AED収納ボックス

AED収納ボックスとはAED収納ボックス

AED収納ボックスは自動体外式除細動器(AED)を収納する設備で、学校、事業所、公共機関などに設置されています。AEDが故障しないように水分や衝撃から守り、一次救命が必要なときにすぐ使えるよう改良されてきました。

ただの収納ケースではなく、①精密機器であるAEDを保護する、②AEDを定置管理する、③目立つデザインでAEDの場所を知らせる、③開放時にアラームを鳴らして周囲に異常を伝える、という役割があります。機種によっては災害時の非常道具を収納しておくこともできます。

AED収納ボックスの使用用途

AEDは、一次救命における心臓の除細動(心室の小刻みな震えを止めて心拍を正常に戻す行為)を自動でおこなう医療機器です。学校や企業の事業所、駅、空港、スーパーマーケットなどあらゆる場所に設置されています。

AEDを設置するにあたり、重要なのは保管環境です。精密な医療機器なので、適切に保管しなければ必要な時に正常に作動しないおそれもあります。また、分かりにくい場所に置かれていては、すぐに見つけることができません。そこでAED収納ボックスに保管ことで、AEDを保護し、定置管理して場所を分かりやすくすることができます。

AED収納ボックスの特徴

AED収納ボックスの外観は、以下の3種類が主流です。設置場所の広さや、壁を加工できるかどうかによって選定します。

  • 壁埋め込み型
    筐体形のボックスを壁のくぼみにはめて固定します。壁に埋め込まれているので、振動に対して丈夫で邪魔にもなりません。
  • 壁掛け型
    壁の平面部分にボルトで固定します。壁の形状に関係なく取り付けられます。
  • スタンド型
    床や地面に直立させるタイプで、壁に取り付けられない場所でも設置できます。縦長な形をしており、下側が防災用品の収納スペースになっている製品もあります。

AED収納ボックスにAEDを保管するメリットを以下に紹介します。

  • AED収納ボックス本体は主に金属製(亜鉛めっき)であり、耐衝撃性や防水性があります。そのためAEDに衝撃が加わったり水がかかったりするのを防ぎ、故障を予防します。
  • 収納ボックスを壁に据え付けておくことでAEDの定置管理ができ、必要な時にすぐ取り出せます。
  • 赤やオレンジ色を基調とした目立つデザインが施されており、「AED」のロゴも大きく入っているため、初めて来る場所でもAEDの位置を見つけやすくなります。
  • 収納ボックスの扉を開けるとアラームが鳴り、周囲に異常を知らせます。これにより一人でも多くの救助者を集めることができます。

参考文献
https://www.sanwa303.co.jp/product/1226/

UHFレシーバー

UHFレシーバーとは

UHF (英: Ultra High Frequency) レシーバーとは、極超短波を受信する機器のことです。

この周波数帯は300MHzから3GHz (波長: 10cm~1m) までの範囲にあり、通常テレビ放送、移動体通信、無線LANなど、様々な無線通信サービスで利用されます。UHFレシーバーは、この周波数帯をキャッチし、視聴者や利用者が情報を得られる形に変換します。

なお、UHF帯はVHF (英: Very High Frequency) 帯よりも高い周波数帯を使用しているため、通信速度は速く、データ転送能力も高いです。しかし、その一方で、物理的な障害物による影響を受けやすい特性も持っています。

一般的にUHFのみの電波を受信するレシーバーは少なく、通常はより広い帯域の電波を受信できるレシーバーがほとんどです。

UHFレシーバーの使用用途

UHFレシーバーは、業務用音響機器に広く使用されています。以下に、UHFレシーバーの主な使用事例をいくつか紹介します。

1. ワイヤレスマイク

UHFレシーバーは、ワイヤレスマイクに使用されます。レシーバーは、マイクから送信される信号を受信し、音声信号に変換します。高性能かつコンパクトなUHFレシーバーが多数販売されており、様々な用途に使用されています。

2. 業務用音響機器

例えば、業務用スピーカーや業務用アンプ、業務用ミキサーなどに使用されます。UHFレシーバーを使用して、高品質の音声信号を受信ができます。

3. カラオケ機器

カラオケでは、ワイヤレスマイクロホンがよく使われますが、その受信機としてUHFレシーバーが必要です。UHFレシーバーは、複数のチャンネルに対応し、デジタル処理によりクリアな音質を実現します。また、高効率受信のフロントアンテナ採用で移動や設置が簡単です。

