ガイドピンとは
ガイドピンとは、金型に取り付けたプリント基板の試し抜きやワークの切削加工時に、基板やワークと金型の位置合わせのためのガイド役に用いるピンのことです。
一般的には金型の片面にガイドピンを取り付け、プリント基板やワークを金型にセットする際に、このガイドピンにより位置がずれないように保持する役目があります。ガイドピンが無い場合、あわせの位置がずれ、金型に合わせた所望の基板やワークの加工が困難になります。
ちなみにガイドピンは、金型や治具に取り付けする本数が、2本や3本など様々です。また、位置や材質、形状などの種類も豊富にあります。
ガイドピンの使用用途
ガイドピンは、プリント基板試し抜き時のガイド役やワークと呼ばれる切削加工対象物を治具や加工用機械に対して、正確に位置合わせするためのガイド用途として用いられています。
通常ガイドピンを2本取り付ける場合は、片面のプリント基板に使用され、この場合には、ガイドピンを対角状に取り付けることが多いです。メインガイドと呼ばれるケースもあります。
ガイドピンを3本取付ける場合は、両面・多層プリント基板に使用されます。3本ガイドの目的は両面基板です。逆面から抜くことを防止します。
対角状にガイドピンを取り付け、もう1本は直角三角形の位置にくるようにセットします。この3本目は、サブガイドピンと呼ばれるケースもあります。
ガイドピンの原理
ガイドピンは、金型やワークの治工具と、加工対象のプリント基板やワークとの位置を合わせるのが役割です。金型・治工具側にピンを立て、加工される材料側の挿入穴 (ガイド穴) に差し込むことで、位置合せをする構造を有しています。
ガイドピンの種類
ガイドピンは種類が多くあるため、用途に応じて適切なものを選定することが大切です。
1. 材質による分類
ガイドピンは、ガイド役となる重要なピンであり、繰り返し使用により摩耗し難い材質が求められます。一例をあげると、鉄 (SKS) やステンレス (SUS) 、アルミなどです。接触対策として、通常は焼き入れされているものが多くあります。
2. 先端の形状による分類
ガイドピンの先端は、プリント基板を金型にセットする時に基板を傷つけない目的でR形状にされています。そのほか、テーパや球面、フラット、ダイヤ形状のダイヤピンなど様々な種類の形状があります。
形状によってワークへの差し込みや抜き差ししやすいなどの特質が変わるため、用途に応じた使い分けが大切です。
ガイドピンのその他情報
1. ガイドブッシュとサポートピンの違い
ガイドピンと用語面でよく似た使われ方をするものに、サポートピンやガイドブッシュがありますが、その機能は大きく異なります。
ガイドブッシュ
ガイドブッシュとは、旋盤機の内部でワークをつかみ保持する機能を有するものです。一般にチャックの近傍では、ワークはたわみを生じることはありませんが、はなれた部分ではワーク自体の重量によりたわみを発生します。
そのため、ガイドブッシュで保持することでワークのたわみを抑制し、旋盤での加工精度を維持するため使用します。
サポートピン
一方でサポートピンは、支持ピンによる長さ調整目的で使用されます。代表的なものは、足場工事現場のパイプ長の調整などです。
2. 溝付きガイドピンでの環境対策
プレス金型用ガイドピンでは、焼き付き防止のため大量の潤滑油が必要であり、ガイドピンに油用の溝が施されているものも多数存在します。
昨今の環境問題対応のため、この溝付きガイドピンに固形潤滑剤をスパイラル形状に埋設することで、無給油のガイドピンを実現しているメーカーも多いです。
3. ガイドピンとガイド穴のクリアランス
プリント基板の厚みが変わることで、ガイドピンとプリント基板のガイドピン挿入穴 (ガイド穴) の組み合わせを変更する場合があります。
プリント基板が薄くなると、ガイドピンとガイド穴の間のガタツキが大きくなることがあり、またプリント基板の材質によっては加工後にピンから抜き取る際に、プリント基板自体がたわみやすく、ガイドピンからうまく抜き取ることができずに、結果として基板を傷つけてしまう可能性が生じます。
反対に基板厚みが厚い場合に、必要以上にクリアランスを確保すると、所望の加工精度が出ないなどの問題が発生しやすいです。そのため、基板の厚みに応じて、ガイドピンとの挿入穴 (ガイド穴) のクリアランスの最適値を調整することが重要です。