ガイドピン

ガイドピンとは

ガイドピンとは、金型に取り付けたプリント基板の試し抜きやワークの切削加工時に、基板やワークと金型の位置合わせのためのガイド役に用いるピンのことです。

一般的には金型の片面にガイドピンを取り付け、プリント基板やワークを金型にセットする際に、このガイドピンにより位置がずれないように保持する役目があります。ガイドピンが無い場合、あわせの位置がずれ、金型に合わせた所望の基板やワークの加工が困難になります。

ちなみにガイドピンは、金型や治具に取り付けする本数が、2本や3本など様々です。また、位置や材質、形状などの種類も豊富にあります。

ガイドピンの使用用途

ガイドピンは、プリント基板試し抜き時のガイド役やワークと呼ばれる切削加工対象物を治具や加工用機械に対して、正確に位置合わせするためのガイド用途として用いられています。

通常ガイドピンを2本取り付ける場合は、片面のプリント基板に使用され、この場合には、ガイドピンを対角状に取り付けることが多いです。メインガイドと呼ばれるケースもあります。

ガイドピンを3本取付ける場合は、両面・多層プリント基板に使用されます。3本ガイドの目的は両面基板です。逆面から抜くことを防止します。

対角状にガイドピンを取り付け、もう1本は直角三角形の位置にくるようにセットします。この3本目は、サブガイドピンと呼ばれるケースもあります。

ガイドピンの原理

ガイドピンは、金型やワークの治工具と、加工対象のプリント基板やワークとの位置を合わせるのが役割です。金型・治工具側にピンを立て、加工される材料側の挿入穴 (ガイド穴) に差し込むことで、位置合せをする構造を有しています。

ガイドピンの種類

ガイドピンは種類が多くあるため、用途に応じて適切なものを選定することが大切です。

1. 材質による分類

ガイドピンは、ガイド役となる重要なピンであり、繰り返し使用により摩耗し難い材質が求められます。一例をあげると、鉄 (SKS) やステンレス (SUS) 、アルミなどです。接触対策として、通常は焼き入れされているものが多くあります。

2. 先端の形状による分類

ガイドピンの先端は、プリント基板を金型にセットする時に基板を傷つけない目的でR形状にされています。そのほか、テーパや球面、フラット、ダイヤ形状のダイヤピンなど様々な種類の形状があります。

形状によってワークへの差し込みや抜き差ししやすいなどの特質が変わるため、用途に応じた使い分けが大切です。

ガイドピンのその他情報

1. ガイドブッシュとサポートピンの違い

ガイドピンと用語面でよく似た使われ方をするものに、サポートピンやガイドブッシュがありますが、その機能は大きく異なります。

ガイドブッシュ
ガイドブッシュとは、旋盤機の内部でワークをつかみ保持する機能を有するものです。一般にチャックの近傍では、ワークはたわみを生じることはありませんが、はなれた部分ではワーク自体の重量によりたわみを発生します。

そのため、ガイドブッシュで保持することでワークのたわみを抑制し、旋盤での加工精度を維持するため使用します。

サポートピン
一方でサポートピンは、支持ピンによる長さ調整目的で使用されます。代表的なものは、足場工事現場のパイプ長の調整などです。

2. 溝付きガイドピンでの環境対策

プレス金型用ガイドピンでは、焼き付き防止のため大量の潤滑油が必要であり、ガイドピンに油用の溝が施されているものも多数存在します。

昨今の環境問題対応のため、この溝付きガイドピンに固形潤滑剤をスパイラル形状に埋設することで、無給油のガイドピンを実現しているメーカーも多いです。

3. ガイドピンとガイド穴のクリアランス

プリント基板の厚みが変わることで、ガイドピンとプリント基板のガイドピン挿入穴 (ガイド穴) の組み合わせを変更する場合があります。

プリント基板が薄くなると、ガイドピンとガイド穴の間のガタツキが大きくなることがあり、またプリント基板の材質によっては加工後にピンから抜き取る際に、プリント基板自体がたわみやすく、ガイドピンからうまく抜き取ることができずに、結果として基板を傷つけてしまう可能性が生じます。

反対に基板厚みが厚い場合に、必要以上にクリアランスを確保すると、所望の加工精度が出ないなどの問題が発生しやすいです。そのため、基板の厚みに応じて、ガイドピンとの挿入穴 (ガイド穴) のクリアランスの最適値を調整することが重要です。

コンテナラック

コンテナラックとは

コンテナラック

コンテナラックとは、コンテナを並べて保管するためのラックです。

一般的には物品を整理し、効率的に保管・取り出しするために使用されます。コンテナラックは、垂直方向に収納スペースを活用できるため、限られたスペースでも多くの物品を保管することが可能です。

この特徴は、倉庫や物流センターなどで特に重要な要素です。また、物品をコンテナに整理して保管することで必要な物品を迅速に見つけて取り出すことが容易になり、作業効率が向上します。

ただし、コンテナラックに収納できる最大重量が制限されている場合があります。過重になるとラックが壊れる可能性があるため、適切な重量制限を守ることが大切です。

コンテナラックの使用用途

コンテナラックは、さまざまな使用用途で活用されています。以下は一般的な使用用途です。

1. 倉庫・物流センター

倉庫や物流センターでは、在庫管理と物品の収納に重要な役割を果たします。物品を整理しつつスペースを最大限に活用するために、棚板を調整できるラックが使われることが多いです。入庫から出庫までのプロセスを効率化し、正確な在庫管理を行うのに役立ちます。