4. 広帯域受信機

広帯域受信機とは、多くの周波数帯をカバーする受信機のことです。アマチュア無線や航空無線、各種デジタル無線などを受信できます。

UHFレシーバーの原理

UHFレシーバーは、大きく分けて以下の4つの部分からなります。

1. アンテナ

UHF帯域の電波を受信する部分です。アンテナの形状や大きさは、受信したい周波数によって異なります。アンテナから受信した電波は、電気信号に変換されます。

2. チューナー

電気信号に変換された電波から、目的の周波数を選択する部分です。チューナーは、可変キャパシタや可変インダクタなどの素子を使って、周波数を調整します。

チューナーから出力された信号は、中間周波数 (IF) と呼ばれる一定の周波数に変換されます。

3. デモジュレータ

中間周波数に変換された信号から、音声や映像などの情報を取り出す部分です。デモジュレータは、変調方式に応じて異なる回路を使って信号を復調します。

デモジュレータから出力された信号は、スピーカーやディスプレイなどに送られます。

4. 制御回路

UHFレシーバーの動作を制御する部分です。制御回路は、マイクロコントローラやマイクロプロセッサなどの集積回路を使って、チャンネル選択や音量調整などの操作を行います。制御回路は、リモコンやボタンなどからの入力を受け取ります。

UHFレシーバーの種類

UHFレシーバーは、さまざまな用途や性能に応じて、以下のような種類に分けられます。

1. ワイヤレスマイクロホン用レシーバー

カラオケやライブパフォーマンスなどで、ワイヤレスマイクロホンから送信される音声信号を受信するレシーバーです。通常、800MHz帯や900MHz帯を使用し、FM (周波数変調) やデジタル変調方式で信号を伝送します。

受信感度や歪率、音質などに優れたものが求められます。モデルによりますが、デジタル処理によりクリアな音質を実現し、高効率受信のフロントアンテナ採用で移動や設置が簡単なUHFワイヤレスレシーバーもあります。

2. ハンディレシーバー

持ち運びができる小型のレシーバーで、広い周波数帯をカバーし、FMやWFM (広帯域FM) 、AM (振幅変調) などの受信モードを切り替えられます。ラジオ放送やエアバンド、各種業務無線などを受信可能です。

電池寿命やスキャン速度、メモリー機能などに優れたものが求められます。モデルによっては0.100~1309.995MHzをカバーし、100ch/秒の高速スキャンや空線キャンセラーなどの多彩な機能を備えた広帯域ハンディレシーバーも存在します。

3. レシーバーシステム

複数のトランスミッターやアンテナと連携して、高品質な音声や映像を受信するレシーバーシステムです。会議室や教室、劇場などで使用されます。同時使用チャンネル数や周波数安定性、干渉除去能力などに優れたものが求められます。

参考文献
https://www.alinco.co.jp/product/electron/detail/id=4401
http://www9.wind.ne.jp/fujin/diy/radio/radio02.htm

パイプラックシステム

パイプラックシステムとは

パイプラックシステムとは、パイプ同士をジョイントを使って結合し、それに様々なパーツを組み合わせて、ラックや台車など様々な設備品を作成できる一連の商品のことです。

パイプラックシステムを使うと、パイプの長さや本数、パイプの結合の仕方を変えることにより、簡単に望み通りの寸法を持ったラック等を作れます。また脚の先端にキャスターを付けて移動できるワゴンを作ったり、床にネジで固定する金具を付けて耐震性に優れた棚を作る等、使用目的に合った設備品を構築可能です。

パイプラックシステムの使用用途

パイプラックシステムで構築した設備は、倉庫、工場、オフィス、病院など多くの場所で使用されています。

パイプラックシステムが広く使われる理由は、専用の付属品と組み合わせることで使用状況に適した形状と大きさの棚、台車、作業台、仕切り板等を作ることが可能な、利便性と自由度の大きさにあります。

パイプラックシステムでは、パイプをジョイントを使って結合させ基本となるフレームを組み立て、そこに専用の付属品を取り付けることで、それぞれ異なる使用目的の設備が作られます。

例えば、フレームの脚となるパイプの先端にキャスターを取り付けると、移動用の台車やワゴンを作れます。ものを置く棚や作業用の机を組み立てる際にはキャスターの代わりに樹脂製のアジャスターを取り付けます。地震の際に倒れたり移動したりしないようにする場合には、ボルト止めの穴が開いた金具を取り付けて、床に固定することができます。

パイプラックシステムの原理

パイプラックシステムの基本は、フレームとなるパイプと、パイプ同士を接合するジョイントです。組み上げる設備の外形や寸法の自由度が高く、それに取り付けるボードや車輪、金具などで様々な用途の設備を組み上げることが可能です。

パイプは丸型のパイプが一般的ですが、角型のパイプもあります。パイプの材質はアルミなどの合金の他に樹脂のものもあります。長さや太さは様々あり、組み立てる設備の寸法に合わせて選択します。また、長さは切断によって調整を行うこともあります。

