タクタイルスイッチ

タクタイルスイッチとは

タクタイルスイッチ

タクタイルスイッチとは、人がスイッチを押したときに、クリックすることで通電するモーメンタリータイプのスイッチのことです。

ここでのタクタイル (英: Tactile) には「触って感じられる」「触覚の」という意味があり、タクトスイッチとも呼ばれます。タクタイルスイッチは、一般にプリント基板上に設置されて使用されます。

スイッチを押したときに、押したという感触がフィードバックすることが特徴です。そのため、人が操作する電子機器全般に広く利用されています。取り付け方法は、基板の穴に挿入するタイプか基板の表面に取り付けるタイプで大別され、防塵などに有効なシールがあるかどうかでさらに分類されています。

タクタイルスイッチの使用用途

タクタイルスイッチの使用用途は、通信機器やOA機器、実験機器や医療機器、家電品のリモコンの操作部などであり、人の操作が必要な機器で非常に幅広く使用されています。タクタイルスイッチを使用する基板の設計段階で、穴に埋め込むのか、表面に取り付けるのかを適切に見分けて選定する必要があります。

また、精密機器や故障した時の損失が大きい機械でタクタイルスイッチを使用する場合は、防水や防塵等の効果を有し信頼性の高いシール構造のタイルスイッチを選定した方が良いです。プッシュ時のストロークの長さを製品によって使い分けることで、素早く連続でタッチできるような製品にしたり、強い力で押さなければ作動しないような製品にしたりすることもできます。

タクタイルスイッチの原理

タクタイルスイッチは、内部のプッシュ板と呼ばれる板を人手で押した場合に、スイッチ内部に形成されている電気的なスイッチの接点同士が接触することで電流が流れ、スイッチが動作する機構を有しています。タクタイルスイッチは筐体、プッシュ板、フィルム、メタルドーム、3つの接点、取り付け台で構成されています。

メタルドームは、ドーム状の形状をしている導体です。ドームのふちに接点が2つ取り付けられており、ドームの中心部に取り付け台にもう1つの接点が取り付けられています。タクタイルスイッチのプッシュ板が手で押された時、メタルドームの中央が潰されて、ドーム中央にある接点とメタルドームが接します。接点とメタルドームが接することで、3つの接点で電流が通るようになり、スイッチがONになります。

反対に、タクタイルスイッチのプッシュ板から手が離れた場合、メタルドームとメタルドームの中央にある接点が離れ、スイッチがOFFになります。

タクタイルスイッチのその他情報

1. タクタイルスイッチの修理

タクタイルスイッチは一般的に十分な耐久性を持っていますが、使用箇所や使用頻度によっては故障することもあり得ます。修理を行うことになりますが、古い製品やメーカーが既に存在しない等、修理を依頼できないケースもあります。それでも、はんだ付けが行える場合は、ユーザーでの新品への交換は対応可能です。

故障したタクタイルスイッチから品番を確認して、同一のタクタイルスイッチが入手できるかを調査します。もし入手できなければ外観の寸法などから同様の製品のタクタイルスイッチを探すことは、それほど困難ではありません。タクタイルスイッチでは、規格がある程度統一化されているためです。

2. メカニカルキーボードの軸色

パソコンのメカニカルキーボードには、赤軸や茶軸、青軸等のタイプがあります。これらは、キーボード向けのキースイッチの大手メーカーであるドイツのメーカーのキースイッチが、タイプごとに軸の色を変えていることからきています。キースイッチのタイプ毎に軸色が変わるため、軸色を確認すれば、キースイッチのタイプを判別することが可能です。

このうち、茶軸と呼ばれるキースイッチはタクタイルタイプと呼ばれています。ただし、実際にタクタイルスイッチは使われておらず、キースイッチの構造 (によるキーの打感) からその様にメーカーが呼んでいるだけです。

なお、主なキーボードの軸色は6種類あり、赤軸、ピンク軸、銀軸、黒軸、茶軸、青軸です。それぞれキーボードの打感が異なりますが、この打感の違いはキースイッチの構造から来ており、スイッチ構造自体は同一です。

3. タクタイルスイッチとハプティクス

タクタイルスイッチだけでなく、昨今はスマートフォンの操作時に振動を与えることで、実際には存在しない操作ボタンがあるかのような物の感触を生み出す「ハプティクス」と呼ばれる触覚技術が、電子メーカーを中心に盛んに開発されています。

VRやARなどの双方向の高度な通信技術の応用で、仮想空間の中であたかも物に触れているかのような触覚技術を取り入れる技術進歩は非常に早いです。近い将来には、遠隔医療やロボット操作といった領域に、タクタイルスイッチから進化した触覚技術が活躍すると期待されています。

参考文献
https://ac-blog.panasonic.co.jp/20160701
https://xtech.nikkei.com/dm/article/LECTURE/20120510/217190/
https://keshilog.com/jiku/

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