パラシュートとは
パラシュートとは、傘のような形状をしており、空気の力を受けることによって降下速度を制御する装置です。
飛行中の航空機などから、人や物資を地上へ投下する際に使用され、空気抵抗を利用して安全に地上へ着地するために使用されます。パラシュートの名称は、イタリア語で守るという意味の「parare」とフランス語で落ちるという意味の「chute」が組み合わさって出来た造語です。また、落下傘とも呼ばれています。
開発された当初のパラシュートの材質は絹製だったため、湿度などで湿ると重量が重くなってしまったり、パラシュートが開かなかったりする事故が多発しました。現在の材質はナイロンなどの化学繊維に変わっているため、そのような事故は減少しています。
パラシュートの使用用途
パラシュートは、以下のような用途で使われています。
1. スカイダイビング
スカイダイビングは、飛行機から飛び降りて空中でパラシュートを開くスポーツです。パラシュートがなければ、速く落ちてしまい危険ですが、パラシュートのおかげでゆっくりと地上に降りることができます。
2. 緊急脱出
飛行機などが緊急時に使う脱出装置にもパラシュートが使われています。パラシュートが開くと、乗員が安全に地上に着陸できるようになります。
3. 軍事作戦
軍事作戦で、目的地に迅速に降下するために使用されます。
4. 荷物の空輸
軍事や緊急物資の空輸などでは、パラシュートが使われて荷物を地上に届けます。パラシュートによって荷物の落下速度が遅くなるため、地上で受け取ることができます。
5. 宇宙船の帰還
宇宙船が地球に帰還する際に使用されます。
パラシュートの原理
パラシュートは、空気抵抗を利用して物体の落下速度を遅くする装置です。パラシュートが広がると、空気抵抗が生まれます。この抵抗が大きくなるほど、落下速度が遅くなります。また、パラシュートの大きさや形状によって、抵抗の大きさや安定性が変わるため注意が必要です。
パラシュートは、基本的には風向きによって左右に動かすことができます。また、操縦方法によっては上昇や下降も可能です。ただし、パラシュートの操縦は非常に難しく、専門的な知識や技術が必要です。また、安全性を確保するためにも、パラシュートの使用には十分な訓練が必要です。
パラシュートの種類
パラシュートにはいくつかの種類があり、それぞれの用途や特徴に合わせて使い分けられています。
1. 円形パラシュート
円形パラシュートは、丸い形をしていて、中心から放射状に布が広がっています。このタイプのパラシュートは、簡単な構造で安定性が高いため、緊急脱出用や荷物の空輸に使われています。反面、コントロール性には劣ります。
2. 方形パラシュート
方形パラシュートは、四角い形をしていて、内部に空気が入り込むことで膨らみます。このタイプのパラシュートは滑空性が高く、コントロール性に優れることから、スカイダイビングやパラグライディングで使われています。
パラシュートのその他情報
パラシュートの歴史
パラシュートの歴史は古く、初期の記録は中世にさかのぼります。852年、アンダルシア人のアルメン・フィルマンは、強化マントを使ってスペインのコルドバにある塔から飛び降り、軽傷を負ったものの無事に着地したとされています。
パラシュートの発明は、1485年頃のレオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチとされますが、それ以前のイタリアの文献にも同様の設計が描かれています。1783年、フランス人のルイ=セバスチャン・ルノルマンがパラシュートを再発明し、パラシュートの名前を作り出しました。1793年、ジャン=ピエール・ブランシャールが熱気球からのパラシュートジャンプに初めて成功しました。
18世紀末から19世紀初頭にかけて、絹織物を使った近代的なパラシュートが開発されたのが普及したきっかけです。1912年、飛行機からのパラシュート降下が初めて行われ、1913年には近代的なパラシュートの特許が初めて取得されました。1922年のアメリカでの航空事故からの生還事例を発端に、現在では軍用パイロットにパラシュートが義務付けられています。