フォトンカウンター

フォトンカウンターとは

フォトンカウンターは、フォトンカウンティングにおいて使用する電子計数装置です。

私たちが眼で捉えている光は、光子 (英: photon) の集まりとされています。光子は波と粒子の両方の性質を持っており、波長と発生源の違いを除けば、X線やY線も光子の集まりとされています。

私たちは物体に当たって反射してくる、あるいは透過してくる光を捉えて、物体の色や形を認識しています。通常、人間が観察できる光は、光の量が多く無数の光子の集まりです。

人間の目には何も見えない真暗な状態で、物体から来るわずかな数の光子を1個単位で捉えて、その個数を数えたり、光子のエネルギーを分析することで、その物体を観察することをフォトンカウンティングと言います。。

フォトンカウンティングでは、光子を検出する検出器、検出器から出力される電気シグナルを増幅するアンプ部、シグナルを処理してデジタル・データ化する計数処理部、即ちフォトンカウンターと、データを解析するPCなどから構成されています。

フォトンカウンターの使用用途

フォトンカウンターはフォトンカウンティングを実施する際に使用します。

エネルギーの一側面でもある光は、あらゆる物質や生体から放出されています。物質や生体から放出される極微小な量の光を捉えて、観察することで様々な分析が可能となります。フォトカウンティングの応用例としては、フォトルミネッセンス、エレクトロルミネッセンス、化学発光、生物発光などがあります。

フォトルミネッセンスでは物質の表面に光を照射し、物質の外郭電子を励起します。その電子が基底状態に戻る際に、エネルギーを光、即ち光子として放出します。この光子のことをルミネッセンス光と言います。この光子のエネルギーは物質固有の値を持ちますが、不純物が混じっていたり欠陥があると違ったエネルギーの光子が放出されます。一つ一つの光子のエネルギーを調べて物質の状態を知るためにフォトンカウンティングの技術が用いられます。

エレクトロルミネセンスでは、物質に電気エネルギーを与えて電子を励起状態にします。その後の原理は、フォトルミネッセンスと同じです。

化学反応によって励起された分子が基底状態に戻る際、エネルギーを光として放出する現象を化学発光または、ケミルミネセンスと言います。生物体内でも化学的エネルギーを光に変えて発光します。生物が発光する光のことを生物発光、またはバイオルミネッセンスと言います。バイオルミネセンスの原理はケミルミネセンスと同じです。

以上は、物質や生体から発光する極微量の光を観察して、その状態を知るフォトンカウンティングの例です。一方、医療現場で注目が高まっているのがフォトンカウンティングCTです。

CT (英: Computed Tomography) 検査は、身体の周囲からX線を照射し、体内を透過してくるX線の強弱を検出して、コンピューターを使って画像処理を行い、体内の立体的な画像を作り出す、画像診断法です。

CT検査の際にはX線を浴びます。このX線の被ばく線量は人体にとっては少なければ少ない方が良いと言われています。フォトンカウンティングの技術を応用して、従来よりも少ないX線の量でCT検査を行うのがフォトンカウンティングCTです。

フォトンカウンターの原理

フォトンカウンターは極微量の光を捉え、光子の数とエネルギーを分析します。

光は波としての性質と、粒子としての性質を併せ持っています。光の量が極微量な状態では、検出器を使って、光子を1個ずつ検出することが可能になります。光子を1個ずつ捉えることができる検出器を単一光子検出器と言います。フォトンカウンターはこの単一光子検出器から送られてくるシグナルを処理します。

単一光子検出器とフォトンカウンターの間には、シグナルを増幅するためのアンプが必要となります。アンプは独立したタイプのものもありますが、検出器に組み込まれているものや、フォトンカウンターに内蔵されているものもあります。

検出器に光子が入ると、検出器はパルス状の信号を出します。このパルス信号をアンプで増幅して得られたシグナルを使って、フォトンカウンターが光子を計測します。

単位時間あたりに数えられたシグナルの数が光子の数、即ち光の強さになります。また、シグナルの大きさが、光子の持つエネルギーの大きさを表しています。

フォトンカウンターの選び方

光子の量が多いと、短い時間で検出器に光子が次々と飛び込み、パルスが重なり合い、個々の光子を分離して計測できなくなります。光子を個々に分けて計測できる限界を時間分解能と言います。時間分解能は、フォトンカウンターの主要な性能ですが、単一光子検出器とアンプの時間分解能も同様に重要であり、最も低い時間分解能がこのシステムの律速になります。

フォトンカウンターは単一光子検出器から送られてくるアナログのシグナルを処理して、デジタルデータとして解析用のPCに伝送します。従って、単一光子検出器やアンプと性能、特性が一致していることが極めて重要です。

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