2. 小売店

小売店では、商品の陳列や保管にコンテナラックが利用されます。店内の陳列スペースを最適に活用して商品を見せるために使用される他、在庫を整理するためにも活用可能です。特に季節商品やセール品などの在庫管理に役立ちます。

3. 工場

工場では生産ラインで使用する部品や資材を整理するために、コンテナラックが用いられます。生産のスピードや効率を向上させるのに必要な部品を迅速に取り出すことが可能であり、製造プロセスの中心となる重要な要素です。

また、保守用部品の保存にも使用されることが多いです。ボルトやナットなどの部品は種類が豊富なため、整理してまとめる必要があります。コンテナラックはこれらを整頓し、迅速な保守作業に貢献します。

コンテナラックの原理

コンテナラックは、物品を整理し保管するための効率的な収納システムです。その原理は比較的シンプルですが、効果的な収納と取り出しを実現するための工夫が凝らされています。フレームや棚板、アクセサリーなどで構成されます。

1. フレーム

フレームはコンテナラックの基本的な骨格部分であり、垂直の支柱と水平の横梁から構成される構造物です。ラック全体の安定性に寄与し、コンテナや棚板を支える役割を果たします。フレームの高さや幅は、ラックの設計や使用目的に応じて異なります。

2. 棚板

棚板はラック内に物品を収納するための水平な棚です。一般的には、フレームに取り付けられた横梁の間に取り付けられます。棚板の高さは調整可能な製品もあり、異なるサイズや高さの物品に合わせて収納スペースを調整することが可能です。

3. アクセサリー

移動式のコンテナラックでは、ラックに取り付けられた車輪があります。これにより、ラック全体を容易に移動させることが可能です。また、フックや引き出しといったアクセサリーが取り付けられることがあります。

コンテナラックの選び方

コンテナラックを選ぶ際に、考慮すべき要素はいくつか存在します。

1. コンテナの材質

コンテナの材質は、耐久性と使用環境に大きな影響を与えます。プラスチックが使用されることが多く、木材などの製品も存在します。耐久性が求められる環境では金属製が選ばれ、屋外使用に適している場合は防錆加工が施されているか確認することが重要です。

2. 段数

コンテナラックの段数は、ラック内に重ねられる棚板の数です。物品の種類や量に合わせて選びます。多くの段数を持つラックは収納量が増えますが、高さも増すため設置場所の天井高さに合わせて選ぶ必要があります。

3. 収納容積

収納容積は、1つのコンテナやボックスのサイズや収納スペースの合計容量です。物品のサイズや数量に合わせて十分な容積が確保できるか確認します。また、コンテナの形状がラックのスペースに適切に収まるかも考慮が必要です。

4. アクセサリー

コンテナラックには、さまざまなアクセサリーが存在します。フックや引き出し、仕切り板、ラベルホルダーなどがあります。アクセサリーは収納効率を向上させるために役立つため、必要なアクセサリーが含まれているか確認します。

参考文献
http://a2k.jp/daisha/27rack/rack_contena/index.htm

難燃性チューブ

難燃性チューブとは

難燃性チューブ

難燃性チューブとは、火災の際に燃えにくい性質を持つ特殊なチューブです。

一般的な素材のチューブとは異なり、難燃性チューブは高温や火災に耐えるための材料として設計されています。これにより、火災のリスクを低減し、安全性を確保する重要な役割を果たします。

高温になるほど耐圧性が下がる傾向があるため、温度と耐圧性の関係を仕様書で確認し、無理な圧力がかからないよう注意が必要です。

難燃性チューブの使用用途

1. 自動車産業

自動車のエンジン部分や燃料供給系、ブレーキシステムなどで難燃性チューブが使用されます。これは、自動車が高温や高圧の状況に置かれることが多いため、火災のリスクを低減する必要があるからです。また、自動車内部の配線や電子機器などでも難燃性チューブが利用され、車両の安全性が向上します。

2. 航空機産業

航空機の燃料供給管や配管、電線保護管などに難燃性チューブが用いられます。航空機は高い高度や厳しい環境下で運用されるため、万一の火災を未然に防ぐ必要があります。難燃性チューブの使用により、航空機の安全性が向上し、乗客と乗員の安全の確保が可能です。

3. 電気・電子機器

電気・電子機器の内部配線や回路保護などで難燃性チューブが利用されます。特に高出力や高温の機器では、火災のリスクが高まるため、難燃性のチューブが必要です。これにより、電気・電子機器の故障や火災を防ぎ、安全な運用を実現します。

4. 工業分野

工業分野では、高温や化学物質との接触があり、火災のリスクがある場面で難燃性チューブが使用されます。特に石油化学や製造業などでの加工プロセスにおいて、難燃性のチューブが必要となり、工業プロセスの安全性が確保されます。

5. 防災・防犯対策

防災や防犯対策の分野でも、難燃性チューブが使用されることがあります。建物や公共施設の消防設備において、難燃性のチューブが使われていることがあり、火災の際に火炎伝播を抑制し、火災被害を最小限に抑えることができます。

難燃性チューブの原理

1. 火炎耐性素材の採用

難燃性チューブは、炎に対して耐性のある素材で作られ、燃えにくい素材や難燃剤が使用されます。例えば、ポリ塩化ビニル (PVC) に難燃剤を添加したり、フッ素樹脂を使用したりすることで、チューブの素材が炎に対して耐性を持つようになります。

2. 自己消火性

難燃性チューブは、炎にさらされた場合に自己消火する性質があります。これは、素材が燃焼しても火が自動的に消えるように設計されているためです。自己消火性により、火災の拡大を防ぎ、より安全な状況を維持することが可能です。

