ACケーブルとは
ACケーブルとは、交流電源の供給用に使用されるケーブルです。
一般的に、電源が交流か直流かによってケーブルを区別することはありません。ただし、商用電源を直流電源に変換するACアダプタのケーブルは、電源によってケーブル種類やコネクタが異なるため、交流側をACケーブルと呼ぶ場合があります。
ACケーブルの他、ACコードや電源コードと呼ばれることもあります。
ACケーブルの使用用途
ACケーブルは主に、ACアダプタへの交流電源供給用に使用されます。以下はACケーブルの使用用途一例です。
- パソコンやディスプレイへの電源供給用
- 家庭用ゲーム機への電源供給用
- 電動工具への電源供給用
- サーバーやスイッチングハブへの電源供給用
基本的には、送電先でDC電源へ変換する用途で使用されることがほとんどです。ACケーブルが最も多く使用される場面はOA機器用です。ただし、家庭用ゲームや電動工具に使用される場合もあります。
ACケーブルの原理
ACケーブルは他のケーブルと同様に、芯線、絶縁被覆、コネクタプラグなどから構成されます。
1. 芯線
芯線は電気の通り道となる金属部分です。材料は電気伝導率が高い銅です。複数の細い素線を撚り合わせた撚線構造である場合が一般的です。
2. 絶縁被覆
絶縁被覆はケーブル芯線を絶縁する絶縁部分です。ナイロンやビニールなどの合成樹脂が使用されます。ケーブルの耐熱性や対候性などの性能は絶縁被覆の種類によって決定されます。
3. コネクタプラグ
コネクタプラグはOA機器や電源と接続するためのプラグです。電源側は日本では多くの場合、AC100Vコンセントのオスプラグで、アース付き3Pまたはアースなし2Pが使用されます。機器側はAC100Vコンセントのメスプラグなどが使用され、ACアダプタと一体であり省略されている場合も少なくありません。
ACケーブルの選び方
ACケーブルを選定するポイントとして、許容電流、プラグ形状、ケーブル長さなどが挙げられます。
1. 許容電流
許容電流はACアダプタの容量に合わせて選定する場合が一般的です。一般的なコンセントケーブルの許容電流は15Aですが、ACケーブルには許容電流が7Aや12Aの製品も販売されています。
2. プラグ形状
プラグ形状は接続機器や電源コンセントに合わせて選定します。海外などのコンセントは電源種類やプラグ形状が国内と異なる場合が多いため、専用の変換アダプタなどを使用します。
3. ケーブルの長さ
ケーブルの長さは使用場面に応じて適切な長さを選定します。ラップトップ用などにはACケーブルが長いと取り回しが煩雑になるため短い製品を選定します。コンセントから電子機器を遠ざけたい場合には長いケーブルが最適です。
ACケーブルのその他情報
1. ACケーブルの規格
日本国内で使用できるACケーブルは、経済産業省が定める電気用品安全法に適合していることが必要です。この電気用品安全法は特定の電気用品が守るように定められたものであり、この中にはACケーブルも含まれます。
電気用品安全法には2つの製品カテゴリがあり、「特定電気用品」と「特定電気用品以外の電気用品」です。「特定電気用品以外の電気用品」よりも「特定電気用品」は危険性が高い電気用品が適合する必要がある規格であり、認定方法もより厳密です。
2. 特定電気用品
特定電気用品にはケーブル類や延長ケーブルが含まれ、ACケーブルもほとんどが特定電気用品です。主に電流が直接流れる部分など、人に危害を加える危険性があるものが特定電気用品に指定されます。
ACケーブルにセットとなるACアダプタには菱形の中にPSEと書かれたマークが刻印されており、これが「特定電気用品」の認証を受けている印です。
3. 特定電気用品以外の電気用品
特定電気用品以外の電気用品にはリモコンリレーや可とう電線管などがあり、人に危害を加える危険性が低い電機品です。丸の中にPSEと書かれた刻印がある電気用品は「特定電気用品以外の電気用品」の認証を受けた印です。
4. ACケーブルとACアダプタ
ACケーブルを接続するACアダプタは、家庭用コンセントから供給される交流電源を直流電源に変換します。内部構造によって「トランス式」と「スイッチング式」の2種類に分類されます。
一般的にスイッチング式のほうが変換効率は高く発熱量も少ない傾向があり、PC向けのACアダプタは大半がスイッチング式です。ただし、スイッチング式は部品点数が多くトランス型より寿命が短いデメリットもあります。
トランス型ACアダプタは、直接変圧器で降圧した交流電源を整流平滑して直流化する仕組みです。変圧器が内蔵するため常に発熱しており、変換効率が良くない代わりに構造が単純で堅牢です。
電気製品によっては、トランス式かスイッチング式かどちらかの電源を前提にしてつくられたものもあり、誤った方式のACアダプタを使用すると故障の元のなる可能性があります。
参考文献
https://www.kashimura.com/goods/kaigai/accable/ti105.html
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/specified_electrical.html
https://www2.elecom.co.jp/cable/power/index.html