非常食とは
非常食とは、災害時や非常時に備えて家庭や職場、施設、自治体などで備蓄される食品です。
非常食には、長期保存・簡便性・栄養バランス・省スペースが求められます。真空技術や殺菌技術などが進み非常食の品質が維持され、一般的には5年程度、長いものでは25年程度常温で保存可能です。近年は、日常的に消費しながら備蓄するローリングストックが浸透し、防災意識を高めながら非常食の鮮度を維持できる利点が注目されています。
非常食には、調理済みの缶詰や簡単に食べられる米や麺類、パンがあります。栄養バランスを考慮したものや高齢者対応のもの、離乳食や介護食など様々な食品があり、味の工夫もされています。
非常食の使用用途
非常食は様々な場所で備蓄されています。ここでは、企業、施設、自治体などの公共施設における非常食の使用用途について紹介します。
1. 企業
企業では、災害時に従業員が会社に留まる可能性を考え、非常食を備蓄しています。また従業員だけでなく、近隣住民や帰宅困難者にも対応可能な量の非常食を確保する企業もあります。
会社内の防災訓練で非常食の試食や配布を行ったり、賞味期限の近い非常食を置き食することで、非常食の味を体験し防災意識を高めながら、ローリングストックを実施している会社もあります。
2. 医療・高齢者福祉施設
医療・高齢者福祉施設では、患者や高齢者向けにやわらかい食品や疾病対応の専用の非常食の備蓄が重要です。患者や高齢者、介護を受けている人の中には、咀嚼・嚥下困難な人も多く、おかゆや流動食タイプの非常食がよく利用されています。また、疾病・既往歴に応じて、減塩や低カロリー、高タンパク、アレルギー対応などの非常食の用意が必要です。
医療・高齢者福祉施設においても、日常の食事に非常食をアレンジして取り入れており、ローリングストックが意識されています。
3. 自治体
自治体では、災害時に避難所となる学校・公共施設や災害備蓄倉庫などで非常食を保管しています。アルファ米、クラッカー、レトルト食品、幼児用粉ミルクなどに加え、アレルギー対応食品も備蓄することにより、食の安全を確保しています。また、高齢者や咀嚼・嚥下困難な人向けにおかゆや流動食タイプの非常食も備えるなど、様々な住民に対応可能な自治体も増えています。