3. 火炎伝播防止

難燃性チューブは、炎がチューブ内を伝わるのを防止するための設計が施されています。炎がチューブ内を伝わると、他の部分にも火災が広がるリスクがありますが、難燃性のチューブはその伝播を防ぐことができます。これにより、火災の拡大を最小限に抑えることが可能です。

4. 高温に対する耐性

難燃性チューブは、高温に対しても耐性があります。一般的なチューブは高温によって軟化し、変形することがありますが、難燃性のチューブは高温下でも形状を保つことが可能です。これにより、火災が起きた際にもチューブが機能を維持し、安全性を確保します。

5. 耐化学性

難燃性チューブは、化学物質に対しても耐性があります。化学物質によって腐食されたり、劣化したりすることが少ないため、様々な環境下で使用されることができます。

難燃性チューブの種類

1. ポリ塩化ビニル (PVC) 難燃性チューブ

PVC難燃性チューブは、ポリ塩化ビニル (PVC) 樹脂に難燃剤を添加して製造されます。このタイプのチューブは一般的に柔軟で取り扱いやすく、耐熱性に優れたチューブです。さまざまな産業用途に広く使われ、建築や電気配線、自動車産業などで見られます。

2. フッ素樹脂難燃性チューブ

フッ素樹脂難燃性チューブは、フッ素樹脂を主成分としています。フッ素樹脂は非常に高い耐熱性と耐薬品性を持ち、極端な環境下での使用が可能です。特に航空宇宙産業や半導体製造などの高度な用途で利用され、厳しい条件下でも優れた性能を発揮します。

3. シリコーン難燃性チューブ

シリコーン難燃性チューブは、シリコーン樹脂から製造されます。このタイプのチューブは耐熱性、耐久性、耐薬品性に優れており、医療機器や食品産業などで使用されることが多いです。また、電子機器の保護や電線の絶縁材としても適しています。

4. アルミ複合難燃性チューブ

アルミ複合難燃性チューブは、内側に合成樹脂層、外側にアルミ箔を持つ構造です。この構造により、アルミ箔が熱や炎を反射して耐火性を高める効果があります。建築業界や車両のワイヤーハーネスなど、耐火性が求められる用途で広く利用されます。

参考文献
http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/aoi-pltube/Book/aoi-pltube-P0024.pdf

押しボタンスイッチ

押しボタンスイッチとは

押しボタンスイッチ

押しボタンスイッチとは、人の操作により電気接点を開閉するスイッチです。

人が指で押し込むことで、接点の開閉が変化する部品を指します。

押しボタンスイッチの使用用途

押しボタンスイッチは、日用品から産業機械まで幅広く用いられ、日常生活でも多く目にする機会があります。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • ゲーム機のコントローラ
  • 排水用ポンプの運転スイッチ
  • 給湯器の運転・停止スイッチ
  • テレビ用リモコンの各種ボタン

押しボタンスイッチの原理

押しボタンスイッチは、ボタン、ケース、接点などで構成されます。

1. ボタン

ボタンは、人が押し込む部分です。一般的には着色した樹脂材料などが用いられ、電気回路と絶縁すると同時に機能を色別しています。JIS基準では赤色のボタンは停止指令、緑色のボタンは運転指令に使用することが推奨されています。

2. ケース

ケースは、押ボタンや電気回路を保持するための外装部分です。内部機構を外から保護しつつ支持し、人が電気回路を容易に触れないようにしています。したがって、樹脂やゴムなどの絶縁材料で構成されます。

3. 接点

接点は、押ボタンでの操作を電気接点へ変換する部分です。ばねや金属片で構成されます。ばねはボタン部分が押された後、元に戻るように抑えています。金属片は固定接点と可動接点などで構成され、電気信号を導通・遮断しています。

押しボタンスイッチの種類

押しボタンスイッチは機能的分類としてオルタネイト型とモーメンタリ型の2種類があります。

前者はボタンを押し込んでいる間のみスイッチが作動し、指を離した瞬間に同時にスイッチが解除されるスイッチです。後者はボタンを押すと作動し、以降もう一度ボタンを押すまで作動し続けるスイッチです。

1. オルタネイト型

英語でalternateは、「交替の」という意味です。押ボタンスイッチでは、押すごとに状態が交替するスイッチを指します。機能選択などのボタンは状態を保持してほしいため、オルタネイト型を使用します。モニタの主電源や懐中電灯の電源などがその一例です。

2. モーメンタリ型

英語でmomentaryは、「瞬間的な」という意味です。押ボタンスイッチでは、押している間のみ作動するスイッチを指します。繊細な動作をさせたい場合や、1回の動作に対して一度のみ押す場合に用いられます。テレビゲームのコントローラがその一例です。

 

その他にも、さまざまな種類があり、設備の仕様に合わせて選択します。人が頻繁に通る場所などでは、誤操作防止のためにカバー付きやガード付きが多く使用されます。

ランプ付きの押しボタンスイッチも販売されており、電源を供給してランプを点灯させることが可能です。照光式押ボタンスイッチと呼ばれます。「ON」「OFF」の状態がランプの点灯で分かるようになっています。

押しボタンスイッチのその他情報

1. 押しボタンスイッチの配線方法

押しボタンスイッチの配線方法は各メーカーさまざまな種類が販売されていますが、代表的なものにはんだ付け、ねじ端子、バネ端子があります。はんだ付けタイプは、端子にはんだで配線を接続するタイプです。一般的に接続部とボタン部が分割可能で、ボタン部のみの交換ができます。

