさであることが重要です。

一般的に最低限の厚みは、0.5mmから1.0mm程度です。この範囲の鉛シートは、一般的な音響室や振動対策に一定の防音効果をもたらします。より高い防音効果を得るためには、厚みを増やすことが考えられます。1.5mm以上の厚みの鉛シートを使用すると、より高い防音性能が期待されます。

ただし、厚い鉛シートは重くなるため、設置や取り扱いが困難になることがあります。適切な厚みは、防音目的と取り扱いの容易さのバランスを考慮して決定する必要があります。 また、鉛シートの効果を最大限に発揮するためには、シール性を高めるためのコーキングや密着性の向上など、適切な取り付け方法も重要です。

防音対策は個々の状況に合わせて行う必要があるため、専門家のアドバイスを仰ぐことでより効果的な対策が可能となります。

参考文献
https://www.pialiving.com/q_and_a/material1.html
https://intuos4.blog.fc2.com/blog-entry-1257.html

濃度計

監修:株式会社アントンパール・ジャパン

濃度計とは

濃度計

濃度計とは、液体や気体に含まれる物質の量をリアルタイムで測定する装置のことです。液体濃度計の場合、サンプルの物性値を測定し、そこから検量線を使用して濃度値に換算します。主に屈折率、密度、音速、導電率、吸光度などが測定原理として用いられます。

単一の物性値から濃度値を算出する場合は、2液混合物の濃度測定に限られますが、複数の物性値を組み合わせることで、3成分程度の濃度測定であれば可能です。

特定の物質のピークを取って測定する場合は複数成分に対応しますが、ベースラインの安定が必要なため、使用毎に校正を行うことが望ましいと言えます。また、特定のピークがサンプルに含まれるほかの成分と重なることがないかの確認も必要となります。

濃度計の使用用途

濃度の分析を行う際には、HPLCや元素分析が行われますが、時間と手間がかかるため、濃度計は別の方法でリアルタイムに測定を行います。

そのため、工場や実験装置の配管やタンクに取り付けて、連続的に液体の濃度を測定する使い方がメインとなります。例えば、アルコール濃度の測定用としては、国税庁の所定分析法に密度計での測定が定められています。

エタノールのほかに、IPA、塩酸硫酸水酸化ナトリウムアセトン、NMP、ガソリン、軽油、潤滑油、冷媒、ビール、糖(Brix)、など幅広く対応できるため、化学、石油、食品、飲料、半導体、電池、自動車など使用する業界を問いません。

また、液体濃度だけでなく、スラリーなどの固形分濃度計に使用できる密度計も存在しますが、対応する装置かどうか確認が必要です。スラリーの場合、セラミックスラリー、金属スラリー、樹脂スラリー、食品などがあります。電池業界向けの需要も高まっています。

濃度計の原理

濃度測定の測定原理は様々なため、目的に合わせた測定原理を選ぶ必要があります。

最適な測定原理の選定がなされないと、必要以上に複雑な機構になったり、高額になったり、必要な精度が得られない可能性があります。

そのため、必要な測定原理が定まっていない場合は、複数の測定原理を並列して比べられるといいでしょう。測定原理の比較の際には、それぞれの物性を測定する卓上型分析計が必要になります。

例えば、屈折率計や密度計は卓上型もプロセス型も存在するため、小さなスケールで測定の可否を調べることができます。質量流量計などでは、卓上装置がないため、プロセスに流れるサンプルのデータから検量線のデータを作成せざる得なく、検量線の作成は大掛かりになります。

また、NIRなどは、多項目の分析の可能性がひたかれているものの、必要なデータ量が多く導入コストも高くなります。測定原理については、裏付け測定も可能な汎用的な規格化された項目だと導入後の検証が容易になります。

本記事は濃度計を製造・販売する株式会社アントンパール・ジャパン様に監修を頂きました。

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