監修:MAPPREND.株式会社
真空成型トレーとは
真空成型トレーとは、真空成型によって作られたトレーのことです。
トレーの成型法には真空成型と射出成型の2種類があります。
真空成型は、加熱して軟化させたプラスチックシートを金型に密着させて真空に近い状態にし、冷却硬化することで作り出す成型法です。
真空成型トレーの特徴
真空成型トレーは射出成型トレーに対し、以下のような特徴があります。
メリット
- 金型費が安い
- 金型生産までのスピードが早い
- 少量生産から大量生産まで対応可能
- 試作費用が安い
デメリット
- 細かい精度が出にくい
- トレーの肉厚が均等でない
- 後加工 (抜き) が必要
真空成型トレーの使用用途
真空成型トレーは、電子部品、医療用品、化粧品・雑貨、食品、農業資材など幅広い分野で使用されています。用途も幅広く、搬送用、工程用、梱包用、実務用などで使用されています。
真空成型トレーを使用する目的は、製品保護、ごみの付着防止、静電破壊防止、お皿やコップなどの容器、お菓子や冷凍食品の仕切り、販促用のPOP等です。各分野の部品例、具体例は下記の通りです。
1. 電子部品
液晶ディスプレイ、カメラレンズ、FPC、センサ、コンデンサ、コネクタ、レゾルバ、スイッチ、リレー、コイル、モーター、ヒューズ、ダイオード、トランジスタ、ギア、ペアリング、バルブ、トランス、ワイヤーハーネス、バッテリー、基板、バックル、樹脂製品、金属部品等
2. 医療用品
(手術用具、カテーテル) キット、膿盆、ガーゼカウンター、滅菌トレー等
3. 化粧品・雑貨
セット品梱包、ファンデーション用パレット等
4. 食品
お皿、コップ、お惣菜パック、お菓子パック、冷凍食品用パック、卵パック、果物ケース等
5. 農業資材
育苗、ポリポット、水耕栽培用の水受け等
※それぞれの一般販売では、製品ディスプレイ等の目的でブリスターを使用することがあります。
真空成型トレーの製造方法
真空成型トレーの製造方法は、下記の通りです。
- ロール状になっているシートを成型機へ流していきます。
- シートを加熱して軟化させます。
- 金型に押し付けてシートと金型の間の空気を吸うことで真空に近い状態にした後に、冷却硬化します。その際に、成型性や強度の向上、シワ防止のためにプラグを使用することもあります。
- 抜き刃にてトレーのカット形状を加工します。
- 真空成型トレーの完成です。
真空成型トレーの材料
真空成型の材料は主にPET、PS、PP、PVCが使用されます。それぞれの特徴は下記の通りです。
- PETシート: 透明性、剛性が優れている
- PSシート: 成形性に優れている
- PPシート: 柔軟性があり、割れ、削れに強い
※さらに、添加物を加えることで剛性を上げることが可能 - PVCシート: 透明性、成形性に優れている。
また、グレードは下記の通りです。表面抵抗値が低いほど、電気が流れやすくなり帯電しにくくなります。つまり、適切な材料を選定することで、ゴミや静電気から製品を守ることができます。
- 導電: 108Ω以下
- 静電帯電防止: 107Ω~109Ω
- 帯電防止:1010Ω~1012Ω
真空成型トレーの金型
真空成型に用いる金型は、凹型、凸型があり、製品仕様、トレー形状に合わせ選定します。
凹型のメリットは、凸型に比べ製品納入数が増えることや、トレーの全体強度が強いことなどが挙げられます。一方で凸型のメリットは、寸法精度が高いです。
また、真空成型用金型は、アルミ、樹脂、木材で製造されます。アルミ>樹脂>木材の順で、寸法精度、形状難易度、耐久性、表面精度 (凹凸、傷) が高いですが、その分価格も高くなります。
真空成型トレーのその他情報
1. プラグ
プラグは、成型性や強度の向上、シワ防止のために使用することがあり、金型と同様にアルミ、樹脂、木材で製造されます。金型と同様にアルミ>樹脂>木材の順で、寸法精度、形状難易度が高いですが、その分価格も高くなります。
2. 抜き工程
真空成型トレーの抜き工程は、トレーのカット形状を加工するために行います。抜型とプレス機にて、真空成型トレーを挟むことで、カットすることができます。抜型は、トムソン刃と木材にて作られます。
本記事は真空成型トレーを製造・販売するMAPPREND.株式会社様に監修を頂きました。
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