ねじ端子タイプは、配線にY端子や丸端子などの圧着端子を圧着し、押しボタンスイッチの接続部にねじで固定するタイプです。バネ端子タイプは配線をバネで挟み込んで固定するタイプです。圧着端子が不要で配線作業が容易に行えます。ただし、端子部に棒端子をする場合もあります。

2. 押しボタンスイッチの接点

押しボタンスイッチの接点には、a、b、c接点という3種類が存在します。a接点とは、ボタンを押し込んだ際に導通する接点です。通常時はスイッチが開放状態となり、回路上に電流が流れません。通常時は解放という意味で、ノーマルオープン (NO) 接点とも呼ばれます。

b接点とは、ボタンを押し込んだ際に開放する接点です。通常時はスイッチが導通状態で、開路に電流が流れます。通常時は導通という意味でノーマルクローズ. (NC) 接点とも呼ばれます。

c接点とは、a接点とb接点を組み合わせた3端子接点です。a端子、b端子、コモン端子の3つの端子があります。通常時はa端子は開放し、b端子とコモン端子が導通しています。スイッチを押し込んだ際はa端子とコモン端子が導通し、b端子は開放します。

参考文献
https://e-sysnet.com/bs/
https://ac-blog.panasonic.co.jp

押ボタンスイッチ

押ボタンスイッチとは

押ボタンスイッチとは、人の操作により電気接点を開閉するスイッチです。

人が指で押し込むことで、接点の開閉が変化する部品を指します。

押ボタンスイッチの使用用途

押ボタンスイッチは、日用品から産業機械まで幅広く用いられているため、日常生活でも多く目にする機会があります。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • ゲーム機のコントローラ
  • 排水用ポンプの運転スイッチ
  • 給湯器の運転・停止スイッチ
  • テレビ用リモコンの各種ボタン

押ボタンスイッチの原理

押ボタンスイッチは、ボタン、ケース、接点などで構成されます。

1. ボタン

ボタンは、人が押し込む部分です。一般的には着色した樹脂材料などが用いられ、電気回路と絶縁すると同時に機能を色別しています。JIS基準では赤色のボタンは停止指令、緑色のボタンは運転指令に使用することが推奨されています。

2. ケース

ケースは、押ボタンや電気回路を保持するための外装部分です。内部機構を外から保護しつつ支持し、人が電気回路を容易に触れないようにしています。したがって、樹脂やゴムなどの絶縁材料で構成されます。

3. 接点

接点は、押ボタンでの操作を電気接点へ変換する部分です。ばねや金属片で構成されます。ばねはボタン部分が押された後、元に戻るように抑えています。金属片は固定接点と可動接点などで構成され、電気信号を導通・遮断しています。

押ボタンスイッチの種類

押しボタンスイッチは機能的分類として、オルタネイト型とモーメンタリ型の2種類があります。前者はボタンを押し込んでいる間のみスイッチが作動し、指を離した瞬間に同時にスイッチが解除されるスイッチです。後者はボタンを押すと作動し、以降もう一度ボタンを押すまで作動し続けるスイッチです。

1. オルタネイト型

英語でalternateは、「交替の」という意味です。押ボタンスイッチでは、押すごとに状態が交替するスイッチを指します。機能選択などのボタンは状態を保持させるため、オルタネイト型を使用します。モニタの主電源や懐中電灯の電源などがその一例です。

2. モーメンタリ型

英語でmomentaryは、「瞬間的な」という意味です。押ボタンスイッチでは、押している間のみ作動するスイッチを指します。繊細な動作をさせたい場合や、1回の動作に対して一度のみ押す場合に用いられます。テレビゲームのコントローラがその一例です。

 

その他にも、さまざまな種類があるため、設備の仕様に合わせて選択します。人が頻繁に通る場所などでは、誤操作防止のためにカバー付きやガード付きが多く使用されます。ランプ付きの押しボタンスイッチも販売されており、電源を供給することでランプを点灯させることが可能です。照光式押ボタンスイッチと呼ばれます。「ON」「OFF」の状態がランプの点灯で分かるようになっています。

押ボタンスイッチのその他情報

1. 押しボタンスイッチの配線方法

押しボタンスイッチの配線方法は、各メーカーさまざまな種類が販売されていますが、代表的なものにはんだ付け、ねじ端子、バネ端子があります。

  • はんだ付けタイプ
    端子にはんだで配線を接続するタイプです。一般的に接続部とボタン部が分割でき、ボタン部のみの交換が可能です。
  • ねじ端子タイプ
    配線にY端子や丸端子などの圧着端子を圧着し、押しボタンスイッチの接続部にねじで固定するタイプです。
  • バネ端子タイプ
    配線をバネで挟み込んで固定するタイプです。圧着端子が不要で配線作業が容易に行えます。ただし、端子部に棒端子をする場合もあります。

2. 押ボタンスイッチの接点

押ボタンの接点には、a、b、c接点という3種類が存在します。

  • a接点
    ボタンを押し込んだ際に導通する接点です。通常時はスイッチが開放状態となり、回路上に電流が流れません。通常時は解放という意味で、ノーマルオープン (NO) 接点とも呼ばれます。
  • b接点
    ボタンを押し込んだ際に開放する接点です。通常時はスイッチが導通状態で、開路に電流が流れます。通常時は導通という意味で、ノーマルクローズ (NC) 接点とも呼ばれます。
  • c接点
    a接点とb接点を組み合わせた3端子接点です。a端子、b端子、コモン端子の3つの端子があります。通常時はa端子は開放し、b端子とコモン端子が導通しています。スイッチを押し込んだ際はa端子とコモン端子が導通し、b端子は開放します。
  • 参考文献
    https://e-sysnet.com/bs/
    https://ac-blog.panasonic.co.jp

