電解水生成装置

電解水生成装置とは

電解水生成装置とは、食塩水などを電気分解することにより、電解水を生成する装置です。

電解水の一番大きな区分は、酸性電解水である次亜塩素酸水と、アルカリ性電解水の2種類です。酸性電解水は、さらにpHによって強酸性電解水・弱酸性電解水・微酸性電解水に分類されます。

酸性電解水 (次亜塩素酸水) は殺菌・洗浄に利用されており、アルカリ性電解水は特に脂質やタンパク質などに洗浄効果を発揮します。各種法令の規定を満たしている強酸性電解水・弱酸性電解水・微酸性電解水は、食品添加物や、有機農産物使用可能農薬として用いることができます。

これは、規制を遵守している限りにおいては、電解水が非常に安全であるためです。電気分解生成装置は、衛生管理が必要な分野や現場で幅広く利用されています。酸性電解水の詳細は、図1をご参照ください。

酸性電解水の種類

図1. 酸性電解水の種類

電解水生成装置の使用用途

電解水の優れた除菌効果と洗浄効果を利用するため、電解水生成装置は衛生管理が必要とされているところに広く用いられています。具体的には、食品業界、医療業界、保育介護業界、清掃業界などの分野です。

例えば、食品工場や飲食店の厨房などにおける用途では、機器・調理器具の洗浄及び除菌や、食材の除菌などが挙げられます。医療業界における主な用途は、病院での医療器具の除菌や洗浄です。

また、保育施設や介護施設などにおいては、衛生的な環境の維持を目的として、哺乳瓶や食器の洗浄、衛生的な手洗いや、施設内の拭き取りによる除菌や清掃など、様々な局面で用いられています。

金属やプラスチックなどの部品を扱う工場においては、特にアルカリ性電解水による防錆を目的として電解水生成装置を使用する場合があります。アルカリ性電解水がタンパク質や脂質系の汚れの除去に優れているという特性を活用した用途です。

電解水生成装置の原理

強酸性電解水生成装置 (有隔膜二槽式) の概要

図2. 強酸性電解水生成装置 (有隔膜二槽式) の概要

電解水には、次亜塩素酸水などの酸性電解水と、アルカリ性電解水の2種類があります。多くの電解水生成装置は、陽極と陰極を隔膜で仕切った二室型電解槽構造です (有隔膜二槽式) 。

電解槽において、塩酸塩化カリウムなどの塩を微量加えた水道水などの原水を電気分解すると、発生したイオンが隔膜で分離される構造になっています。二室型電解槽で生成する酸性電解水は、主に強酸性電解水です。

食塩水の電気分解を行うと、電解槽内の陽極では、下記の反応が起こります。

  • H2O → O2 + 2 H+
  • 2Cl + 2e → Cl2

発生した塩素分子が水と反応することにより、次亜塩素酸水、即ち酸性電解水が生成します。この時生成する電解水は強酸性電解水です。

一方、陰極側で起こる反応は、以下の通りです。

  • H2O → H2 + OH

陰極側は陽極側とは隔膜で隔てられているため、水酸化物イオン (OH) の濃度が増加します。その結果、アルカリ性電解水が生成されるのです。

電解水生成装置の種類

微酸性電解水生成装置の概要

図3. 微酸性電解水生成装置の概要

電解水生成装置は、構造や目的とする電解水によって分類することができます。

1. 構造による分類

電解水生成装置には、上記で述べた二室型電解槽型の他に、微酸性電解水を生成する一室型電解槽型があります。微酸性電解水は、強酸性電解水と同様に食品添加物として承認され、「2~6%の塩酸を無隔膜の電解槽で電気分解して得られたpH5.0~6.5、有効塩素濃度10~30 ppmの生成水」と定義されています。

特徴は、強酸性電解水よりも有効塩素濃度が低く、かつ中性に近いpHで高い殺菌力を持つということです。各種食品の洗浄や厨房器具の洗浄殺菌など幅広く使われています。有効塩素濃度が低いため、特にカット野菜や果物などの洗浄に適しています。一室型電解槽は、予め2~6%に調製した塩酸を直接電解した後、原水と混合して生成を行う仕組みです。

電解槽内の陽極では塩酸を電気分解することにより塩素ガス (Cl2) が発生し、陰極では水素ガス (H2) が発生します。発生した塩素分子が水と反応することにより、次亜塩素酸水、即ち酸性電解水が生成しますが、原水と混合することにより目的の濃度まで希釈されます。

2. 電解水による分類

電解水によって分類する場合、下記の3つがあります。

  • 強酸性電解水生成装置
  • 微酸性電解水生成装置
  • アルカリ性電解水生成装置

原理の項で示した通り、強酸性電解水とアルカリ性電解水は一つの電気分解で同時に生成することから、装置の仕組み自体は同じものです。ただし、製品の中には、アルカリ性電解水を排水して酸性電解水専用になっているものもあるので注意が必要です。

また、形状には、工場でも使用可能な大型の据え置き型のものから、アンダーカウンタータイプの置型式製品、壁掛け可能な小型給水器型のものなど、様々な大きさ・形状があります。

参考文献
https://www.hoshizaki.co.jp/p/e-water/e-water.html
https://www.hoshizaki.co.jp/p/e-water/merit-woxrox.html
https://www.amano.co.jp/Clean/products/denkai.html
http://biseibutsu.co.jp/product/denkaisui

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です