粉末3Dプリンタ

監修:株式会社システムクリエイト

粉末3Dプリンタ

粉末3Dプリンタとは、粉末状の樹脂や金属にレーザーを照射し焼結させる粉末方式で造形を行う3Dプリンタです。

金属、砂、シリカ、樹脂など、他の方式では使用できない様々な材料での造形が可能で、高精度で高耐久の造形物の製作が可能です。そのため、試作品のみならず最終製品や鋳型の製造にも用いられます。

粉末3Dプリンタの使用用途

粉末3Dプリンタは、豊富な種類の素材を扱うことが可能で、耐久性の高い造形が可能なことから、幅広い用途で使用されています。一部では最終製品となる部品に使用されることも増えてきました。主な用途には下記のようなものがあります。

  • 各種プロトタイプ
  • 航空機、ロケット、医療、特装車、産業機器などの量産部品
  • 試作、少量生産、研究、教育などにおける造形
  • 性能評価試験用の実験モデル (風洞試験やベンチテストなど)

その他、シロッコファン、電動工具ハウジング、アート作品などが製作される場合もあります。また、高強度・高耐熱の造形品を製造できることから、金属パーツを樹脂化して軽量化を行うなどの用途で使用することも可能です。

粉末3Dプリンタの活用事例

図1. 粉末3Dプリンタの活用事例

粉末3Dプリンタの原理

1. 概要

粉末造形とは、粉末状の樹脂や金属材料にレーザーを照射して焼結させ、一層ずつ積層していく方法です。他の方法と比べて、素材選択の自由度が高く、耐久性のある造形物を作成できることが特徴と言えます。粉末の造形物は、強度・耐衝撃性・耐熱性・耐候性などの点で優れています。

他の3Dプリンターで主に使用される積層方式では積層方向に対しての強度面が脆いことが弱点の1つです。一方、粉末造形は数ある方式のなかでも強度が高く、ツメ形状やヒンジ形状などを作成してもある程度機能する強度を備えています。

2. 造形方法

粉末3Dプリンタには、主にパウダーベッド方式とバインダージェット方式の2種類の造形方式があります。パウダーベッド方式とは、パウダーベッド方式とは、材料となる粉末を敷き詰めてレーザーやビームを照射し、粉末粒子を焼結または溶解させることで造形を行う方法です。バインダージェット方式は、材料となる粉末に液体の結合材 (バインダ) を噴射して固形化する造形方法です。

パウダーベッド方式には、更に、選択的レーザー焼結 (SLS) 、選択的レーザー溶融 (SLM) 、直接金属レーザー焼結 (DMLS) 、電子ビーム溶解 (EBM) の下位分類があります。

SLS方式のプリンターは、材料粉末を融点に近い温度まで加熱して溶かし、CO2レーザーでモデルに従って粉末層を選択的に焼結します。このプロセスを繰り返すことで積層を行う仕組みです。SLMは、SLSと異なり、特に金属3Dプリントに特化した方式ですが、金属は、その他の熱可塑性プラスチックよりも密度が高く、重くなるため、サポートを必要とします。DMLSの場合、加熱によって材料を溶かす必要がなく、合金や異なる溶融温度を持つ複数の金属元素の混合物をプリントすることが可能です。EBMとは、電子ビームが使用され、導電性材料を必要とする手法です。

粉末3Dプリンタの造形方法

図2. 粉末3Dプリンタの造形方法

3. 積層目

粉末3Dプリンタは、粉末状の素材をレーザーで焼結していくため、表面がザラザラした感触になること、積層目が残ることが特徴の一つです。

そのため、完成した樹脂造形品に対して、強度・表面の粗さ・気密性の改善のために含浸と呼ばれる処理を行う場合があります。この処理は製品に薄く無色・透明なアクリル系樹脂を塗布するもので、製品表面の微細な隙間を埋める目的のために行われます。

粉末3Dプリンタの種類

粉末3Dプリンタには様々な種類があり、金属に特化したプリンタや、樹脂に特化したプリンタなどがあります。

金属用の粉末3Dプリンタでは、ステンレス、工具鋼、超合金、銅、チタン、アルミニウムなど、様々な汎用金属粉末を使用することが可能です。また、樹脂では、ナイロン6+ガラスビーズ、ナイロン11、ナイロン12、ポリプロピレン、エラストマ粉末などの素材が用いられます。特にナイロン6は熱収縮性が高く扱いにくい素材であるため、使用できる機種はとても希少です。搭載レーザーや、レーザ出力や速度、ベッド温度、溶解力、再コーティング速度も製品によって異なります。用途に合わせて適切な物を選定することが必要です。

粉末3Dプリンタの種類

図3. 粉末3Dプリンタの種類

本記事は粉末3Dプリンタを製造・販売する株式会社システムクリエイト様に監修を頂きました。

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シリコン3Dプリンタ

監修:株式会社システムクリエイト

シリコン3Dプリンタとは

シリコン3Dプリンタとは、シリコン素材を材料として造形を行うことができる3Dプリンタです。

3Dプリンタで使用できる素材としてはABS樹脂やPLA樹脂などが一般的ですが、シリコン素材は粘度が非常に高いため、従来は3Dプリントで正確に形状を再現することが困難でした。技術の進歩により、現在、一部の機種ではシリコン素材を用いて造形を行うことが可能です。3Dプリンタでの造形は金型造形の手間がかからないというメリットがあります。