    刻印パンチ

    刻印パンチとは

    刻印パンチ

    刻印パンチとは、金属やプラスチックなどの材料に文字やマークを打ち込むための道具です。

    固定された文字やデザインを持つ金属ヘッド(パンチ)と、それを叩いて材料に印をつけるためのハンドルから構成されています。刻印パンチを使用することで、瞬時に文字やデザインを材料に打ち込むことができます。

    これにより、大量のアイテムに対しても効率的にマーキングを行うことが可能です。同じ文字やデザインを一貫して材料に打ち込めるため、製品識別やブランドの統一性を確保することもできます。

    ただし、パンチを正確な位置に配置することが重要です。誤った位置に打ち込むと、製品の見た目や品質に影響を及ぼす可能性があります。

    刻印パンチの使用用途

    刻印パンチはさまざまな目的で使用される便利な道具です。以下は刻印パンチの使用用途です。

    1. 製品識別とマーキング

    工業分野では、製品や部品に識別子や情報を打ち込むことが重要です。刻印パンチによって製品の製造日やシリアル・ロット番号などを材料に打ち込むことが可能です。

    追跡が容易になり、品質管理が向上します。自動車部品、電子機器、産業機械などの製造業で活用されることが多いです。

    2. アート

    刻印パンチは、アートなどにおいて材料にデザインを打ち込むために使用されます。革や金属などの材料に特別なタッチを加えたり、オーダーメイドの作品を作成したりするのに利用される場合も多いです。

    3. 革製品

    革製品には刻印パンチが広く使用されます。名前や日付、ロゴなどを刻印することで、革製品に独自のアイデンティティを付加することが可能です。革の財布やバッグなどに利用されます。

    4. 装飾品

    金属製の刻印パンチは、装飾品製造で広く活用されています。金属製のネックレスや指輪に名前や記念日を刻印することで、固有のアクセサリーを作成することが可能です。これにより、装飾品をより個人的で意義のある商品にすることができます。

    刻印パンチの原理

    刻印パンチは物体に文字や記号などを打ち込むための道具であり、その原理は物理的な力を利用して材料に刻印をつけることに基づいています。金属製のヘッドに刻印する文字やデザインが刻まれており、これを押し付けることで刻印する仕組みです。構造部品は、一般的に鉄が使用されます。

    刻印する際、ヘッドを手動または機械的に物体の上に配置し、適切な力を加えて打ち込むことで刻印が行われます。打ち込む際は金属ハンマーが主流ですが、木槌で打刻する場合も多いです。革製品は、レーザーで焼いて加工する機械をもって刻印パンチと呼称するものもあります。

    刻印の深さや形状は、使用するスタンプパンチの設計や材料の硬さによって異なります。硬い材料に対してはより多くの力が必要です。大型パンチは船舶や車両部品を刻印するものですが、加圧によるプレス式の機械に通して表面に刻印していく方式が多く採用されています。

    刻印パンチの選び方

    刻印パンチを選ぶ際には、いくつかの要因を考慮することが重要です。

    1. サイズ

    刻印パンチのサイズは、使用する材料や刻印の大きさに影響を与えます。大きな刻印パンチは大きな文字やデザインを刻印できますが、細かいディテールや狭いスペースには不適です。用途に合ったサイズを選定します。

    2. 文字の種別

    刻印パンチには、さまざまなフォントやデザインがあります。多く使用される文字の種別は、数字やアルファベットが主流です。平仮名や漢字を刻印することも可能です。

    目的に合った文字種別やフォントを選ぶことで、刻印された文字が美しく、読みやすいものになります。

    3. 用途

    装飾用途であれば、デザイン性や装飾要素が重要です。細かなディテールや特定の形状を刻印できる刻印パンチが適しています。製品の識別にはクリアで読みやすい文字が必要であり、シンプルなフォントを刻印できる刻印パンチが選ばれることが多いです。

    4. 材質

    刻印対象の材料によって選ぶ必要があります。硬い金属には強力な刻印パンチが必要で、鋼鉄などが有利です。革製品などの柔らかい材料には細かいディテールを刻印できるパンチが適しています。

    参考文献
    https://jp.misumi-ec.com/vona2/maker/misumi/press/P0100000000/P0114000000/P0114100000/

    ブレーキクリーナ

    ブレーキクリーナとは

    ブレーキクリーナ

    ブレーキクリーナとは、自動車用ブレーキのメンテナンスや清掃に使用される化学製品です。

    通常は液体の形態で販売されています。ブレーキパッドやブレーキローターの表面から、付着した油やブレーキダストなどを効果的に除去するために用いられることが多いです。ブレーキシステムでは摩擦による熱が発生するため、ブレーキパッドやローターの表面に油や汚れが付着することがありますが、ブレーキ性能の低下や異音の原因となる場合が多いです。

    ブレーキクリーナーは、これらの汚れや油を効果的に除去し、ブレーキ性能を回復させます。ただし、ブレーキクリーナは揮発性が高く、燃えやすい性質を持つため、使用する際は十分な注意が必要です。また、車体やゴム部品に対する影響を考慮することも大切です。

    ブレーキクリーナの使用用途

    ブレーキクリーナはメンテナンスや清掃に使用される化学製品です。以下はブレーキクリーナの使用用途です。

    1. ブレーキパッドとローターの清掃

    ブレーキパッドが摩耗して金属部分が露出したり、ブレーキダストや汚れが付着することがあります。ブレーキクリーナを使用してブレーキパッドやローターの表面からブレーキダストや汚れを除去することが可能です。これにより、劣化したブレーキ性能を復元させることができます。

