PAS 交換工事

 PAS 交換工事とは

 PAS 交換工事とは、高圧受電設備に設置されている PAS ( Pole Automatic Switch :高圧気中開閉器) を、新しい装置へ交換するサービスです。

 PAS は、高圧配電線から施設へ電力を取り込む際に、短絡(ショート)や地絡などの異常を検知して自動的に回路を遮断する重要な保護装置です。老朽化が進むと誤作動や遮断不良のリスクが高まり、停電や設備トラブルにつながるため、定期的な交換が必要となります。

PAS交換工事では、現地調査を行い既存の設備の状態を確認したうえで、最新の保護性能を備えたPASへ交換します。高所作業や高電圧機器の取り扱いを伴うため、専門資格を持つ電気工事の技術者が安全基準に沿って施工を行います。交換後には、絶縁確認や動作試験などの各種検査を実施し、正常に機能することを確認します。

 PAS 交換工事の用途

 PAS 交換工事は、主に以下の用途で使用されています。

1. 工場・製造設備の電力安定供給

製造ラインや大型機器を稼働させる工場では、電力トラブルが生産停止につながるため、PAS の信頼性が非常に重要です。 PAS 交換工事を行うことで、短絡・地絡などによる突発的な電源の遮断を防ぎ、安定した生産環境を維持できます。また、最新の PAS に更新することで保護の性能が向上し、機器の寿命延長にも寄与します。

2. 商業施設・オフィスビルの電力保全

商業施設やオフィスビルでは、空調・照明・エレベーターなど、多くの機器が高圧電力を使用しています。 PAS の故障はテナント営業の停止やビル全体の停電につながるため、予防保全としての PAS 交換が欠かせません。交換後の動作試験や絶縁の点検によって、安全で信頼性の高い電力供給の体制を整備できます。

3. 医療施設・福祉施設の電力トラブル対策

病院や福祉施設では、電力障害が生命維持の機器や重要システムの停止につながる可能性があります。 PAS 交換工事により、緊急時の遮断機能を確実に維持し、電力の安定性を強化できます。また、交換作業ではバックアップ電源との切替や安全な手順が徹底されるため、施設の運営に支障をきたさない施工が可能です。

4. 老朽化設備の更新・法令対応

経年劣化した PAS は、絶縁低下や動作不良のリスクが高まり、事故や停電の原因となります。 PAS 交換工事は、老朽設備の更新だけでなく、法令・電力会社の基準への適合を図る目的でも実施されます。最新の仕様へのアップグレードにより、安全性の向上と長期的な運用コスト削減が期待できます。