シリコン3Dプリンタ

図1. シリコン3Dプリンタ

シリコン3Dプリンタの使用用途

シリコン3Dプリンタは、金型を製作せずに造形を行うことができるため、様々なものの造形に使用されています。軽くしなやかで、荷重に合わせて曲がり、元に戻る復元力を生かし、下記のような用途があります。

  • 消費者向け製品 (コネクタ、グロメット、アクチュエータ、キーパッド、腕時計バンド、靴のインソール、スマートフォンケース、ジュエリー鋳造、メガネフレーム、フィギュア・模型、シリコン製食品型)
  • 自動車部品、産業機器などにおける製品開発サイクルにおけるプロトタイプ
  • 各種部品の少量生産やカスタム製造のコスト効率化 (シールやガスケット、ボルト、ナットなど)
  • 治工具や金型 (鋳造用金型、治工具、マスキングツールなど)
  • 医療器具 (患者ごとにカスタマイズした義肢装具、補聴器)
  • 臓器モデル

3Dプリンタは、高精細で滑らかな造形を行うことができるため、ねじ山などの凹凸、指輪やネックレスなどのアクセサリや時計など、微細な加工も可能です。3Dデータからダイレクトにプリントを行い、鋳造の工程をより効率化します。また、医療器具では、患者の身体の形状に合わせて器具製作を行うことができます。金型が要らないため、各種プロトタイプの試作にも活用されている技術です。

シリコン3Dプリンタの活用事例

図2. シリコン3Dプリンタの活用事例

シリコン3Dプリンタの原理

1. 概要

シリコンは粘度が非常に高いため、3Dプリントで正確に形状を再現することが比較的難しい素材です。また、加熱して押し出したり、光硬化性樹脂材料のようにUV光で硬化させることなどもできません。質感はなめらかで、荷重に合わせて曲がり、元に戻る復元力があります。

3Dプリンターは、デジタルデータから3次元造形を行うことができる機械です。物体を連続の薄い層に分解し、それらの層を一つずつ積み重ねて物体を構築します。3Dプリンターでシリコーン素材を直接造形すると、金型を製作することなく、直接目的物を造形することができます。また、金型での製造では作りづらいハニカム構造などの造形も容易です。

2. 液体積層造形法

シリコン3Dプリンタの造形法では、液体積層造形法 (LAM方式) が採用されています。仕組みの概要は下記の通りです。ここで使用されるシリコンゴムは熱硬化性です。

  1. 2つの液状のシリコンゴムを混合し、エクストルーダーで押出して層を造形する
  2. 1層ずつ高温のハロゲンランプによって熱硬化させ積層造形する

液体積層造形法のメリットには下記のようなものがあります。

  • 金型成型品と同等物性の造形品ができる (引張強度、伸びなど)
  • 金型が不要なため、大幅なコスト削減が可能
  • 材料の色調を活かして透明色 (または乳白色) での造形が可能
  • 3Dプリンターならではの難しい形状が造形できる

例えば、内部が空洞になった形状や逆テーパー形状は金型成型では製造困難ですが、3Dプリンターでは造形可能です。また、金型が要らないため、試作品製作時は開発スピードが格段に上がります。

液体積層造形法

図3. 液体積層造形法

シリコン3Dプリンタの種類

シリコンの3Dプリント造形は高度な技術が必要であることから機種が限られており、あまり種類は多くありませんが、各製品で機能が工夫されています。

製品によっては、複数種類の硬度のシリコン材料に対応しているものも有り、作成したいモデルに必要な硬度や用途に合わせて自由に選ぶことが可能です。また、2液材料を混ぜて吐出するプリントヘッドと、1液材料を吐出するプリントヘッドの2基を搭載しているものもあり、モデル材となる2液用プリントヘッドとそれを支えるサポート材用の1液プリントヘッドの同時造形を行うこともできます。

本記事はシリコン3Dプリンタを製造・販売する株式会社システムクリエイト様に監修を頂きました。

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アクリルパイプ

監修:日本真空化学株式会社

アクリルパイプとは

アクリルパイプとは、アクリルを利用して製造された透明な円筒型のパイプです。

透明プラスチックの中でもひときわ透明度が高く、ショーケース等の各種ディスプレイや、水族館の大型水槽などにも採用されています。優れた耐薬品性、耐候性、加工性が特徴です。

アクリルパイプの使用用途

アクリルパイプは、高透明度を生かした多様な用途で使用されます。

  • 光学部品
  • 照明器具
  • 室内装飾や各種ディスプレイ、看板
  • ドリンクサーバー
  • 実験装置
  • 建材

アクリルパイプの原理

1. 製造法

アクリルパイプには押し出し製法で製造されるものもありますが、押し出し製法の場合には押し出して筒状に仕上げるため、わずかに押し出しの押し出し痕が残ります。

特に高透明度の製品は遠心重合製法で製造されます。遠心重合製法とは、高純度のメタクリル酸メチルモノマーを円筒状型管に注⼊し過熱回転させながら重合固化させ、更に外⾯仕上げをする製法です。この方法では素材を高速回転する製造機で噴射しながら形を作り上げていくため、摩擦が生じず表面に痕が残りません。

2. 工程

遠心重合製法で製造されるアクリルパイプの詳細な工程は下記の通りです。

原料の保管: 原料のメタクリル酸メチルモノマーは、地下タンクに貯蔵し保管される場合があります。地下タンクでの保管は、ドラム缶等での保管よりも品質の劣化が抑えられ、異物の混入も防止できます。