ジョイントはそれぞれのパイプの太さと形状にあったものを使用します。ジョイントには、パイプの外側に装着するものと内側にはめ込むものがあります。ジョイントを使ったパイプ同士の接合形状はT字型、L字型とx-y-zの3軸方向に直角に交わるものを基本とし、立方体のフレームを組み上げます。また、2つのパイプを斜めに結合するジョイントもあります。

パイプラックシステムの選び方

パイプシステムラックを選択する際には、それで何を作りたいのかを考えて、システムに組み込む主要部品と、それを収納するパイプの大きさと本数、必要なジョイントの数や形、アジャスターやキャスターなどの付属品をリストアップします。

その際に重要なのは、十分な強度と安全性を保てるように検討することです。特に、シューター等を使った重量物の保管棚等を組み立てるときには十分な耐荷重性能を持たせることが必須です。さらに、使用する環境によっては、発塵性や耐薬品性能を検討項目に加える必要があります。

また、パイプやジョイントやそのほかの部品等は、WEBサイトで単品でも購入できます。個別に部品を買い揃える際には、それぞれのサイズや適合性を確認する必要があります。

パイプラックシステムのメーカーの中には、作ろうとしている設備品の仕様を伝えると、それに必要なパイプや部品を揃えて提案書 (設計図) を作ってくれる会社もあります。さらには仕様に基づいた完成品までを受託する会社もあります。自分たちがパイプラックシステムでどういう構築方法を選択したいのか、それに合った交渉相手を選択可能です。

参考文献
http://www.omikogyo.co.jp/product_detail/98/
https://www.tmehjapan.jp/pipe_racking_system/
https://www.spacio.co.jp/business/solution/
https://www.steel-labo-shopping.com/pipe_system.html
https://www.tmehjapan.jp/item/products_pipe/
http://www.antac.co.jp/kaizen.html 

バーラック

バーラックとはバーラック

バーラックは、支柱と腕木(バー、アーム)からなるラックです。カンチラックとも言います。

前面側に支柱がないため、長さ3m以上の長尺物や重量物の収納に適しており、支柱と支持するバーを水平方向に追加して耐荷重を増やすこともできます。

バーは支柱に一点で取り付けられており、棚の有効高さの変更も容易です。パレットラックと比べて無駄な隙間ができず、いろいろなサイズの荷物を効率よく保管できます。

出し入れの際に棚板とこすれて傷が発生することも、軽減できます。 

バーラックの使用用途

バーラックは、主に、木材、鋼材、パイプなど、パレット化できない棒状や板状の長尺物や重量物を保管するために使用されます。

丸棒、サイディング、鉄パイプ、アルミ角パイプ、建築資材(合板)、各種波板、樹脂フィルム、工作物などの保管に適しています。

長尺物や重量物を扱う工場や倉庫での製品の保管や、販売店での商品の陳列・保管に使用できます。

保管スペースの削減や、段組み作業時間の短縮など作業効率のアップにつながります。 

バーラックの特徴

バーラックは支柱とバー(腕木)からなり、棚板がないラックです。

前面側に支柱がなく、長さ3m以上の長尺物や重量物の収納に適しています。出し入れをスムーズかつスピーディーに行うことができるので、保管作業の効率がアップします。

支柱とバーを水平方向に追加して耐荷重を増やすことができ、収納物に合わせてサイズを容易に変更できます。バーは支柱に一点で取り付けられており、棚の有効高さも容易に変更でき、無駄な隙間を作らず、効率よく荷物を収納できます。

棚板がなく、収納物を「線」で保管するため、荷物の出し入れの際に棚板とこすれて傷が発生することを軽減できます。

前面・両端に支柱がないので、パレットラックでは柔軟に対応できないような場合にも対応でき、収納する荷物の大きさが頻繁に変わる場合や、横幅や奥行きが異なる荷物を横に並べておきたい場合などにも活用できます。また、所定外の荷物を置きたい場合にも、隙間なく収納することが可能です。 

参考文献
https://kitajimasteel.com/html/page9.html
http://fuso-metal.jp/item_detail.html?sid=6

ハヤコート

ハヤコートとは

ハヤコートとは、サンハヤト株式会社が製造販売する基板用コーティング剤の商品名です。サンハヤトの基板コーティング剤であるハヤコートは、ハヤコートMark2と呼ばれ、
屋外設置された機器の内部にある基板の湿気や結露や塩害と言った外的な環境要因に対して、その他にも温泉地を代表する硫黄などの腐食性気体を発生させる環境下において、又、
マイグレーションや吸湿などによる絶縁性低下に対しても、このハヤコートを塗布することで、基板の腐食や絶縁防止対策が図れます。

