sus321

sus321とは

sus321とは、オーステナイト系のステンレス鋼の1つです。オーステナイト系のステンレス鋼の中で最も幅広く使用されているsus304をベースに、チタンを添加させることで耐粒界腐食性や高温強度を高めて安定化させたステンレス鋼です。

チタンは、炭化物安定元素と呼ばれており、炭素と結合しやすくなっています。そのため、チタンをステンレス鋼に添加することで、クロムと炭素が結合してできる化合物の析出を抑えることができ、粒界腐食を防ぎます。このように、炭化物安定元素が添加されたステンレス鋼は、安定化ステンレス鋼とも言われます。

sus321の主な構成成分は、クロムを17~19%、ニッケルを9~13%、チタンを含有炭素量の5倍以上、炭素を0.08%以下です。ベースとなるsus304との成分の違いはチタンのみです。

名前の先頭についている「sus」の文字は、Steel Use Stainless(ステンレス鋼)の頭文字に由来しています。

sus321の使用用途

sus321は、チタンを添加することで、耐粒界腐食性や高温強度を高めて安定化させています。そのため、腐食が進行しやすい高温の環境で使用される部品や、高温用溶接構造品で使用されます。化学、製紙、染料、肥料工業など幅広い分野で使用されています。

粒界腐食は、溶接や熱処理などの工程において、ステンレス鋼を高温の環境で使用することによって起こる局部的な腐食のことです。約550~900℃程度の温度に加熱された箇所で起こりやすいと言われています。そのため、約550~900℃の環境で使用されることが多いです。

機械的性質については、ベースとなるsus304と同等の値を有しています。

sus321は、溶接性も優れています。特に耐粒界腐食性が高いため溶接部品での使用に適しているとされています。しかし、ベースとなるsus304と比較するとチタンを添加してしまっているため、切ったり削ったりする加工は劣ってしまいます。また、装飾部品に使用するのは推奨されていません。

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