    2. エンジンパーツの清掃

    エンジンパーツは、オイルや燃料の影響で汚れや油が付着することがあります。ブレーキクリーナはエンジンブロックやシリンダーヘッドなどの金属部分の表面に付いた汚れや油を効果的に除去することが可能です。これにより、エンジンパーツの冷却効率を向上させつつメンテナンス作業がしやすくなります。

    3. 電子機器の清掃

    電子機器の内部部品や基板には、粉塵や油が付着して動作に影響を及ぼすことも多いです。ブレーキクリーナは微細な部品や基板の表面に吹きかけることで、これらの汚れを取り除くのに役立ちます。ただし、電子部品の素材によっては、ダメージを受ける可能性があるため注意が必要です。

    4. 金属部品の溶剤洗浄

    金属部品や工具は使用中に油や汚れが付着することがあります。ブレーキクリーナを金属の表面に吹きかけて汚れを溶解し、きれいな状態に戻すことが可能です。金属の輝きを回復させることで、部品の耐久性や効果的な作業を確保できます。

    ブレーキクリーナの原理

    ブレーキクリーナの主要な成分は、揮発性の有機溶剤です。これらの溶剤は汚れや油などの異物を溶解し、表面から取り除くことができます。具体的な主成分としては、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、エタノール、イソプロパノールなどの揮発性有機溶剤です。

    これらの溶剤は低沸点であり、常温で気化する特性があります。この揮発性によって塗布後に迅速に蒸発し、汚れや油を効果的に溶解させることが可能です。ブレーキクリーナの主な原理は溶解作用です。

    油やブレーキダストなどの異物は、表面に付着している間に酸化や硬化することがあります。ブレーキクリーナーの有機溶剤は、これらの異物を溶解して分解し、液体状態に戻します。

    ブレーキクリーナは溶解力と揮発性を活かして、ブレーキや金属部品の表面から汚れを効果的に取り除くことが可能です。スプレーで吹きかけた際に溶剤が汚れに浸透して溶解し、その後に蒸発してクリーンな表面を残します。

    ブレーキクリーナの選び方

    ブレーキクリーナーを選ぶ際に、考慮すべき要因はいくつかあります。

    1. 成分

    主に揮発性有機溶剤からなりますが、ブランドや製品によって成分が異なることがあります。使用する素材や部品によって影響を及ぼすことがあるため、素材との相性を確認して選ぶことが重要です。また、環境に配慮する観点から、低VOCを含む製品を選ぶことも検討します。

    2. 容量

    ブレーキクリーナーの容量は、1缶あたりの液体量です。使用頻度や目的に合わせて適切な容量を選ぶ必要があります。一般的には小規模な作業には小さな容量が適していますが、大規模なメンテナンスには大容量のものが便利です。

    3. 乾燥時間

    ブレーキクリーナーの液体は速く蒸発する特性がありますが、使用する環境や気温によって乾燥時間は異なります。クリーニング後に早く部品を使用したい場合は、乾燥時間が短い製品を選びます。ただし、使用温度や換気状況も影響を与えるため、取扱説明書の指示に従うことが大切です。

    4. 使用温度

    ブレーキクリーナーの性能は、使用する温度に影響を受けることがあります。一般的には、暖かい気温の方が溶剤の蒸発が速まるため、クリーニング効果が高まることが多いです。寒冷地での使用を予定している場合は、低温下でも効果的な製品を選ぶことが重要です。

    ねじ込み継手

    ねじ込み継手とは

    ねじ込み継手

    ねじ込み継手 (英: Threaded Joint, Screw Joint, Screwed Fitting) とは、配管継手の一種です。

    配管継手とは、パイプとパイプを接続・分岐・閉止するための部品です。配管継手は大きく分けて、ねじ込み接続、溶接接続、フランジ接続、ヘルール接続の4種類があります。

    ねじ込み継手は、4種類の中でも特殊な工具や機器を使用せずに接続できる方法で、比較的安価な配管継手として、発電・化学プラントや工場・ビル設備、一般家庭など幅広い分野で使用されています。

    ねじ込み継手の使用用途

    ねじ込み継手_図1

    図1. ねじ込み継手の使用例

    ねじ込み継手は、主に配管施工時のパイプ同士の接続・分岐・閉止のために使用されます。配管経路は全長において一直線にならない場合がほとんどで、上下左右に曲がり勾配を設けたり、1本の配管経路を2~4本に分岐させたり、またその逆に集合させたりします。その際に、ねじ込み継手が必要となります。

    工場設備や機械内部及び一般家庭内で、ねじ込み継手が使用される場面は多いです。しかし、一般的にねじ込み継手は低圧流体用の配管で使用します。高圧高温蒸気などの流体の場合は、漏洩による事故や損傷をする可能性があるため、差し込み継手や溶接継手などの継手を使用します。

    例として、JIS B2301ねじ込み式可鍛鋳鉄管継手において、最高使用圧力は下記のように規定されています。

    流体の状態 最高使用圧力
    120℃以下の静流水 2.5 MPa
    300℃以下の蒸気、空気、ガス及び油 1.0 MPa

    ねじ込み継手の原理

    ねじ込み継手は、部品の片端または両端に管用 (くだよう) ねじの加工が施されています。ねじ形状は、各種規格によって規定されたねじで、代表的には下記のような種類があります。

    規格 規格番号 規格名称
    JIS B0202 管用平行ねじ (G)
    B0203 管用テーパねじ (R, Rc)
    ISO 228-1 Pipe threads where pressure-tight joints are not made on the threads – Part 1: Dimensions, tolerances and designation
    7.1 Pipe threads where pressure-tight joints are made on the threads – Part 1: Dimensions, tolerances and designation
    ANSI / ASME B1.20.1 Pipe Threads, General Purpose, Inch
    NPS: American National Standard Straight Pipe Threads
    NPT: American National Standard Taper Pipe Threads

