サイクロ減速機

サイクロ減速機とは

サイクロ減速機は、なめらかな曲線である、トロコイド曲線をもつ歯車によって、すべりが少なく減速を行うことができる減速機になります。そのため、矩形状の歯を持つ歯車よりも、摩耗や振動が少なく、長寿命で駆動できることが特徴です。モータやピストンなど、回転することで機器を駆動させる製品の内部で多く使用されています。大きい径の歯車の内部に小さい径の歯車がある様な構造となっており、高い減速比を出せる製品が多くあります。

サイクロ減速機の使用用途

サイクロ減速機は、産業用ロボットや産業機器などの生産ラインから、ポンプ、自動車の駆動部分や船のスクリュー部分、航空機のプロペラ部分、風力発電のプロペラ部などに使用されます。エンジンのピストンや電気駆動のモータなどから得られた回転とトルクを、その他の機器で使用するレベルのトルクや回転数に変換するために使用されます。サイクロ減速機の選定の際には、減速比や摩擦による損失、サイズ、メンテナンス性などを考慮する必要があります。

サイクロ減速機の原理

サイクロ減速機の動作原理を説明します。サイクロ減速機は、2つの取り付け軸と2つの減速用の歯車、軸を支えるベアリング、歯車部を支える偏心のベアリングで構成されています。歯車は、トロコイド曲線という、円が曲線をすべらないように移動するとき、その円の外点の軌跡の曲線状に歯がある歯車になります。歯車は、1つの歯車の中にもう1つの歯車がある機構となっています。

動作時は、回転速度が速い方の軸から、回転が伝わり、高速回転側の歯車に伝わります。高速回転側の歯車は内部の歯車であることが多く、偏心用のベアリングと共に、外部の低速回転用の歯車の内周を回転します。その回転によって、外部の歯車が回転し、減速され、出力用の軸から、入力のトルクよりも高く、低速回転で伝えられます。

歯車には、穴が開いており、外ピンなどを使用し、偏心用のベアリングへの負荷を減らす様な機構を採用している製品もあります。 

サイクロ減速機のメリット

サイクロ減速機のメリットとして以下の3つが挙げられます。

一つ目は、高減速比で、ギヤ同士の歯数差を少なく設計出来るため、1/150程度まで設定することができます。

二つ目は、コンパクトさで、1段で高減速比が得られるため、多段にする必要が無く、薄型設計が可能です。

三つ目は、高効率な点で、すべり歯車ではなく、転がり歯車なので摩擦ロスが小さく、伝動効率が高いのが特徴です。

これらの特徴から、いろいろな用途に採用される代表的な減速機として知られています。

サイクロ減速機のオイル交換

サイクロ減速機には潤滑油が使用されています。潤滑油の量はオイルゲージで確認することができますが、確認する場合は、運転中ではなく、停止状態で確認します。これは運転中はオイル量が変動するので、正確なオイル量が分からないためです。

オイル量は多すぎても少なすぎても悪影響を与えます。多すぎる場合、モーター側へのオイル侵入、オイル漏れ、温度の異常上昇が起こる場合があります。少ない場合は、歯車や軸受の潤滑が十分に行われず、異常摩耗が発生したり、冷却効果が不足して温度上昇が起こる場合もあります。

オイル交換の目安は各社の技術資料に記載されていますが、定期的に油量を確認し、適正量になるように補充します。一般的に初回のオイル交換は早い時期に行い、そのあとは定期的に行うようにします。

また、オイル内に鉄粉などが混入している場合は、歯車や軸受で摩耗が発生している可能性があるので、歯車と軸受の検査・メンテナンスが必要になる場合もあります。粘度の低下なども故障の原因になるので、注意が必要です。

定期点検時は、オイル量、オイルの状態(汚れなど)だけでなく、周囲にオイル漏れはないか、回転時の温度上昇、回転時の音などを通常運転時と比較することで、異常を早期に発見することができます。そのため、通常運転時のデータ(温度、振動、音など)を記録しておくとメンテナンス時に役に立ちます。

参考文献
https://cyclo.shi.co.jp/product/gmoter/saikuro6000/

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