エアラインフィルタ

エアラインフィルタとは

エアラインフィルタはコンプレッサーから送られてくる圧縮空気を受け入れ、高い空気圧を保ったまま、空気の中に含まれる粉塵や油、水などの不純物を取り除いて二次側に送り出す機器です。空気を清浄化することで、その先の空圧機器とエアツールを故障やトラブルから守ります。

エアラインフィルタの使用用途

圧縮された高圧の空気は、産業の様々な場面で使用されています。例えば、自動車整備工場ではホイールのボルトを締めたり緩めたりするインパクトレンチ、自動車の窓や前照灯のカバーを磨くディスクグラインダなどのエアツール類、タイヤに空気を入れるエアコンプレッサなどが圧縮空気を使用しています。

また、多くの塗装現場では、スプレーガンを使って塗料を空気と一緒に塗装面に吹き付けています。

これらの現場で使用される圧縮空気は、コンプレッサーを使って空気を圧縮し、空気タンクの中で高圧に貯えられてから、配管を通って作業現場へと運ばれてゆきます。この圧縮空気の中に埃や油、水などの不純物が混ざっていると、エアツールの内部が錆びたり故障したり、スプレーガンを使って塗装した表面に色むらができるなどの様々な問題が発生します。

また、化学薬品を扱う特殊な環境下での作業現場では、送られてきた圧縮空気を減圧して、呼吸に使用する場合もあります。その空気に不純物が混ざっていると、重大な健康被害をもたらす危険があります。

圧縮された空気に不純物が混ざる原因には、コンプレッサーが取り込んだ外部の空気に不純物が含まれていた可能性があります。さらに、コンプレッサーが空気を圧縮する過程や、空気の通路上にある配管を始めとした空圧機器の内部で発生する可能性もあります。

エアラインフィルタは、圧縮された空気の空気圧を保ったままで、空気中の不純物を取り除き、作業の安全と品質を守り、エアツールの故障を防ぐための重要な器具です。

エアラインフィルタの原理

エアラインフィルタは円筒形をした容器であって、上部に空気の取り入れ口と、フィルタリング後の空気の取り出し口があります。送られてきた空気は容器に入ると方向をかえられて、容器の中で回転しているデフレクターに入ります。デフレクターでは遠心力によって埃や水、油などの不純物を容器の内壁へとはじき出します。容器の内壁に叩きつけられた不純物は速度を失って容器の下にあるボールに溜まります。

空気は次にエレメントというフィルターを通ります。エレメントで、デフレクターで取り除けなかったさらに細かな不純物を取り除いた後、空気を出口から送り出します。従って、エアラインフィルタによって取り除ける不純物の大きさは、エレメントが除去できる粒子の大きさによって決まります。

一方、ボールに溜まった不純物は、最下部にあるドレインから排出されます。不純物の排出方法は手動と自動の二つのタイプがあります。手動タイプでは、容器にある窓から溜まった不純物の量を観察して、ある程度の量が溜まったら、手動でドレインバルブを開けて排出します。自動タイプでは内部にフロートがあって不純物の量が増えると、フロートが上がって排出を行います。

さらに、自動タイプにはノーマルオープンタイプとノーマルクローズタイプがあります。ノーマルオープンタイプは、エアフィルターに空気が供給されていないときにドレインが開いており、ノーマルクローズタイプはドレインが閉まっています。

ノーマルオープンタイプは、夜間など圧縮空気が供給されていない時間帯にドレインが開いているので、凍結が心配される寒い地域での使用に適しています。その一方で、供給される空気の圧力がある程度高くならなければ、ドレインから空気が漏れ続けるという短所があります。

一方、ノーマルクローズタイプは、空気圧が低い状態での空気漏れの心配はありませんが、寒冷地では使用していないときに、ボール内部が凍結する可能性があります。

容器内部にはエレメントを始めとした空気の流れに対する抵抗があるので、エアラインフィルタに入った圧縮空気は、多少降下して送り出されます。この圧力降下は、送られてくる空気の圧力と、流れる空気の量によって変化します。

送られてくる空気の圧力ごとに、空気の流量と圧力降下の大きさの関係を表したグラフを流量特性と言います。

エアラインフィルタの選び方

エアラインフィルタを選択する際には、使用用途を考えた上で、流量、接続口径、使用圧力、ろ過度、ドレイン排出方式、使用温度範囲などを確認して選択します。また、設置場所に応じた大きさと重さも併せて検討します。

圧縮空気の適用範囲は多岐にわたります。多くの場合、エアラインフィルタのカタログやWEB上の説明には、その器具がどのような用途に向いているかの概略が書かれています。まずはそれを参考にして、使用用途に合った器具をいくつか選択してから具体的な数値を検討するのが効率的と思われます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です