  1. 原料の重合・加熱: 熟成窯内でメタクリル酸メチルモノマーの重合反応や加熱を行い、固形化前のアクリル樹脂を生成します。
  2. 触媒の添加と撹拌: アクリル樹脂を固形化するための触媒を配合し、撹拌します。製作物の厚みや大きさ、室温によっても適切な触媒量は異なります。
  3. 材料の注入・成形: 材料を機械に注入し、パイプを成形します。遠心重合製法では、原料を筒状の型管に入れ、加熱回転させて成形します。
  4. 表面磨き・歪みの除去: 機械から成形したアクリルパイプを取り出して両端を切り落とした後、機械と人力の両方で表面を磨き光沢を出します。
  5. アニール処理: 成形品を加熱することでアクリルパイプを構成する分子を安定させる処理です。アクリルが変形する寸前の温度で成形品を加熱し、クリアな外観を保ちます。
  6. 検査・出荷: 目視で異物やキズ、歪みの有無を検査します。必要な場合は、画像測定器による検査が行われる場合もあります。

2. 性質

アクリルパイプは主に下記のような特徴があります。

  • 軽量性
  • 耐衝撃性
  • 高透明度
  • 耐薬品性
  • 耐候性
  • 加工性

アクリルパイプは非常に軽く、比重はアルミニウムの1/2.3、ガラスの1/2です。耐衝撃値は無機ガラスの15倍です。光線透過率も92%以上と高く、透明度が高い素材です。表⾯はガラスのように滑らかになっています。硬質ポリ塩化ビニル管・塩化ビニル管などの1.5倍の抗張⼒、1.5〜2倍の曲げ強度を示します。

耐薬品性では、無機塩類、油、ガソリン、酸やアルカリにも耐えることができます。耐候性も高く、⻑期間の屋外使⽤から寒冷地の使⽤まで可能です。また、⼯作機械での切削、切断、孔あけなどの加⼯もスムーズに行うことが可能です。また、加⼯⾯も研磨によって透明性と光沢を復活させることができます。 

アクリルパイプの種類

アクリルパイプには径の細いものから太いものまで様々なものがあります。最も細いものでは外径30mmから製造されており、標準サイズは概ね外径30mmから510mmです。それ以上の大径パイプでは600mm、800mm、1000mm、1200mm、2000mmなどがあります。

また、断面の仕上がりには、切りっぱなし (切断面に多少凹凸ができる) 、糸面取り (切断面を平坦にする) 、ツヤミガキ (平坦になった断面を更に磨く) などの処理の種類があります。色では、無色のクリアパイプだけではなく、意匠性の高い多彩な色調の製品た蛍光カラーの製品が提供されています。様々な製品があるため、多様な用途で使用することが可能です。

本記事はアクリルパイプを製造・販売する日本真空化学株式会社様に監修を頂きました。

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大型浴槽

監修:日本真空化学株式会社

大型浴槽とは

大型浴槽とは、複数名で入浴が可能な大型の浴槽 (バスタブ) 製品のことです。

大型浴槽は、主に各種施設の共同浴場や、リラクゼーションを目的としたスパ施設、介護施設などの介護浴室などで使用されています。素材には、FRPやステンレス、タイル貼りなどがあります。

大型浴槽の使用用途

大型浴槽は、複数名で入浴する浴室で主に採用されています。リラクゼーション用途と、清潔を目的とした福祉厚生用途に大きく二分されて利用されている印象であり、主な用途は下記の通りです。業務用では社内設備として自社ビル最上階に大浴室を設置した事例もあり、また、個人住宅であってもリラックス目的でやや大型の浴槽が採用されている場合もあります。

  • ホテルや旅館などの宿泊施設、保養施設やスパにおける温浴施設で使われるリラクゼーション用途
  • 介護施設や病院、高齢者施設 (デイサービス) 、障害者施設などの介護浴室、共同浴室
  • 社員寮、宿舎、工場、自衛隊施設など各種施設の共同浴室
  • 個人住宅

大型浴槽の原理

大型浴槽に用いられる素材にはFRP、FRAなどの樹脂系素材のほか、ステンレス、陶器などがあります。

1. FRP、FRA

FRPとは繊維強化プラスチック (英: Fiber Reinforced Plastic ) のことです。一般的にエポキシ樹脂などのマトリックス樹脂にガラス繊維などの強化材を混ぜて製造されます。普通のプラスチックに比べ、防水性が高く、軽さと丈夫さに優れているという特徴があります。また、FRPは補修が容易な素材です。劣化やひび割れが生じた場合、新しくガラス繊維と樹脂をその場で継ぎ足して補修する (FRPライニング) ことができます。複雑な形状を成形しやすいため、ステップや背もたれなど、複雑な浴槽形状を製作しやすいことも長所の一つです。

FRAとは表面層がアクリル樹脂で、裏面を強化プラスチックで補強した複合材です。アクリルの優しい肌触りと強度を両立した性質です。

2. ステンレス

ステンレスは、低コストで耐久性に優れた素材です。ステンレス浴槽ならではの長所として、24時間風呂に対応していることがあります。 24時間風呂とは、循環・浄化・保温の機能により、時間帯を問わずいつでも入浴できる浴槽です。

素材特性と加工性から自由な形状の浴槽を製作することができ、タイルや御影石などを貼り付けた高級浴槽も可能です。
また、漏水予防が必要な階上設置浴槽のステンレス防水層にも使用されることがあります。

