ラップ盤

ラップ盤とは

ラップ盤とは、研削盤などで仕上げられた平面をさらに、平行・平滑、そして狙いどおりの寸法に仕上げるための工作機械です。

ラップ盤では工作物に対して、平行に配置された2つのラップと呼ばれる上定盤と下定盤で挟み込んで圧力をかけ、互いにこすり合わせます。この際に研磨液として塗布されるのがラップ液で、ラップ液とは砥粒を含んだ研磨剤に潤滑油をまぜた液体です。

ラップ加工によって工作物表面は、研磨剤の鋭刃により少しずつ削り取り、定盤の平坦度が工作物へ転写されます。なお、ラップ盤には、加工物の下面と上面を同時に加工できる両面ラップ盤と下面だけを加工できる片面ラップ盤の2種類があります。

ラップ盤の使用用途

ラップ盤は、非常に精密な平面、平行度が要求される部品の製造に使用されます。例えば、長さ測定の基準や測定器具の校正作業に用いられるブロックゲージや精密さを求められるベアリング部品の最終仕上げ、半導体ウエハーといった難加工材の表面処理などです。

ラップ盤の原理

ラップ盤は、3面すりあわせの原理を用いています。3面すりあわせの原理は、ニュートン原器とも言われ、平面の基準を作るために用いられます。3面すりあわせの原理とは、3つの異なる平面が一致する条件は平面しかないというものです。

3枚の平面を互いにこすりあわせ、全面が接触するまで削り取ります。3枚の組み合わせを変えて、いずれも全面が接触するまで削り取ります。すべての組み合わせで全面が面であたるとき、すべての面が真の平面となるという原理です。

3面すりあわせの原理によって、工作機のない時代でも正確な平面、球面を作り出すことを可能とし、レンズやプリズムの作製に使用されていました。16世紀~17世紀にガリレオが天体観測に使用した望遠鏡の工学部品であるレンズにも、3面すりあわせの原理が使用されています。レンズには表面の滑らかさ、正確な球面が必要です。

ラップ盤における3枚の平面は下定盤・上定盤・加工物です。上定盤と下定盤が基準の面として仕上がっているので、その間にある加工物が上下を同時に研磨されます。そのため、平滑かつ寸法精度の高い平面に仕上がります。

ラップ盤の構成

ラップ盤は、遊星歯車機構を応用した構造になっています。遊星歯車機構とは、歯車の組み合わせ構造の1つです。中心にサンギア、外側にサンギアと同じ回転中心軸をもつリングギア (またはインターナルギア) 、サンギアとリングギアの間に複数個のピニオンが駆動し、複数のピニオンを支持するための遊星キャリアから構成されます。

サンギア、リングギア、遊星キャリアの3つの要素のうち1つを固定し、2つの要素の一方を駆動すると、残り1つの要素が2つ目の要素に入力した回転とは異なる回転 (回転数、回転方向) をするものです。ラップ盤では、遊星キャリアに取り付けられるピニオンにワークを取り付け、上下からラップという定盤で挟み込みながら遊星歯車機構を回転させることによって、ワークのラップ加工を施します。

ラップ加工中のワークは、ピニオンの自転をしつつ、遊星キャリアの公転運動によって研磨されます。ちょうど地球が自転しながら、太陽の周りを公転する動きと同じです。

ラップ盤の種類

両面ラップ盤は 、駆動する軸の数によって、2way方式、3way方式、4way方式に分かれます。駆動軸には、下定盤、上定盤、サンギヤ、インターナルギヤの4箇所があります。

1. 2way方式

2way方式は下定盤と上定盤を固定し、インターナルギヤとサンギヤが駆動する方式です。セラミックや金属の加工に使われています。

2. 3way方式

3way方式はインターナルギヤを固定する方式と、上定盤を固定した方式があります。セラミック、金属、シリコン、硝子、水晶などの加工に使われています。

3. 4way方式

4way方式は駆動軸すべてが駆動する方式です。4個のモーターを用いることで上下表面のラップ長さを一致させます。セラミック、金属、シリコン、硝子、水晶などの加工に使われています。

参考文献
https://www.kensaku-kenma.com/
https://www.kousakukikai.tech/lappingmachine/
http://www.kensakuban.net/each_kind/rap.html

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