ハヤコートの使用用途

ハヤコートの使用用途については、サンハヤトのホームページより、ハヤコートの採用事例に関する記載が有りましたので、以下に参考転記します。ハヤコートMark2の採用事例は、工場内におけるファクトリーオートメーションロボット用の制御基板に採用、信号機や券売機などの交通制御システムに採用、自動販売機に採用、携帯基地局にて採用、野外での音響装置に採用、空調用室外機に採用、温泉地の監視装置や通信装置に採用、強制冷却中の結露によるマイコンオーバークロック対策など、量産向けに多数の使用実績があります。

ハヤコートの原理

ハヤコートを製造販売しているサンハヤト株式会社は、化学製品事業から始まった会社で、ヒット商品の接点復活剤を始めとした主に電子基板に関する化学製品を主体に開発しており、現在では電子機器事業から基板関連製品事業からオーディオ関連製品事業まで広げています。その中でも基板絶縁コーティング剤のハヤコートは、会社創設後、間もなくして発売を始めているサンハヤトにとっても歴史のある主力商品であることは間違いありません。そんな主力商品のハヤコートは、そのコーティング剤を基板に塗布することで、基板に形成した絶縁被膜が、湿気や腐食を引き起こす汚れた外気などの不具合要因から基板をガードしてくれます。臭気も低く、有機溶剤中毒予防規則に非該当である為、作業も容易に行えます。基板の狭い箇所にまで十分に染み渡るので絶縁性は抜群で、半田面や金属や樹脂などにもシッカリ密着します。更に、基板の補修時にはコーティングを剥がさなくとも、そのまま状態で半田付けが可能ですので、リワーク性にも優れています。

ネスティングラック

ネスティングラックとは

ネスティングラックとは、収納ラックのことです。

コンテナと保管棚の2つの機能を併せ持ち、倉庫用の収納ラックとして使用されることが一般的です。3~4段に高く積んで立体的に収納可能で、フォークリフトなどを用いてパレットを載せたまま運ぶことができます。

使用しない時には、入れ子にして収納します。最小限のスペースで保管できるため、スペースの最適活用、アイテムの保護、作業効率の向上など、さまざまな利点を発揮します。その堅牢な構造と多様性は、様々な産業分野で活躍できる重要なツールです。

ネスティングラックの使用用途

工業用のネスティングラックは、その優れた機能性と柔軟性によって、さまざまな産業分野で幅広い使用用途に活用されています。例えば、物流倉庫などではパレットと併用して保管・運搬に用いられます。

食品業界においては、食品の保存や冷凍庫での管理に使用されることで、効率的な食品供給を支えます。製品の部品や素材を一時的に保管するために使用されるだけでなく、製造ラインでの作業の流れをスムーズにするための収納手段としても有用です。

組み立て時に部品が整理された状態でラックに収納されるため、作業者は必要な部品を迅速に取り出し、効率的に組み立てることができます。衣料品や寝具、飲料品など、季節によって繁閑があり、必要な保管スペースが随時変わる商品を扱う業務に特に向いているのがネスティングラックです。繁忙期には保管量を高め、閑散期には収納して他の用途に応用できます。

さらに、短期間の保管業務にも適しています。ネスティングラックは、設置の手間が少なく、業務の終了後の解体作業が不要です。別拠点への転用の場合にも、移設先の倉庫の天井の高さなどを問いません。

ネスティングラックの原理

ネスティングラックは、ネスト (巣に入れる) することができる構造を持っています。これにより、ラックが使用されないときや空の状態の際に、複数のラックを効率的に収納できるため、スペースの節約が可能です。

素材はスチール製が主流ですが、高張力鋼板を使用することでより高い耐久性を持つ製品もあります。限られたスペースでも効率よく保管できるうえ、荷崩れによる落下や破損を防ぐことも可能です。また、重い部品や製品を支えることができるため、安定した保管も保証されています。

ネスティングラックは、カスタマイズ性も抜群です。デザインの工夫によって、さまざまなタイプのアイテムに対応できるようになっています。棚板や仕切りを調整したり、必要に応じてカスタマイズすることで、異なる形状やサイズのアイテムを収納することが可能です。これにより、効率的な在庫管理が実現され、作業効率が向上します。

ネスティングラックの特徴

積み重ねて使用し、使用しない時には入れ子にして (ネスティング) 収納できることから、ネスティングラックと呼ばれます。3~4段に高く積んで立体的に収納可能で、フォークリフトなどを用いてパレットを載せたまま運ぶことができます。保管棚とコンテナの機能を併せ持つ倉庫用のラックです。