     

    管用テーパねじは、オスねじでは先端に向かって、メスねじでは穴の奥行に向かって、ねじ外径が小さくなります。管用平行ねじは、オス、メスともにねじ全長にわたってねじ外径は同じになります。

    ねじ込み継手は、オス・メスねじが密着することで流体の漏洩を防げます。一般的に配管用の継手として使用する場合は、管用平行ねじに比べて密閉性が高いため、管用テーパねじを使用するケースが多いです。ねじ部にはシールテープを巻いたり、シール材を塗布したりすることで、さらに密閉性を高めることができます。オス・メスねじが密着している状態は、下記図2を参照してください。

    ねじ込み継手_図2

    図2. テーパねじの原理

    なお、2種類の管用平行ねじと管用テーパねじは、用途や必要な密閉性に応じて、下記のような組み合わせで選定します。

    ねじの組み合わせ おねじ
    管用テーパねじ (R) 管用平行ねじ (G)
    めねじ 管用テーパねじ (Rc) ×2
    管用平行ねじ (Rp) ×2
    管用平行ねじ (G) ×1 〇1

     

    記号説明
    ◎:配管など耐密接合の目的でシールテープを巻き組み合わせが可能
    〇1:機械的接合の目的でパッキン、ガスケットを合わせて使用することで組み合わせが可能
    ×1:平行ねじの破損、パッキンの損傷による漏洩の可能性があり組み合わせは不可
    ×2:ねじ製作公差によってはねじ込めないこともあり密閉性が得られなく組み合わせは不可

    ねじ込み継手の種類

    ねじ込み継手は、用途や方向に応じて複数の種類があります。

    1. ねじ込み継手の規格

    標準的なねじ込み継手は、各規格で寸法・形状・材質・適用範囲などが規定されています。ねじ込み継手の各種規格は下記の表を参照してください。

    規格 規格番号 規格名称
    JIS B2301 ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手
    B2302 ねじ込み式鋼管製管継手
    B2303 ねじ込み式排水管継手
    B2308 ステンレス鋼製ねじ込み式管継手 
    ISO 4144 Pipework – Stainless Steel Fittings Threaded in Accordance With ISO 7-1

     

    JIS B2301の種類
    ねじ込み継手は多くの種類があり、例としてJIS B2301の場合を下記の表に示します。その形状は図2、3を参照してください。

    種類 使用用途
    エルボ 90°エルボ 90度または45°に配管経路を変える場合
    45°エルボ
    径違いエルボ
    オスメスエルボ (ストリートエルボ)
    45°めすおすエルボ (45°ストリートエルボ) 
    径違いめすおすエルボ (径違いストリートエルボ) 
    ティー(チーズ) 同径ティー 3方向に配管経路を分岐(または集合)させる場合
    径違いティー
    三方径違いティー
    クロス 同径クロス 4方向に配管経路を分岐(または集合)させる場合
    径違いクロス
    ソケット 同径ソケット オスねじのパイプ同士を接合する場合
    径違いソケット
    メスオスソケット
    ブッシング メスねじのねじ込み継手と異径のパイプを接合する場合
    ニップル 同径ニップル メスねじのねじ込み継手同士を接合する場合
    径違いニップル
    キャップ オスねじのパイプを閉止する場合
    プラグ メスねじのねじ込み継手を閉止する場合
    ユニオン 同径ユニオン メスねじのねじ込み継手同士を接合し分離が必要な場合
    メスオスユニオン
    ユニオンエルボ 
    めすおすユニオンエルボ 

     

    ねじ込み継手_図2

    図3. ねじ込み継手の種類 (1)

    ねじ込み継手_図4

    図4. ねじ込み継手の種類 (2)

    それぞれの種類で各種サイズがあり、パイプ呼び径に合わせて選定します。

    2. ねじ込み継手の仕様・サイズ

    ねじ込み継手の製品の仕様・サイズなどはJIS規格で規定されており、下記のように表示されます。

      規格番号又は規格名称 形式 形状 表面状態 継手呼び
    例1 JIS B 2301 I形 径違いめすおすエルボ 2×3/4
    例2 ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手 I形 45°エルボ めっき 1-1/2

     

    参考文献
    https://www.monotaro.com/note/cocomite/504/
    https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/kanyoneji/
    https://www.fujikin.co.jp/support/basic/joint.html

    タコメーター

    タコメーターとは

    タコメーター

    タコメーターは回転する物体の速度を目盛りや数字などにより可視化する計測機器です。

    主に自動車やオートバイのエンジン回転数、発動機や電動機の軸回転数を使用者が視認する用途に用いられ、その表記の仕方には盤面に刻まれた目盛りや数字を指針によって指示する「アナログ式」と、画面にボリュームグラフやデジタル数字によって表示する「デシタル式」などがあります。