4. 付帯設備・形状

スパなど、レジャー要素のある施設では、ジェットバス、水中照明などを備えたレジャー性のある浴槽が採用される事が多いです。

また、病院、リハビリセンター向け自立支援浴槽では可動式手摺や仕切板などが装着されます。浴槽またぎを小さくしたり、腰掛ける場所を作る目的でステップを浴槽内に設置する場合も多くあります。

大型浴槽の種類

1. 用途別

大型浴槽には前述の通り、リラクゼーション・レジャー的用途と、清潔を目的とする共同浴槽用途、介護・医療における入浴用途などに大きく分けられます。リラクゼーションを目的とした浴槽にはジェットバスなどの付帯設備が設けられる場合や、またタイル貼りなどによって意匠性を高めてある場合があります。

介護用途が想定される浴槽の場合は、手すりやステップが設置される場合が多いです。浴槽またぎを低くし、浴槽手前にもステップを取り付ける場合もあります。

2. 大きさ・形状

大型浴槽には、2〜3人程度が入浴できる小さめのものから、5人前後が入浴できる中程度のもの、10人以上入浴可能な超大型のものまであります。用途に合わせて、適切な大きさを選択することが可能です。

形状は、四角いものが一般的ですが、リラクゼーション施設などでは丸い形や多角形形状のものもあります。特に、FRP製浴槽では複雑な形状のものも多く提供されています。また、福祉用途の自立支援浴槽の中には仕切板が設置される場合もあります。

本記事は大型浴槽を製造・販売する日本真空化学株式会社様に監修を頂きました。

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DAQカード

監修:株式会社エレクトロニカIMT事業部

DAQカードとは

DAQカードとは、産業用データ収集 (DAQ) に使用される、PCI/PCIeカード、PXI/PXIeカード、シリアル通信カードなど、各種拡張カードなどを指す言葉です。

DAQ (Data Acquisition) とは、データ収集・データ集録を指し、特に電圧、電流、温度、圧力、音響などの電気的/物理的現象を計測するプロセスを指すことが多いです。産業用途で広く使用されています。

DAQカードの使用用途

1. DAQの使用用途

DAQは、様々な業界、アプリケーションのエンジニア、研究者によって広く利用されています。DAQで集録されるデータは、主には下記のような物理現象データです。

  • 温度
  • 電圧
  • 電流
  • ひずみと圧力
  • 衝撃と振動
  • 距離と変位
  • RPM、角度、および離散イベント
  • 重量 (質量)
  • 光量や画像

DAQによって集録されるこれらの計測データは、研究・開発におけるデータ収集の他、産業分野において下記のような用途で応用されています。

  • 各種装置の監視 (発電機、モータ、ファン、プラント装置など)
  • 建物や構造体の構造特性を監視 (橋やスタジアムなど)
  • 生産プロセスにおける監視・制御 (エネルギー消費及びエネルギー効率など)
  • 各種製品試験 (電気、機械、機器など)
  • 環境パラメータ (温度、湿度、圧力、高度)の変化における試
  • 信頼性試験(HALT、HASS、AST)
  • PCベースの制御/自動化アプリケーション
  • 装置オペレーションの調整や、動作・特性の評価と記録

特に、自動車産業でブレーキテストをはじめとする各種試験や、航空宇宙分野における各種開発試験、その他工場プロセスの監視、ロボット工学の開発に使用されている技術です。

2. DAQカードの使用用途

DAQカードは、上記DAQシステムの中で、取得されたデータをPCに転送する用途で使用されます。

DAQカードの原理

1. DAQの概要

DAQは、センサーなどで取得したアナログの測定値をデジタルに変換して表示、保存、解析を行うプロセスです。通常、下記のような装置構成から成ります。

  • センサ
  • シグナルコンディショナ
  • ADコンバータ (ADC)
  • コンピュータ (信号の収録と解析のためのDAQソフトウェアを搭載)

センサから得られた信号はシグナルコンディショナへ出力さされ、シグナルコンディショナからの出力はアナログデジタルコンバータ (ADコンバータ) によってサンプリングされます。このような信号をコンピュータに転送する際にPCIスロットなどを介して使用されるものがDAQカードです。

2. DAQカード

DAQカードは、PCIスロットなどを介してパソコンへ接続される拡張カード/拡張ボードです。ボードを利用することで、高速にデータ転送を行うことができます。カードによって提供される機能は、入力、出力の他、様々な機能があります。

PCでのデータ転送の種類は、Pollモード、割り込みモード (interrupt mode) 、DMA(Direct Memory Access:直接メモリ・アクセス)などです。

Pollモードでは、プログラムから、AD変換器が使用可能状態にあるボードにポール (問い合わせ) を行います。

割り込みモード(interrupt mode)では、データ収集プロセスを実行している間に他の処理を行うことをコンピュータに許可する方法です。 データの値を得られるようになると、割り込みは、データを転送するために、コンピュータに通知します。 

DMAモードのデータ転送では、DAQカードはコンピュータの介在なしでコンピュータのメモリーから計測装置、あるいはメモリーへ直接行われます。 

DAQカードの種類

DAQカードは、様々なメーカーから販売されており、多様な製品が販売されています。

製品によって、チャンネル数、分解能、サンプリングレートなどが大きく異なります。同時サンプリングチャンネル数では、4チャンネル、16チャンネルや32チャンネルなどがあり、通常、多チャンネル入力に対応しています。サンプリングレートの種類は、250kS/s、500kS/s、800kS/s、1MS/sなどです。

