scm440とは
scm440は、クロム鋼にモリブデンを加えた合金「クロムモリブデン鋼」、通称「クロモリ鋼」に属する金属です。
構成成分は炭素0.38~0.43%、マンガン0.60~0.90%、クロム0.90~1.20%、モリブデン0.15~0.30%を含み、引張強度・靭性・耐摩耗性・耐疲労性に優れた特性を持っています。
クロモリ鋼は機械構造部品に使用される「構造用合金鋼」の一種でもあり、scm440はその中では硬めの材料で、強さと靭性を必要とする場面で選定されています。
硬い材料ではありますが適度な粘りもあり、sus304などのステンレスよりも切削性が良く加工がしやすい利点があります。
また、500℃前後の高温でも強度が低下しにくく、高温高圧にも耐え、焼き入れ・焼き戻しを施すことで硬度と強靭性を得られるため、熱処理をおこなうことが重要な金属と言えます。
鋼材としては高価な材料ですが、特殊な合金類よりも流通量が多く汎用性が高いため、幅広い分野で活用されています。
scm440の使用用途
scm440は強靭で振動を吸収する特性があり、金属疲労が起きにくく適度な「しなり」具合も持っているため、自転車のフレームに使用されることが多い金属です。
高温に耐えフレーム成形しやすい点や、鋼の柔軟さを持ちながら錆びにくい点がメリットで、一般用自転車からロードバイクまで様々な製品に使用されています。
次に多い用途が機械部品としての使用です。
シャフト類(クランクシャフト・ハンマーシャフトなど)、加工専用機や旋盤などのスピンドル類、シリンダー、研削盤などのアーム軸といった部品に用いられています。
歯車にも使用されており、より強度が必要な場合にクロモリ鋼の中でも硬めのscm440が選定されています。
他にもグリップボルトや六角穴付き止めネジなどの、ボルト・ネジ・ナット類の素材にも使われます。
私たちの周りの身近な製品の例では包丁などの調理器具、車のタイヤ交換の際などに使用するインパクトレンチの、ソケットの素材としても使われている金属です。