    もともと機械に内蔵されているもののほか、電磁パルスやOBD、反射材を用いたの汎用タコメーターがあります。

    タコメーターの使用用途

    「回転数を把握する」ということは機械の過負荷や故障を防ぐ上で、使用者にとって非常に重要なことです。

    特に自動車やオートバイの場合は変速の際にエンジン回転数が大きく変化するため、回転数を把握しないまま高回転でシフトダウンすると過回転による故障が起こり得ます。

    タコメータを使用することにより使用者はエンジン回転数を目視にて確認できるため、過回転を防ぐことができるだけでなく、低回転巡航による低燃費走行が可能となります。

    タコメーターの原理

    現在主流なものとして、次の種類が挙げられます。

    検出方法として

    • 機械式:回転部分からの入力をギヤと回転ワイヤを用いて抜き出し、メーター部の回転センサーで検出もしくは磁気式メータで表示するもの。
    • 電気式:エンジンのイグニッションコイルに加わる電圧を検出し、そのカウント数(4気筒であれば1回転あたり4回)により回転数を検出するもの。もしくはクランク角センサーにより検出された信号により回転数を割り出すもの。
    • 光学式:反射材を回転部分に装着し、受光した回数を元に回転数を割り出すもの。

    表示方法として

    • アナログ式:磁気式(フーコー式)で、盤面の目盛りや数字を指針によって指示するもの。
    • デジタル式:LEDや液晶画面によって、セグメント表示、バーグラフ表示などで表示するもの
    • ステッピングモーター:検出されたパルス信号を元に、ステッピングモータで指針を動かすもの

    特に表示方法に関しては、外部からの揺れや衝撃などに影響されにくいデジタル式、ステッピングモーター式が現在主流となっており、アナログ式は汎用の安価な製品に用いられる傾向があります。

    タコメーターのタコとは

    バイクや自動車のエンジン回転数を示す役割を持つタコメーターですが、タコメーターの「タコ」はどのような意味でしょうか。
    タコのスペルはTachoで、Tachoは古代ギリシャ語から来ており意味は速度です。まだ計器類が装備されていなかった古い時代はエンジンの回転数で速度を計測していました。そうした過去の歴史によりタコメーターと呼ばれています。

    タコメーターはいらなくなる

    マニュアル車が多く走っていた1900年代は多くの自動車にエンジン回転数を示すタコメーターが付いていました。しかし、2000年代に入り、タコメーターのない自動車が増えてきました。

    理由はいくつかあり、1つはコストカットです。バブル崩壊前はマニュアル車や高級車が多く走っており、自動車にはタコメーターや様々な装備が付いていました。しかし、2000年以降はオートマチック仕様の安い自動車を求めるユーザーが増えたため、自動車メーカーは最廉価仕様の自動車においてタコメーターを廃止しました。

    2つめはコンピューターの高性能化です。マニュアル車では、エンジン回転数に合わせて運転手が適切に変速をコントロールする必要がありました。しかし、オートマチック車では変速をコンピューターが自動で行うため、運転手はエンジン回転数を示すタコメーターを気にかける必要がなくなりました。

    また、電気自動車やハイブリッド車の普及も大きな要因です。タコメーターの代わりにエネルギー使用量を示す特別なメーターが表示されています。電気自動車は変速が必要なく、エネルギーの消費と回生を示すメーターがついています。運転手はメーターを確認することによってより低燃費な運転が可能です。

    ハイブリッド車ではガソリン車のようにエンジン回転数に応じて変速を行いますが、エンジンの回転は発電用のモーターにも使われるため、アクセル操作とエンジン回転は連動していません。エンジンの回転と燃費に関係性がない為タコメーターは廃止され、モーターの稼働を示すメーターが装備されています。

    参考文献
    https://www.nippon-seiki.co.jp/defi/products/advance_bf/adbf_tacho/
    https://www.webcartop.jp/2018/07/252840/

    音響測定器

    音響測定器とは

    音響測定器

    音響測定器とは、測定対象が発する音の「音圧」「周波数」及び特定の周期的定則に発せられるノイズ、低送周波数特性の測定、安全的な拡声(音)の範囲測定、(音圧許容レベル等)などを収音し測定する電子測定機器です。

    小型のものでは、片手で持てる軽量のマイクロフォン付き音響測定器が市販されています。さらに測定の設定項目を細分化し定点計測することで、コンサートホール施工などに一助しています。理想的な響音、共鳴を得るのに音響測定器は欠かせない測定機器です。

    音響測定器の使用用途

    音響測定器を用いる現場は市街地の再開発、新幹線などの高速輸送車両における車内快適性能の響音測定、マンションなど物件の防音レベル、コンサートホールなどの設備、設営などで使用されています。

    実験用品としての用途は、建材や建具の防音、遮音レベルを測定する目的で使用されます。部屋のなかに施工する組み立てユニットの防音室などが用例です。

    混合材や合板などを新規開発する際も必ず使用され騒音や吸音度合いを測定します。

    音響測定器の原理

    音響測定器の機能は主に音の周波数やノイズを測定し簡易記録することです。音響的な項目として、音の大きさを測定する(音圧レベル)をデシベル(/㏈)で換算し表示します。

    用例として、ホール音響設営を例題にすると、低送周波数特性を定点測定、最大再生音圧レベル(音圧許容量)、オクターブバンド測定などが可能です。

    低送周波数特性測定値、⅓オクターブ分析、定測ノイズ分析、聴音可聴域の最大最小数値の把握は、コンサートホール、シアター、ライブハウス等の音楽施設においては非常に重要な役割を担っています。

    又、機能面でデシベル測定だけに特化しても、マンションなどのRC壁における防音面を測定し数値を可視化する事は、建造物の環境特性価値を高める指標に用いられています。

    音楽練習ユニットにグランドピアノを組み込む際の壁材マット材の品質指標にも使用されます。騒音指標数値ほか、ピアノの中央の「ラ音」である440HZの立ち上がりから消失まで、オクターブ、コードのハーモニーの残響を繰り返しの測定を行うことで数値化された品質指標を提供します。

    参考文献
    http://www.ari-web.com/sound/measurement/spl-01.htm