本記事はDAQカードを製造・販売する株式会社エレクトロニカIMT事業部様に監修を頂きました。

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高速デジタイザ

監修:株式会社エレクトロニカIMT事業部

高速デジタイザとは

高速デジタイザとは、オシロスコープのように電気信号の波形を読み取り、デジタルデータとして取り込む装置です。

オシロスコープが波形観測を主体としている一方で、デジタイザはデジタイザはA/Dコンバータを内蔵し、アナログ信号のサンプリングと量子化を行ってデジタル化します。大量のデータを収集後、高速でPCに取り込み、PC側で表示・解析を行いますので、高スループットでのデータ解析、データ処理が必要な測定に向いている装置です。

高速デジタイザの使用用途

高速デジタイザは、学術的研究や、工業的部品や基盤の検査、様々な装置への組み込みに使用される機械です。

1. 研究

高速デジタイザは、下記の諸分野の物理学的研究における、大規模物理実験装置に用いられます。

  • パルス電力
  • 核物理学
  • 指向性エネルギー
  • 凝縮物質
  • 原子・分子・光物理学

具体的な装置では、加速器、核融合炉、パルス磁石、電波望遠鏡などの装置があります。

更に、化学分野へもまたがってTOF-MS質量分析計やAFM (原子間力顕微鏡) にも使用されており、バイオ分野ではセルソーターへも利用されている組み込み装置です。

2. 工業

高速デジタイザは、工業的用途でも様々な機器へ組み込まれて使用されています。具体例としては下記のようなものが挙げられます。

  • 車載レーダー
  • LiDAR
  • 医療機器 (MRI、OCT)
  • 超音波計測装置・超音波非破壊検査装置
  • ファイバーセンシング
  • 分光計
  • 航空宇宙

また、デジタイザは下記のような部品や基盤などの検査でも使用されている装置です。

  • ダイオードなどの検査・計測
  • アナログ/デジタル混在信号の同期計測
  • 超音波計測
  • 電磁鋼板の磁気特性計測
  • タービンブレードの振動評価試験

高速デジタイザの原理

1. 概要

高速デジタイザとは、アナログ量をデジタルデータに変換し、パソコンなどへデータ転送を行う装置です。デジタイザは、A/Dコンバータ、プリアンプ、メモリ、パソコンからの
制御機構が組み込まれた構成となっており、パソコン上で種々の処理を容易に行うことができます。

装置形状はプリント基板でPCなどに組込んで使用するものや、PCとイーサネットなどでつないで制御する箱型の計測器などがあります。オシロスコープと異なり、スタンドアロン型ではありません。

2. 機能

高速デジタイザは、データ転送速度が~3.5GB/sと速いことが特徴です (オシロスコープは~5MB/s) 。入力チャネル数は製品によって異なりますが、1つのものから最大128のものまであります。独立した複数チャネルを有するものでは、独立した入力アンプ、独立したAD変換器を持ち、独立した同時サンプリングを行うことが可能です。

3. 測定を構成する要素

デジタイザによる測定は、下記の基本的な要素から成ります。

  • 入力レンジ: 入力電圧のレンジ
  • 入力インピーダンス
  • サンプリング周波数: 1秒間あたりに入力信号をデジタル信号に変換する回数
  • 変換ビット数: 変換出力されるデジタル信号のビット数

また、FPGA (Field Programmable Gate Array) を搭載しているデジタイザでは、デジタイザ自身で各種信号処理を行うことが可能です。例えば、アベレージャ機能を使用することにより、周期的な信号の積算値や積算後の平均値をPCに出力する事が可能です。このアベレージャ機能により、ランダムなノイズ成分を相殺して、周期信号を積算して観測することができます。

高速デジタイザの種類

高速デジタイザは、様々なメーカーから多様な製品が販売されています。形状別では、上述のように、組み込み型のボード製品や箱型の製品などがあります。

分解能 (デジタイズ可能な細かさの定義) は、ビット数で表され、8ビット〜14ビット程度の製品が主流です。8 ビット、10 ビット、12ビット、14ビットの分解能は、それぞれ256、1,024、4,096、16,384 分の 1 を区別できることを意味します。

その他、サンプリング周波数やFPGAの搭載有無など様々なファクターがあります。用途に合わせて適切な物を選択することが必要です。

本記事は高速デジタイザを製造・販売する株式会社エレクトロニカIMT事業部様に監修を頂きました。

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カーボンクレジットコンサル

監修:株式会社woodinfo

カーボンクレジットコンサルとは

カーボンクレジットコンサルとは、カーボンクレジット (CO2などの温室効果ガスの排出削減量を売買可能にする通貨のような仕組み) の売買取引や創出など、取り扱い全般をコンサルティングするサービスです。

企業活動等によるCO2等の温室効果ガスの排出について、各企業は排出量削減努力を行う義務があるとされています。カーボンクレジットとは、主に企業間で温室効果ガスの排出削減量の売買を行う仕組みのことを指し、削減することができない排出量について、カーボンクレジットを購入することが可能です。このような考え方をカーボン・オフセットと呼びます。また、排出権だけでなく、森林管理などにより生まれる温室効果ガス吸収量も排出を相殺するカーボン・クレジットとして取引されます。

カーボンクレジットコンサルは、このようなカーボンクレジットについて、売買仲介・調達、クレジット創出、脱炭素経営コンサルティング全般などを行うコンサルティングサービスです。