間口や奥行きは製品によってさまざまで、ラック1台でパレット2台分の保管に対応しています。組立てや設置工事の必要がなく、レイアウトも自由に変更可能です。収納スペースをすぐ確保したい場合やレイアウトの変更がよくある場合に適しています。

高積みをして使用できるので、部屋の上部の空間を無駄にしない点も大きな特徴です。積み重ねは最高4mまでとなっており、サイズによっては天地5段にすることもできます。

なお、接続部分はレールオンレール方式です。上下の異なる角度が隙間を生み、クッション効果が得られる構造となっています。上段の荷重が下段の支柱に直接かかることがありません。荷重がかかったり揺れたりするたびにレールとレールが食い込んで、安全性が高まります。 

チャージアンプ

チャージアンプとは

チャージアンプとは、計測が難しい圧電式センサなどから発生する非常に小さな電荷信号を、比例した電圧信号に変換する処理を行うアンプです。

圧電式センサから発生する電荷信号は、圧電式センサに加えられた圧力に正確に比例するため、この値を正確計測することは非常に有意義です。チャージアンプは、圧力センサが発生した電荷信号を正確に電荷に比例した電圧に変換できます。

チャージアンプの使用用途

1. 圧電式センサの増幅

チャージアンプは、圧電式センサで測定を行う際に使用されます。チャージアンプは圧電式センサーを設置する場所が狭い場所や環境温度が高い環境等で使用します。これは圧電式センサはセンサーが小型で、中には耐熱性が高い特徴を持ち、上記の環境で測定することが多いためです。

また、チャージアンプは応答性が必要な計測にも最適です。圧電式センサは微小の変位を計測するため合成の高いセンサを製造することができます。計測した微小の変位をチャージアンプで増幅するために使用されます。

2. その他

比例計数管やシンチレーションカウンタなど、電離放射線を測定する機器に広く使用されています。これらの機器は、電離現象での放射線を検出して、各パルスのエネルギーを測定しています。

チャージアンプを用いると検出器からの電荷パルスを電圧出力に変換して、各パルスごとの測定が可能です。

チャージアンプの原理

既に述べたように圧電式センサは圧力が加えられると微小電荷が発生します。この微小電荷を測定可能な電圧に変換するのがチャージアンプの役目です。

1. 電荷変換

チャージアンプは、圧電センサから印加される圧力に比例した負の電荷出力を正の比例電圧に変換しています。現代のチャージアンプでは、この信号をそのままデジタル形式として利用することも可能です。

電荷を電圧信号に変換することで、データ処理する計測器 (DAQ、FFTアナライザ、オシロスコープなど) に入力できる信号になります。

2. 増幅機構

チャージアンプが微小電荷から電圧に変換する際は、積分増幅器を用います。積分増幅器のコンデンサ容量をCgとし微小電荷の電荷をQとすると、電圧VはV = Q / Cgで求められます。

チャージアンプの積分増幅器の構成は、オペアンプとコンデンサからなる回路です。コンデンサに入る電流を時間積分して、電荷を増幅する回路となっています。

入力の電荷は全てコンデンサにチャージされます。チャージアンプの積分増幅器とよく似た回路に、積分回路があります。これは入力に電流・電圧変換回路である抵抗を付与した回路です。電圧を時間積分して増幅する特徴を持っています。

3. ノイズ除去・保護機能

チャージアンプの中には出力箇所にハイパスフィルタやローパスフィルタを設けており、ノイズ除去を行っています。また、チャージアンプの増幅回路の入力に抵抗が付いている場合もあります。その抵抗は電流・電圧変換が目的ではなく、過大な入力信号に対する保護を目的とした抵抗です。

チャージアンプの選び方

実際には正確な測定を行うためには、測定対象により適切なチャージアンプを選択することが非常に重要です。チャージアンプを選定するにあたり、重要な観点を以下に述べます。

1. 測定チャンネルの数

測定箇所が複数ある場合には、測定チャンネルが複数無いと測定ができません。測定チャンネルが不足している場合は、もちろんチャージアンプを買い増せば測定は可能ですが、コストも調整作業も複雑になるためメリットは少ないです。

2. 入力可能な電荷信号の大きさ

圧電式センサの電荷信号の大小に対応しているかどうかも重要なポイントです。当然測定レンジが一致していなければ測定はできませんが、今後の測定計画を見据えた測定レンジのチャージアンプを導入する必要があります。

参考文献
https://www.kistler.com/ja/glossary/term/charge-amplifiers/

チップヒューズ

チップヒューズとはチップヒューズ

チップヒューズとは、基板上に実装するチップ部品の1種です。

回路の異常により過電流が流れて発熱しても、溶断による事故を防ぐ役割があります。構造はチップ抵抗器とほぼ同じですが、抵抗体の代わりに融点が低い金属である溶断エレメントとして使われています。

