ソリッドステートリレーとは
ソリッドステートリレーとは、リレーのうち半導体を用いた無接点型のことです。
リレーとは、ある入力信号を絶縁して出力する部品を指します。有接点型のリレーをメカニカルリレーと呼び、無接点型リレーをソリッドステートリレーと呼びます。高応答で高寿命のため、高精度なフィードバック制御が必要な場面に適しています。
ソリッドステートリレーの使用用途
ソリッドステートリレーは、産業機器の中ではごくありふれた部品です。日常生活で見ることは稀ですが、内蔵した機器は多く触れています。以下に例を列挙します。
- 温度でオンオフする冷蔵庫や空調機
- ガス給湯器内部
- 湿度でオンオフする加湿器
- プラントにおける駆動装置内部
- 電力使用量ロギング装置のパルス発信器
白物家電には必ずと言って良いほど内部基板に使用されます。高応答性と高寿命から、オンオフが高頻度で必要な場面に活用されます。また、メカニカルリレーと異なり、摺動点が存在しないため、ノイズに弱い製品にも組み込まれることが多いです。
一方で、信号の伝達には半導体の発光現象を用います。温度上昇の影響があるため、熱に弱くシビアな製品には不向きです。
ソリッドステートリレーの原理
ソリッドステートリレーは無接点型と言われることがあります。その名の通り入出力回路は物理的に隔離され、信号の伝達はフォトカプラを介して行われます。
入力信号を受信して発光ダイオードが発光し、その光を出力回路のトランジスタが受光して出力回路が動作します。信号伝達に光を使用していることから、光速レベルの高応答性があります。また、直接回路を導通させないため接点摩耗もなく、メカニカルリレーに比べて長寿命です。
また、入出力回路の間はフォトカプラによって完全に絶縁されるため、構造上ノイズが非常に乗りにくい特徴があります。
ソリッドステートリレーの選び方
まずは、リレーが必要な回路で必要な応答性と信号頻度を確認します。高い応答性が必要なく、低頻度の信号伝達で済む場合はメカニカルリレーの方が安価です。次に、駆動電圧を選定します。一般的にはDC5~100VまたはAC100~240Vの制御電圧が使用されます。制御電圧がAC400Vなどの特殊仕様の場合は開閉器などを使用します。
最大使用電流値の確認も必要です。ソリッドステートリレーもメカニカルリレーも許容される電流値が設定されています。許容値以上の電流を流すのは故障の元です。特にソリッドステートリレーは半導体を用いた接点機構のため、過電流をかけると半導体が損傷して使用不可能になります。
最後に、ソリッドステートリレーを組み込む基板の大きさを確認します。基板のスペースが空いていない場合、より小型のリレーを選定する必要がります。
ソリッドステートリレーのその他情報
1. ソリッドステートリレーの由来
ソリッドステート (solid state) は英語で「固体状態」という意味で、起源は真空管と半導体素子の比較から生まれた用語です。
真空管が真空雰囲気中を電子が移動する部品であるのに対し、半導体は固体中を電子が移動します。その様子から、真空管の対義として半導体をソリッドステートと呼ぶようになりました。転じて、機械的駆動部を持たない部品のこともソリッドステートと呼ばれる場合があります。
2. ソリッドステートリレーのデメリット
ソリッドステートリレーは長寿命で高速かつノイズに強いというメリットを記載しましたが、以下のデメリットも存在します。メリットとデメリットを確認しつつメカニカルリレーと使い分けます。
- 熱や高温に弱い
- 電気的衝撃に弱く、始動電流が大きい負荷に使用しづらい
- aとbを組み合わせたc接点が使用できない
- AC電源、DC電源共用のリレーが存在しない