カーボンクレジットコンサルの使用用途

近年、全世界的な方向性や国の施策などの影響により、企業活動において、大手企業から中小企業まで、サプライチェーン・バリューチェーン全体で脱炭素を進める傾向が顕著になっています。環境配慮型の経営を行うことは、取引企業との関係強化や競合他社との競争力強化の上でも効果的です。

カーボンクレジットコンサルは、カーボンクレジットに関わる全体を支援するサービスであり、そのような環境配慮型の企業経営を円滑に進める目的で利用されます。排出量算定などの現状把握、カーボンクレジット創出支援、環境経営戦略や温暖化効果ガス削減目標の策定支援など、あらゆる側面での脱炭素施策推進を目的として使用されます。

カーボンクレジットコンサルの原理

1. 2050年カーボンニュートラル

2020年10月、日本政府は温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするという「カーボンニュートラル」を2050年までに目指すことを宣言しました。

「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味します。これを実現するために必要なのが、排出権の流通としてのカーボンクレジットです。

2. カーボンクレジットの種類

カーボンクレジットの仕組みには、ベースライン&クレジット制度
とキャップ&トレード制度とがあります。前者は、温出効果ガスの削減量を取引する制度であり、後者は割り当てられた温室効果ガスの排出権のうち余剰分/不足分を取引する制度です。

主なカーボンクレジットの種類には、環境省、経済産業省、農林水産省が運営するベースライン&クレジット制度であるJ-クレジット制度や地方公共団体によるJ-クレジット制度、民間企業やNGO団体などが主導するクレジットである「ボランタリークレジット」などがあります。

3. サービス内容概要

カーボンクレジットコンサルティングの具体的なサービス内容には

  • カーボンクレジット取引仲介・調達
  • カーボンクレジット創出支援・売却支援
  • 脱炭素経営に向けた戦略策定支援・ブランディング支援

などがあります。

カーボンクレジット取引仲介・調達では、企業の特性・業界の性質などを踏まえて、企業ごとに最適なクレジットを提案・仲介します。

カーボンクレジット創出支援・売却支援では、カーボンクレジットの創出を行う森林経営・省エネ設備導入や再生可能エネルギーの導入などを支援します。CO2削減量のクレジット化手続き代行、クレジットの買い手探索ならびに収益化を支援するサービスです。

これらのカーボンクレジット取引を基本ベースとして、 場合によっては、排出量算定、目標や削減計画の策定、ブランディング化とその発信など、環境経営全体を支援することができます。

カーボンクレジットコンサルの種類

カーボンクレジットコンサルは、複数の企業から提供されており、様々な種類があるサービスです。環境経営全体をトータルにサポートするサービスや、排出量削減を中心に据えてカーボンクレジットの取引はあくまで副次的とするサービス、カーボンクレジットの創出を行う森林管理を中心とするサービスなどの種類が挙げられます。

本記事はカーボンクレジットコンサルを行う株式会社woodinfo様に監修を頂きました。

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浸水防止シート

浸水防止シートとは

浸水防止シートとは、豪雨や台風などによる水害対策を行うための防水シートです。

主に、機器や自動車などを浸水から保護することに使用され、建物出入り口などの開口部を簡易的に浸水から防ぐことにも使用できます。浸水防止シートを用いることにより、建て替えやリフォームを行うことなく簡易的に水害対策を行うことが可能です。

浸水防止シートの使用用途

浸水防止シートが使用される目的は、水害による浸水を未然に防ぐことです。集中豪雨、ゲリラ豪雨、台風など様々な気象条件により浸水を伴う水害は発生します。

浸水防止シートは、駐車場などの屋内外機器の浸水防止、自動車の浸水防止、開口部からの建物の浸水防止などの用途で使用される製品です。自動車の防水では、特に電気系統やエンジン系統の浸水を防ぐ目的で使用されます。他の乗り物にも応用して使用することが可能であり、

  • 水上バイク
  • オートバイ
  • ヘリコプター
  • ジェットスキー

などの事例があります。

更には医療機器や家財にも転用可能です。降雪被害や降灰被害の対策にも利用できます。

また、立体的にシートが立ち上がることで、簡易的な防水壁として使用できる製品もあります。建物の浸水防止では、工場・倉庫・ビル・マンション・商業施設・公共施設・個人住宅などに使用されます。尚、浸水防止シートで防止するのが難しい場所には止水板などを利用することが効果的です。

浸水防止シートの原理

1. 概要

浸水防止シートは、主にポリエチレン織布や、ポリ塩化ビニルなどの合成繊維が用いられており、多層の防水コーティングが施されています。軽量かつ丈夫で柔軟性の高い材質です。防水シートは水圧がかかることによりピタッとシートがくっつき浸水を防ぎます。

薄型であり、使わない時は折り畳んでコンパクトに収納できるため場所をとらずに保管することが可能です。雨が止んだあとは日陰で干しておくだけで繰り返し使用可能です。機器用浸水防止シートは、設置機器のサイズや形状に応じた
カスタム設計・製造を行うことができ、設置も容易です。

2.特性

従来浸水対策に用いられてきた土のうは、重くかさばるため、準備・後片付け・保管が大変でした。浸水防止シートは、軽量で取り扱いが容易である上、製品によっては、漏水量200L/(h・m2)以下、土のうの約10倍以上という高い止水性能を発揮します。水圧では、1,300mm/min以上の水圧に耐えられる製品もあります。