チップヒューズの使用用途

チップヒューズは、基板上に実装されています。具体的な採用例として、スマートホンや携帯電話などのバッテリ駆動の通信機器、ポータブルタイプのオーディオ機器、カメラなどの撮影機材の電子回路が挙げられます。

基板上の素子の異常などにより、過電流が流れた場合の事故防止を目的としています。ただし、通常のヒューズのように商用電源が接続される電源回路に使うものではありません。

なぜなら、チップヒューズは部品寸法が小さく、絶縁距離を十分確保できない上、大きな電流を流すこともできないためです。あくまでも一部の回路や基板の保護用に使うものです。

チップヒューズの原理

チップヒューズは、単層もしくは多層のセラミック基板に電流が流れる溶断エレメントを形成したものです。溶断エレメントは、銅、金、または銅錫や銀パラジウム合金等、導電性が比較的高い材料がベースで、それ故にヒューズの抵抗値は小さなものになります。

また、溶断エレメントは、レーザトリミングした厚膜デポジットやエッチング加工した金属層を用いて、求められる特性を実現します。つまり、チップヒューズに流れる電流が定格を超えた過負荷の下で一定時間が経過すると、溶断エレメントが溶融するように形状と厚さが設定されています。

加えてチップヒューズが確実に動作するためには、溶断エレメントをさまざまな周囲環境から保護する必要があります。多層のチップヒューズはセラミック基板層で周囲を覆われているので、溶断エレメントに特別な保護膜は不要です。一方、単層のチップヒューズでは、通常エレメントはラッカーまたはエポキシを保護膜として塗布して特性の変化を防止しています。

また、ヒューズには速断型やラッシュ電流では溶断しにくい耐インラッシュなどのさまざまなタイプが存在しており、タイプによって溶断特性が異なります。溶断特性を考慮しないと、正常作動時にもヒューズが切れる可能性がある一方、万一の際に回路保護が機能しない等の問題が起こるため、使用する回路に合わせて最適な溶断特性を備えたヒューズを選定することが大切です。

チップヒューズの選び方

回路を流れる電流が一定である場合、ヒューズの選定は容易です。短絡などの異常時は、通常より遥かに大きな電流が流れるため、回路の動作電流を超えた直ちに溶断するものを選べば問題ありません。したがって、ほぼ一定の電流が流れる回路では「速断型」と呼ばれるタイプのヒューズを選定します。

しかし、実際に回路に流れる電流は、多くの場合一定ではなく、動作状態によって複雑に変化するものです。例えば、電源回路に静電容量の大きなコンデンサが接続されていると、電源投入時は定常時の何倍もの突入電流が流れます。モータなどでも、起動時 (電源が投入されてから回転が安定するまで) に大きな電流が流れることは避けられません。

こうしたラッシュ電流は正常な動作ですが、ヒューズの選定によってはそのラッシュ電流で切れてしまう恐れがあります。一方、ヒューズの定格電流を余裕をもって大きめに設定すると、安全性が薄れてしまうので望ましくありません。このような場合は、短時間のラッシュ電流では溶断しない特性を有する「耐インラッシュ型ヒューズ」を用いることが1つの対策です。

1. ラッシュ電流

回路のラッシュ電流とヒューズの溶断との関係を見極めることは難しいもので、電流の波形や時間とヒューズの溶断特性とをよく検討しなければなりません。

ヒューズで発生する熱の経時変化を踏まえ、これに適した溶断特性をもったものを選定する必要があります。ヒューズメーカからはそのための資料が多数提供されているので、それらを活用することをおすすめします。

2. 定格電圧

ヒューズは回路設計上は電線と同じに扱いますが、実際には小さな抵抗値を持つため、多少の電圧降下は避けられません。特に最近の電子回路は動作電圧が低くなっているので、その電圧降下の影響を確認しておくことが必要です。

また、ヒューズにも定格電圧があり、必ずその電圧以下で使用して下さい。チップヒューズの定格電圧を超えて使用すると、溶断後にアーク放電を起こして再度導通してしまう恐れがあります。

3. 定格電流とディレーティング

定格電流で考慮すべきことは、ディレーティングです。ヒューズの場合は、2種類のディレーティングがあります。1つは一般的なディレーティングで、回路の定常電流がヒューズの定格電流の70%以下となるようにヒューズを選択することです (ヒューズメーカにより多少異なります) 。

もう一方は、温度に対するディレーティングです。ヒューズが実装された基板の周囲温度に対応したディレーティングを設定する必要があります。一般にディレーティングの量はヒューズメーカのカタログやデータシートに記載されているため、確認が必要です。

