N型コネクタとは
N型コネクタ (英:N-type connector) とは、主に無線通信・計測機器に用いられているコネクタです。周波数特性に優れており、主に極超短波UHF帯の同軸ケーブルを結合するのに用いられます。
1940年代に米ベル研究所のポール・ネイルPaul Neillによって発明され、彼の名前からN型コネクタと呼ばれます。
N型コネクタの使用用途
N型コネクタは嵌合部が大きいので機械的強度があり、かつ高い電力を伝送できます。主に極超短波UHF帯 (300MHz~3GHz) の信号伝送に用いられます。
主な用途は、移動体通信基地局、防災無線、警察無線、トンネル無線、放送中継機、計測機器などです。
多くは、EUの特定有害物質の使用制限に関する法律 (RoHS指令) に対応しています。
N型コネクタは、接触不良が発生する場合があるので、注意が必要です。太いケーブルを接続して使われることが多く、ケーブルの重量で内部の同軸の編組が引張られてインピーダンスが狂うことがあるからです。
N型コネクタの原理
N型コネクタは、比較的大型なボディに、ねじカップリング方式で確実な結合が可能です。当初N型コネクタは、軍事的な用途を想定して1GHzまでの電気信号を伝送することができるように設計されたが、今日では11GHz程度まで伝送することができます。
信号の反射を防ぐために、ケーブルとコネクタの間でインピーダンスを一致させる必要があり、コネクタにはこの配慮がしてあります。近年のN型コネクタは、周波数特性に優れており、18GHzまで使用可能な製品もあります。
特性インピーダンスは、50Ωが標準であり、75Ωも規格化されているが、互換性がないので注意が必要です。
N型コネクタの特徴
N型コネクタには多くの特徴があります。
- N型コネクタの接続方式は、ねじかん合式で、確実に固定が出来ます。接続ナットのねじは2山ほどで、締め付けが簡単であり、プッシュ型のような不安定さはありません。
- 外部のシェルの材質は、黄銅にNiめっき、中心のコンタクト部は、りん青銅に銀めっき、黄銅やベリリウム銅に銀めっき・金メッキしたものが多く使われます。また、絶縁体はフッ素樹脂PTFEなどです。ガスケットはシリコンゴムなどです。
- 耐電圧は、1,500V AC1分間、絶縁抵抗は、1,000MΩ (500V) 程度です。
- 適合ケーブルは、米軍用MIL規格のRGケーブル、JIS C 5411ケーブル、防衛庁 DSP C 6201ケーブルなどがあります。
N型コネクタの種類
同軸コネクタは種類によって周波数帯域が制限されるので、測定帯域によって最適なコネクタを選定する必要があります。
また、コネクタの形状により、多くの種類があります。
- プラグ:ケーブル側に取り付けられるコネクタであり、ストレートプラグ、L曲がりプラグなどです。
- ジャック、レセプタクル:機器、パネル等に取り付けられる側のコネクタであり、ストレートジャック、パネルジャック、レセプタクルなどがあります。
- アダプタ:異なる種類のコネクタを互いに接続するためのものであり、変換コネクタとも呼ばれます。アダプター、パネルアダプター、L曲がりアダプターなどです。
N型コネクタの規格
N型コネクタは、MIL-C-39012、JIS C 5411などに規定されています。
主な仕様
- 特性インピーダンス:50Ω
- 結合方式:ねじ結合、5/8-24UNEF-2A,2B
- 定格電圧:AC500V
- 耐電圧:AC1,000V1分間
- 接触抵抗:3mΩmax. at DC 1A
- 使用周波数範囲:0~10,000MHz
- 電圧定在波比 (VSWR) :1.2max. at 0~4,000MHz
- 材質:真鍮 (黄銅)
- 表面処理:ニッケルめっき、三元メッキ、銀メッキ
- 結線方式:半田、圧着、締め付け
この他、挿抜耐久性、ケーブル保持力、中心導体保持力、温度サイクル、高温試験、塩水噴射、耐振性、耐衝撃性、耐湿性、気密度などの試験法が、MIL規格などに定められています。