炭化装置

炭化装置とは

炭化装置とは、有機物を単体炭素の状態に変化させる装置です。

特に廃棄物の処理方法として注目されています。生ごみなどの有機廃棄物は、大部分が焼却により処分されていますが、焼却に伴って二酸化炭素が発生する点で環境に好ましくありません。そこで、燃焼によらず減容でき、生成物の再利用もできる方法として、炭化が関心を集めています。

実用化されている炭化装置の一つは、木炭を作る工程と同様に炭化炉で蒸し焼きにするタイプです。酸素がない条件で加熱すると、有機物は二酸化炭素とならずに熱分解していき、最終的には炭素だけが残ります。

加熱のみに頼らない方法として、触媒を用いる方法も運用されています。実用化されている触媒は、スルホン酸系の触媒です。加熱による熱分解よりも低温 (100から200 ℃) での処理を可能とするものです。

炭化装置の使用用途

一般廃棄物や産業廃棄物の一部 (紙、布、プラスチック、汚泥など) の減容化、有害物質の固定化、資源化などがあります。

1. 廃棄物の処理

炭化装置は、廃棄される有機物を処理し、炭の状態に減容することに用いられています。有機物は、木材、食品残渣、下水汚泥、生ごみや一般ごみ、産業廃棄物などです。

有機物中の炭素は、焼却法においてはすぐに二酸化炭素として大気中に放出されてしまいますが、炭化処理では、有機物中はいったん炭の状態となります。炭には燃料以外の利用法もあるため、二酸化炭素の発生を制御することができると考えられています。また、炭化処理を行った場合、生成する炭は化学的に安定であり、劣化することがないため、扱いやすく衛生的であることは廃棄物処理法として優れた点です

2. 環境・エネルギー業界

間伐材、農業残渣、食品残渣、下水汚泥といった様々なバイオマスを炭化し、高効率な固形燃料である「バイオ炭」を生産し、バイオマス発電などで活用されます。再生可能エネルギーの供給源として、また大気中の炭素を土壌に固定する手段として、脱炭素社会の実現に貢献します。

3. 農業・畜産業界

農業残渣 (稲わら、もみ殻、剪定枝など) や家畜糞尿の処理に利用されます。これらの有機性廃棄物を炭化することで、悪臭の抑制、減容化が図れるだけでなく、生成されたバイオ炭を土壌改良材や肥料として再利用し、持続可能な農業を推進します。