また、開けた駐車場に停車中の車などは、土のうによって浸水対策を行うことが有効では有りませんが、浸水防止シートであれば、車両自体を覆うことで浸水対策を行うことが可能です。

浸水防止シートの種類

浸水防止シートには、用途に合わせて、機器用の浸水防止シートや、自動車用浸水防止シート、簡易的な防水壁の代わりとなるシートなどの種類があります。

自動車用浸水防止シートでは、自動車をシートの上に停めて包むような形状のものや、袋状になっているシートの中に自動車を進入させて停めるものなどがあります。大きさの種類は、車両の大きさに合わせてS,M,Lなどの3種類程度です。Sサイズは、軽自動車やクラシックカーの他、オートバイや家財などに使用することもできます。Mサイズは中型のセダンやスポーツカーに適しています。Lサイズは大型セダンや、小型から中型のSUV、大型までのスポーツカー、ミニバン、ワゴンなどに使用することが可能です。

また、開口部などに設置する浸水防止シートでは、用途に合わせて1m〜50m程度までの幅の種類があります。

浸水防止シートのその他情報

1. 浸水防止シート以外の浸水対策

浸水防止シートは手軽かつ有効な浸水対策手段ですが、条件等によっては、シートでは効果が不十分なケースもあります。そのような場合は、止水板などを活用することが有効です。止水板も、工事不要で導入できるものが多々有り、水かさが増すと水圧で建物と止水板が密着します。製品にもよりますが漏水量20L/(h・m2) 以下の高い止水性能を発揮し、効果的に水害対策を行うことが可能です。

それ以外にも、水害時のみ浸水経路が自動的に閉鎖されるような浸水防止換気口など、手軽に導入できる浸水対策部材は多々あります。

プラスチックダンボール

プラスチックダンボールとは

プラスチックダンボールとは、ポリプロピレンやポリカーボネートなどのプラスチック素材を段ボールと同様の中空構造のシートに成型したものです。

省略してプラダンと呼ばれることもあります。紙製の段ボールに比べて強度があり、耐久性や耐水性も格段に優れた特性を持ちます。梱包資材、物流資材をはじめとして、様々な用途で使用されている素材です。

※記事内において、広く使用されている製品名については「プラダン」と記載します。

プラスチックダンボールの使用用途

プラスチックダンボールは、梱包資材や物流資材を中心として様々な用途で使用されています。

1. 梱包資材

プラスチックダンボールを箱状に加工したものは、梱包材として使用され「プラダンケース」などと呼ばれています。繰り返しの使用や重量物の収納に耐えられるため、繰り返し使用する通い箱や、折りたたみのコンテナ、各種保管箱、引越しの際のハンガーボックスなどとしても利用可能です。

2. 物流資材

シート状のプラスチックダンボールは物流現場において建物や荷物を保護する緩衝材として使用されます。主な用途は壁・柱・窓・床などに傷が付くのを防ぐことを目的とした、養生シートやパレットの敷板などです。引越しや荷物搬入などにおいて使用されます。

3. 工業製品

プラスチックダンボールは軽さと強度のバランスが優れた素材であるため、軽量化を図る目的で、工業製品のパーツとして使用されることがあります。主な用途は、自動車の内装部品や機械の絶縁材、ベッドの中芯などです。

4. 看板

プラスチックダンボールは穴あけ加工や印刷ができ、水濡れにも強い性質があるため、看板としても使用されます。選挙ポスターの台紙としても使用される素材です。

5. DIY

プラスチックダンボールは、工作やDIY用途で利用される場合もあります。カッターで切断でき、素手で折り曲げて加工できる素材でありながら、紙製のダンボールよりも耐久性が高く、通常のプラスチックの板よりも軽量で加工しやすいためです。ペットサークル、引き出しの中仕切り、網棚の下敷きなどの他、半透明のプラダンを用いて窓用の断熱シートを作ることもできます。

プラスチックダンボールの原理

1. 概要

プラスチックダンボールは、熱可塑性樹脂であるポリプロピレンやポリカーボネートなどを材料として製造されます。

プラスチックダンボールは、通常のダンボールと同様に、2枚の平面板の間に中芯を挟んだ中空構造となっています。紙段ボールの中芯の断面が波型なのに対して、プラダンの中芯は真っすぐな柱が等間隔に並び、ハーモニカの吹き口のような断面です。この中芯を「リブ」、表層を「ライナー」と呼びます。

一般的なダンボールの場合は接着剤を用いて成形される一方、プラスチックダンボールは原料を型に流して押し出す「一体押出成形」で製造されます。すなわち、プラスチックダンボールには接着部分がなく、剥がれる心配がありません。

2. 特性

プラスチックダンボール (プラダン) には、下記のような特性があります。

  • 軽い
  • 加工しやすい
  • 強度が高い
  • 緩衝性がある
  • 耐久性・耐水性・耐薬品性に優れる
  • 繰り返し使用することができるため費用対効果が高い
  • 環境に優しい

プラスチックダンボールは中空構造を持つことから、プラスチックの一枚板よりも軽く、カッターなどで切断加工することも容易であるという特性があります。プラスチック素材であることから、熱を加えて溶着を行う成型も容易です。また、中空構造ゆえに衝撃を吸収する緩衝性があります。

紙製ダンボールに加えて水に強いのみでなく、酸やアルカリ、溶剤への耐性もあります。環境面では、長期間リユースできるため、ごみの削減に貢献できます。また、原料として使用されるポリプロピレンは、リサイクルしやすい素材です。軽量素材であることから、輸送時のCO2削減にも貢献できます。