4. その他

ガラス管ヒューズなどは過大電流により溶断した場合でも、故障個所を修理した後にヒューズを交換して導通を復旧させることができます。しかしながら、チップヒューズでは基本的に交換することは想定していません。即ち、チップヒューズが溶断した場合は、ヒューズ交換ではなく基板全体を修理交換することになります。

また、チップヒューズでは「溶断したかどうか」を目視で確認することは困難です。テスターなどを使用すれば電気的に溶断を確認することが可能ですが、ガラス管ヒューズのように外観から判断することはできません。

参考文献
https://www.koaglobal.com/product/category/fuse
http://www.rs-components.jp/techinfo/techmame/mame_200612.html

スレッドミル

スレッドミルとは

スレッドミルとは、従来のタップを使用したねじ切り工具に代わる新しい切削工具のことです。

タップによるねじ切りでは、あらかじめ適切なサイズの下穴をドリルで開けてから加工が必要になりますが、スレッドミルはそのような下穴が不要です。一本の工具で穴あけとねじ切りを同時に行うことができます。そのため、工具交換時間を大幅に短縮することが可能となります。

さらに、スレッドミルはタップと比較して切りくずが詰まるリスクが低く、そのため詰まりが原因で折れるリスクも軽減されます。仮に工具が折れてしまっても、穴に詰まることがないため、折れた後の除去作業も容易です。

これらの特徴から、スレッドミルは効率的なねじ切り加工を実現する画期的な工具と言えます。従来のタップに比べて、短縮された工具交換時間や折れるリスクの低減など、さまざまなメリットがあり、現在注目されている工具の1つです。

スレッドミルの使用用途

スレッドミルは、タップと同様に工作物のねじ切り加工に使われます。しかし、スレッドミルは超硬工具であるため、タップよりも硬い材料 (工具鋼や焼き入れ鋼) でもねじ切り加工が可能です。この特徴は、さまざまな材料を加工する際に役立ちます。

また、スレッドミルはタップに比べて機械にかかる負荷が少ないため、剛性の低い小さなマシニングセンタでも使用可能です。さらに、スレッドミルは左ねじや細目ねじなどの特殊なねじ切り加工にも対応できます。NCプログラムを変更するだけで、一本の工具で様々なねじ切り加工ができるため、専用のタップを複数用意する必要がありません。そのため、コストや工具管理の手間も削減されます。

スレッドミルの原理

スレッドミルは、ヘリカル加工と呼ばれる方法でねじ切りを行っています。タップがあらかじめ開けた穴に対して垂直にねじを切るのに対し、スレッドミルはXYZの3軸を同時に動かし、螺旋を描きながら金属を削ります。ピッチが同じであれば、NCプログラムを変更するだけでさまざまなサイズのねじ切りが可能です。さらに、径補正を変えることで、めねじの精度も簡単に調整できます。

また、スレッドミルには面取り刃が先端についている種類もあり、下穴、タップ、面取りといった工程を一本の工具で集約することが可能です。ただし、スレッドミルにもデメリットが存在します。

タップがZ軸の動きのみで加工するのに対して、スレッドミルはXYZの3軸同時制御で加工を行うため、NCプログラムが複雑になります。そのため、加工時間が長くなってしまい、同じ穴を多く開ける場合には時間がかかりすぎる場合もあるため注意が必要です。

スレッドミルの種類

スレッドミルはねじ切り加工に用いられる優れた工具で、主に「ソリッドカーバイドスレッドミル」「インデックス式スレッドミル」「マルチフォームスレッドミル」3種類が存在します。

1. ソリッドカーバイドスレッドミル

ソリッドカーバイドスレッドミルは、切刃部分が超硬合金 (カーバイド) でできた一体型のスレッドミルです。硬い材料の加工に適しており、高い耐摩耗性と長寿命が特徴です。また、高い剛性を持つため、精密なねじ切り加工にも対応しています。ただし、破損時の交換コストが高いことがデメリットです。

2. インデックス式スレッドミル

インデックス式スレッドミルは、切刃部分が取り替え可能なタイプのスレッドミルです。使用中に切刃が摩耗したり破損したりした場合でも、切刃部分だけを交換すればよいため、コスト面で優れています。また、1つのホルダーに複数の切刃を装着できるため、加工範囲が広がります。

3. マルチフォームスレッドミル

マルチフォームスレッドミルは、1つの工具で複数の異なるピッチや形状のねじ切りが可能なスレッドミルです。そのため、工具の交換を減らせ、加工時間の短縮やコスト削減に貢献します。特殊なねじ切り加工にも対応できるため、幅広い用途で活躍します。

