配線ダクト

配線ダクトとは

配線ダクト

配線ダクトは配電盤分電盤、照明器具等の配線をまとめて内部に格納し、配線の取り回しを確保しつつ、保護するために使用されます。

配線ダクトの形状としては、例えば図1に示すような四角の筒状の筐体が一般的です。店舗など屋内の照明器具の配線用の配線ダクトとしては、図2に示すような細い配線を1本など数本しか通さないレール形状のものもよく使用されます。

配線ダクトの形状

図1. 配線ダクトの一般的な形状(左) / ライティングレールの構造図(右)

このような形状のものは、配線ダクトのほか、ライティングレールやダクトレールなども一般的な呼称です。このようなライティングレールは配線をまとめて保護し、取り回しを確保するほかに、美観を保つ役割を果たします。

ぶら下がり型の照明器具であるシーリングライトなどを吊り下げる際には、配線ダクトの代わりに電源を持つ引っ掛けシーリングを利用することもあります。

配線ダクトの使用用途

配線ダクトは前述のように電線をまとめるための部材です。

屋外では、太陽光発電の配線によく利用されますまた、ビルや商業施設の様な大規模な建物に電気を供給する際の変圧装置キュービクルと併設されて、実際に電気を動力に送る配電盤への使用も一般的です。配電盤はキュービクルとともに屋外に設置されることが多いため、配線ダクトも屋外で使用されます

これら屋外で使用される配線ダクトは、雨や風にさらされるため、防水性があり丈夫な材質のものが好適です。このほか、屋外用の配線ダクトとして二重をもち、外側は耐候性優れ、内側は自己消火性のある製品が開発されています。

また、配線ダクトは、家屋の分電盤から各部屋への配線や、家屋や店舗の照明の配線を保護するためにも使用されています。このような配線ダクトには、環境にやさしく、燃焼した時に有毒ガスが発生しないノンハロゲン材料製などが好適です。特にEUの法律RoHSでは指定されたハロゲンを使用しない製品が求められています。

配線ダクトの原理

配線ダクトは、電線むきだしにならないようにまとめることで、取り回しを確保するとともに、電線の保護をおこなっています。

このため、上述したように、屋外用では雨風に強く防水性を持ち、気候に左右されづらい材質が多く使用されます。

一方、屋内用では特に火災に対する信頼性が高い材質が好まれ、燃焼時に有毒ガスを排出しない材料が使用されます。

配線ダクトのその他情報

1. 配線ダクトの材質

配線ダクトを設置する場所や用途に応じて難燃性、耐候性等が求められるので、用途に合う材質を選択する必要があります。

アルミ
アルミ製の配線ダクトは、アルマイト表面処理されており、耐食性が強化されています。同じ大きさや構造でも、製のものと比較して30%ほど軽量です。

ポリフェニレンオキシド(PPO)
ポリフェニレンオキシドは、ハロゲンを含まない材質ですただし、エーテルやガソリン、有機溶剤等が付着すると亀裂が入る可能性がありますので使用には注意が必要です。

ポリプロピレン
ポリプロピレンハロゲンを含まない材質で、環境に優しい材質です。耐油性難燃性も高く、ステンレス等に比べて軽量なので、航空機や鉄道車両に使用されて軽量化にも貢献しています。

ポリ塩化ビニール(PVC)・硬質塩化ビニール
ポリ塩化ビニール(PVC)、硬質塩化ビニールともに、よく利用されている材質です。弾力性があり、腐食の心配もありませんがハロゲン使用材料です。ただし、絶縁性を強化して自己消火性のある材質も開発されています。

2. 配線ダクトの形状と取り付け方

配線ダクトの形状としては、図1に示すような四角い筒状の筐体が一般的ですが、これの側面や底面に孔が設けられた製品もよく使用されます。ただし、この孔部からほこりなどが侵入するため、ほこりがたまりやすい場所等には孔などの加工のない製品が好適です。

また、配線ダクトの形状としては、内部に配線を入れやすい様に、管の上下方向に切り込みが加工されている製品やニッパー等で穴を開ける製品も一般的です。

配線ダクトの取り付け方にも種類があります。

天井直付け形
天井に直付けするタイプで、配線ダクトとしては一般的です。簡単に取り付けることができます。

また、配管ダクト同士を接続したり、配線ダクトの終点をふさぐキャップとしてL形やT形などたくさんの種類があるので、配線ダクトを自由な形に配置し、内部の配線も自由に配置することが可能です。

天井埋込形
天井に直接埋め込むタイプなので、直付け形とは異なり、全体的に室内をすっきりと見せることができます。

天井吊り下げ形
天井が高い部屋で使用するタイプであり、この形を使用することによって、照明器具を低い位置に取り付けることができます。

簡易取り付け形
一般的な家庭にある、シーリングやローゼットといった電気配線が接続する箇所に設置することができる便利な製品です。

このように配線ダクトには多数の取り付け方法があるので、用途や好みによって様々な形で取り付けることができます。

また、材質、色など様々な種類のものがあり、取り付け方法と材質や色を考慮して、使用する場所や照明器具に適合した自分の好みに合ったものを選ぶことが可能です。

3. レースウェイとの違い

配線ダクト以外の照明器具の取り付けるための一般的な部材としてレースウェイがありますが、以下に両者の違いを紹介します。

まず、レースウェイの一番の特徴は、電気を供給する機能を持つということです。

そのため、蛍光灯などを取り付けるのに使用される設備として使用され、工場や倉庫などで多く使用されます。そして、一般に幅が5cm以下ものレースウェイ、それ以上のものを配線ダクトと分類するのが一般的です

配線ダクトは一般家庭をはじめ、室内のムードを高めるためのスポットライトやダウンライトなどが必要となるカフェやブティックなどに多く設置され、照明器具の取り付けや取り外しが簡単にできるので、その使用目的に合わせて照明器具の移動や種類の変更ができます。

一方、レースウェイは、工場や倉庫での使用が主なので、配線ダクトほど照明器具の移動や種類の変更に対応する必要がなく、取り換えなどに応じた機能はあまりありません。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/wiring_duct/
https://www.panduit.co.jp/column/nattoku/6410/

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