プラスチックダンボールの種類

1. 素材種類

プラスチックダンボールには、1.5mmから7.0mmまで様々な厚みがあり、白・黒・半透明やその他にも青・水色・赤・緑をはじめとする様々なカラーバリエーションがあります。

その他、機能性プラスチックダンボール素材の種類には下記のようなものがあります。

  • 導電プラダン: 製造時に導電性物質であるカーボンブラックを含有させたプラスチックダンボールです。静電気対策に有用であり、特に埃の吸着や物品の静電気破壊を防ぐのに有効です。
  • 表面導電プラダン: 簡易的な静電気対策に使用されるプラスチックダンボールで、表層部分のみにカーボンブラックが含まれています。
  • バイオエコプラダン: 環境に配慮し、原料の一部に植物由来のプラスチック (バイオマスプラスチック) が添加されたプラスチックダンボールです。
  • エコリアルボード: リサイクル原料100% (顔料・添加剤を除く) で製造されたプラスチックダンボールです。

2. 製品形状

プラスチックダンボール製品には、大きな板状のプラダンシートや、プラダンケースとして箱状に成形されたもの、コンテナ型のものなどがあります。用途に合わせたものを選択することができます。

耐アルコールペン

監修:大道産業株式会社

耐アルコールペンとは

耐アルコールペンとは、耐水性・耐溶剤性を持ち、書いた文字がアルコールなどでも消えないペンです。

理化学実験などでは、ガラス器具やマイクロチューブなどの実験器具・研究備品に実験情報を書くことが多くあります。一方で、実験室などではアルコールなどの溶剤を用いることが多いため一般的な油性インクでは消えやすい環境です。そのため、研究開発シーンをターゲットとした耐アルコールペンが製品化されています。インクはにじみにくく、速乾性に優れた特性を持つことが特徴です。

耐アルコールペンの使用用途

1. 概要

耐アルコールペンは主に研究・開発・試験などにおいて、実験器具に実験情報などを筆記するために用いられる筆記用具です。

例えば、バイアルやマイクロチューブなどにサンプルを保管する際に内容物の番号や情報などを筆記したり、フラスコや試験管などに重量などの一時的なメモを筆記する用途などがあります。化学、生物学などに関係する研究分野で特に一般的に需要があります。

2. 筆記する対象物など

筆記される器具や備品には主に次のようなものがあります。

  • ラベル
  • ビーカー
  • 試験管
  • 遠沈管
  • フラスコ
  • バイアル
  • スライドガラス
  • カバーガラス
  • シャーレ
  • マイクロチューブ

また、耐アルコールペンは、紙・木材・段ボール・布・金属・磁器などの一般的な素材にも筆記することが可能です。耐水性に優れており水と混ざりにくい素材のインクであるため、凍結面や結露面にも筆記することができます。研究開発においては、冷凍庫から取り出したサンプルチューブや水で濡れた器具などに筆記する場合もあるため、このような特性は役に立ちます。

耐アルコールペンの原理

1. 耐水性・耐溶剤性

耐アルコールペンは、油性顔料インクなどが使用され、下記のような物質に対して消えにくい性質を持ちます。

  • アルコール (エタノール、イソプロパノールなど)
  • クロロホルム
  • キシレン
  • 耐酸性
  • 耐アルカリ性

実験室で用いられる様々な溶剤に対して耐性を発揮する筆記用具です。

2. 筆記特性

耐アルコールペンは、ガラス、各種樹脂 (ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ABSなど) 金属などに特に優れた筆記特性があります。

滑面およびフロスト面への筆記が可能です。各素材について充分な耐性、強度を得るための目安となる乾燥時間は概ね下記のとおりです。

  • ガラス滑面: 3〜5分
  • 樹脂滑面: 3分
  • ガラス・樹脂のフロスト面: 30秒
  • フィルム: 30秒

また、製品によっては紙・布・ビニール・木材・段ボール・磁気へも筆記を行うことができます。オートクレーブの使用は、材質や表面状態によって、筆記した文字が消えることがあります。

3. その他の特性

耐アルコールペンは、耐溶剤性以外にも次のような特性があります。

  • 耐熱性
  • 耐冷性
  • 耐摩擦性
  • 耐候性
  • 耐光性

ただし、これらの性質は製品にもよります。耐熱性では、インクが乾いたあとであれば一般的に220℃から400℃程度の熱に耐えることができます。耐冷性では-50℃よりも低い温度まで対応しており、ディープフリーザーなどでも使用可能です。凍結面や結露面に筆記することができるため、フリーザーから出したばかりのサンプルなどにも筆記することができます。

耐アルコールペンは、十分に乾燥したあとは簡単には落ちなくなりますが、落としたい場合はウエスに中性洗剤を含ませこすり落とすことで落とすことができます。

耐アルコールペンの種類

耐アルコールペンは、様々なメーカーから複数の製品が販売されています。

色の種類には、黒・赤・青などが有ります。細さは0.3mm、0.6mm、0.8mm、1.0mmなどです。両頭タイプのものもあり、細いものから太いものまで用意されています。細いものは特にマイクロチューブの蓋など狭いところに筆記することに最適です。細い製品では、ペン先に硬い素材が用いられ、筆記しやすさを実現しています。用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。

本記事は耐アルコールペンを製造・販売する大道産業株式会社様に監修を頂きました。

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