参考文献
https://www.osg.co.jp/products/threadmill/
https://smicut.com/

スラストワッシャ

スラストワッシャとはスラストワッシャ

スラストワッシャとは、回転運動する部品の摺動面を受ける部品です。

ワッシャ (座金) と同じようにスラスト方向 (軸方向) に発生する荷重を受け止めながら、座面で発生する回転運動を受け止めます。ベアリングのように回転しやすくし、摺動面のこすれから発生する異音の低減や可動部の保護を目的に使用する部品です。

なお、ベアリングとの違いは構造にあります。ベアリングは内部に「玉」や「ころ」が内包しますが、スラストワッシャは写真の通り単純なドーナツ形状です。スラストワッシャの相手部品は、スラストワッシャの面で滑りながら回転していきます。

スラストワッシャは、軽量コンパクトの上に安価です。メンテナンスの点でも定期的なオイル補充などが不要であり、摺動する軸と軸受けと軸受けストッパーの間に挿入するだけで、その機能を発揮します。

スラストワッシャの使用用途

図1. スラストワッシャの取り付け

スラストワッシャは、回転する部品の端面とその受け側で発生する摺動部に使用されています。摺動によって引き起こされる摩耗や異音等の抑制、回転部品が滑らかに動くようにすることが目的です。

具体的には、以下の用途が挙げられます。

  • 自動車に内蔵された各種アクチュエータ
  • 小型モータ
  • CDプレーヤー
  • カメラ等の精密機械
  • 携帯電話やスマートフォン
  • ノートパソコン
  • コピー機
  • プリンタ
  • ミシン
  • 洗濯機
  • 扇風機
  • ファックス
  • 自転車
  • リール
  • 空調給湯機器
  • 食品機械
  • 工場内の自動組み立てマシン
  • 一般産業用機械

スラストワッシャの材質を適切に選ぶことで、軽負荷から重負荷のスラスト荷重、高速回転のものでも使用できます。厚みも0.5mm5mm程度と薄く、そのほとんどがメンテナンスフリーです。また、使用時には取り付けの方向が決まっているものもあるため、注意が必要です。

スラストワッシャの原理

図2. スラストワッシャが受ける荷重の方向

スラストワッシャは、スラスト方向 (軸方向) に荷重を受けながら回転する部位に使用されるため、耐摩耗性と低摩擦であることが要求されます。これを満足するために、金属系ではステンレス (炭素鋼) や黄銅合金などがよく使用されています。

樹脂系のスラストワッシャも存在し、フッ素化合物系やナイロン樹脂、ポリアミド系などさまざまです。金属系のスラストワッシャには、表面を滑らかにするだけでなく、テフロンなどで表面をコーティングしたり、潤滑油やグリスを含む孔や溝が設けられたりします。

樹脂系スラストワッシャは、含油するための無数の孔が存在しているものや素材自身の低摩擦を特徴としたものがあります。いずれも基本的にはメンテナンスフリーで、使用中に給油する必要がありません。使い分けについては、使用箇所の温度や荷重条件、搭載スペースなどによって選定します。また、耐薬品性や耐熱性、導電性または絶縁などを考慮した選定も可能です。

スラストワッシャの選び方

スラストワッシャには、金属系と樹脂系があり、高負荷でない限りは樹脂系のスラストワッシャが選ばれます。金属系のスラストワッシャは、樹脂系のものよりスラスト方向 (軸方向) への耐荷重において、樹脂系よりも優れています。

一方で、樹脂系のスラストワッシャは平均的な荷重までに適応しており、金属系スラストワッシャよりも安価です。また、電気絶縁性や耐薬品性、紫外線への耐性などを付与できます。

同サイズであれば、金属よりも軽量です。耐荷重を重視する場合には金属系を、そうでなければ樹脂系のスラストワッシャが選択されます。

スラストワッシャのその他情報

スラストワッシャの製造

図3. スラストワッシャの形状の種類

金属系のスラストワッシャは、薄板の打ち抜きや合金の焼結によって製造されます。打ち抜きの場合には、表面にテフロンなどでコーティングされ低摩擦です。焼結の場合には多孔質に製造されます。ここに、ポリアセタール樹脂 (POM) や親油性繊維、そして油を充填し、定着させます。

樹脂系のスラストワッシャは、低摩擦・高耐久性と有する樹脂プレートを打ち抜く、または、熱可塑性樹脂の焼結などによって生産されます。樹脂焼結によって製造されたスラストワッシャも多孔質で、油を保持しやすい構造です。

参考文献
https://wilco.jp/products/special_topic5.html
https://www.igus.co.jp/iglidur/thrust-washer