木型とは
木型とは、鋳物を製造する際に砂型を作るための原型となる木製モデルの製品です。
鋳造工程では、まず木型を使って砂型の空洞 (キャビティ) を形成し、その中に溶けた金属を流し込むことで、目的の金属部品を成形します。木型は、製品の形状を正確に再現するための重要な基準となり、鋳物の寸法の精度や品質に大きく影響します。木材は加工性に優れ、細かな形状や複雑な構造にも対応できるため、試作から量産まで幅広く使用されています。
木型は、鋳物の収縮や加工代 (仕上げ代) を考慮して製作され、最終的な製品の精度を確保するために高い技術が求められます。用途に応じて単品用の簡易的な木型から、長期での使用を前提とした耐久性の高い木型、金属や樹脂と組み合わせたハイブリッド型まで多様な種類があります。
木型の使用用途
木型は、主に以下の用途で使用されています。
1. 自動車部品の鋳造
エンジンブロック・シリンダーヘッド・ケース類など、自動車に欠かせない複雑かつ高精度が求められる部品の砂型製作に木型が利用されます。耐久性の高い材料を使った木型や、精密な分割型を用いることで、量産にも対応できる安定した鋳造の品質が得られます。
2. 産業機械・建設機械の鋳物部品
大型鋳物や肉厚部品・複雑な機械構造物の砂型製作にも木型は不可欠です。重量物に対応するため、変形しにくい堅牢な木型が求められ、精度と強度の両立が重要となります。設備の部品や構造部品など幅広い分野で使用されています。
3. 試作品・単品部品の製作
少量生産や試作の段階では、短期間で原型を作成でき、コストも抑えられる木型が特に有効です。設計変更にも柔軟に対応できるため、開発工程での検証用の鋳造や単品部品の製作に適しています。
4. 美術作品・モニュメント鋳造
美術鋳造や特注製品では、自由度が高く加工しやすい木型が活用されます。独自の造形や細部のデザイン表現に優れ、作家の意図を正確に再現した砂型の形成に役立ちます。
5. 重量物部品の鋳造モデル
大型鋳物や特殊形状の重量物では、木型を基に強度の高い砂型が作られます。これにより、寸法の精度や耐久性を確保し、安定した鋳造の品質を実現します。