データコレクター

データコレクターとは

データコレクターとは、バーコードを読み取り、照合や保存を行う小型の電子機器です。

主に倉庫内での商品の在庫管理等に使われます。2000年代初頭に米国のKOAMTAC社が開発したKOAMTAC Data Collector (略称: KDC) が始まりと言われています。

データコレクターは、バーコードを読み取る点ではバーコードリーダーやバーコード読み取りができるハンディーターミナルと同じです。バーコードリーダーはパソコンやPOSシステムにつなげて利用する機器であり、ハンディーターミナルは様々なアプリケーションを内蔵した多機能端末です。

これに対して、データコレクターは小型・軽量で首からぶら下げたり、ポケットの中に収納できるほどの大きさであり、コードレスで使用できることと相まって、作業現場での持ち運びやすさとオペレーションの易しさを追求した電子機器です。

データコレクターと言われる機器には、その他に土木や建築現場において測量機器と連動して、測量データを保存し解析を行うハンディー・ターミナルもあります。こちらは倉庫内での商品の在庫管理用の機器とは、機能と使用目的が全く異なります。

当記事では、在庫管理等に使用するデータコレクターについて記述します。

データコレクターの使用用途

データコレクターの使用用途は、製品や部品が大量に保管された倉庫内において在庫管理をスムースに行う道具としての活用が挙げられます。倉庫内の製品や梱包材に張り付けられたバーコードをスキャンすることで、倉庫内の製品数と種類の情報を蓄えることができます。データコレクターに蓄えたデータをパソコン (PC) などに送り、解析することで在庫管理を行えます。

もう一つの使用用途は、部品や薬品の投入現場において、予め登録してあるバーコードのマスターコードと、当該部品・薬品のバーコードを照合させて、その部品・薬品が正しいものかを確認する照合作業があります。

製造現場でよく似た部品で間違った部品を投入したり、医療現場で間違った薬品を投入することは、重大な事故につながります。目視による確認では見落とす可能性のある照合作業を、データコレクターを使うことで確実かつ迅速に行えます。

データコレクターの原理

データコレクターにはバーコードを読み込むスキャナー部と、読み込んだデータを保存するためのメモリー、データ照合などを行う演算部、それにオペレーション用の小さな液晶ディスプレイといくつかの操作キーが付いています。さらに動作の進行を知らせるスピーカーがあります。製品によっては、エラーが発生した際にそれを本体を振動させて知らせる振動素子を組み込んだものもあります。

また、それらを駆動するためのバッテリーとパソコンなどの情報処理機器にデータを送信するインターフェースが加わります。データの送信は、USB接続で行うものと、Bluetoothのような通信を介するものがあります。

Bluetoothでデータを送信するタイプのデータコレクターは、通信範囲内にデータを受信するPCなどがある場合には、読み取ったバーコードの情報をリアルタイムにパソコンに送信することも可能です。

大きさは、小型のもので35mm x 62mm x 15mmで重さはバッテリーを含めて34g、大きいものでも125mm x 46mm x 31mmで重さ115gと、ハンディーターミナルと比較すると小型で軽量な製品が多く、現場への持ち込みやすさを優先し、機能を絞った機器です。

機能としては、読み込んだバーコードのデータを記憶しておくことと、バーコードどうしを照合することに特化しています。在庫管理や、データの見える化などのより複雑な作業は、データ送信先のパソコンに任せることにして、多機能化を目指していません。

データコレクターの選び方

データコレクターの主な機能は、バーコードを読み取り、保存して、そのデータをPCなどの情報機器に送ることと、バーコードどうしを比較して違いを見つけること (照合) の二つに集約されます。

その一方で、現場での使い勝手を考えて、様々な特徴を持ったデータコレクターが販売されています。

データの保存件数は、殆どの機器で数万件を確保しており、データ容量の不足の心配はあまりないと考えます。データの転送方法はUSB接続が一般的です。もし、リアルタイムにホストPCなどに読み取ったデータを転送するのであれば、Bluetoothなどの無線通信機能を持った機器も販売されています。

バッテリーの持ち時間は、数時間程度のものから、十二時間以上持つものもあり、作業状況に合わせた選択が必要になります。バーコードを読み込んだ際には、小さな液晶画面にメッセージを表示すると同時に、音で知らせるのが一般的ですが、本体を振動させて、知らせるタイプの機器もあります。

そのほかには、専用のグローブに装着してハンズフリーとし、両手で他の作業をしながらバーコードの読み取りができるように工夫されたものや、固定スタンドに据え付けて使用するものなどがあります。

これらの特徴を把握したうえで、使用環境の温度、耐衝撃性、読み取りできるバーコードの種類、バーコードの読み取り距離、読み取り速度などの仕様を確認して選択します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です