除振台

除振台とは

除振台とは、地盤、基礎、床などの周囲から伝達する振動が機器に伝わらないよう振動を低減させるための装置です。

「除振」は振動絶縁とも言われ、周囲から発生する振動を、対象とする機器などに伝えないようにすることを指します。類似の用語である「防振」は、振動源から発生する振動を、周いに伝えないようにすることです。既に発生した振動が伝わるのを防ぐのか、それとも振動源に対して対策をするのかによって使い分けられます。

さらに、「制振」という言葉もありますが、制振は振動を抑えたい対象に対して、直接作用することにより、振動を減衰させることです。除振台のタイプには、周囲からの振動を抑制して防止するパッシブ型の除振台と、センサーとアクチュエータにより振動を減衰する動きを行うアクティブ除振台とがあります。

除振台の使用用途

除振台は、精密な加工を行う機器や、電子顕微鏡の土台として使われます。精密測定機器、半導体・液晶製造検査装置、超精密加工機といったミクロンオーダーの加工・計測を行うためには振動による影響を最小限にすることは欠かせません。

電子顕微鏡などで高倍率で観察する場合にも、振動を抑えることが重要です。

除振台の原理

除振台には、パッシブ型とアクティブ型があります。どちらのタイプの除振台が優れているということはなく、使用目的や周囲環境、振動の固有振動数などにより、最適な方法を選択することが大切です。

1. パッシブ型

パッシブ型の除振台は、スプリングなどの弾性とダンパーとなる粘性を組み合わせたものです。弾性はスプリングが代表例であり、自ら変形することによって振動のエネルギーを一時的に蓄え、一時的なエネルギーの蓄積で振動を低減させます。

粘性は空気や流体などの粘性を使って、振動のエネルギーを熱に変換して吸収するものです。スプリングが蓄えた振動エネルギーをダンパーが熱に変換することによって、振動は吸収されます。

また、スプリングやダンパーの動きの早さも除振の原理のポイントです。振り子をゆっくり大きく動かすと大きく振れますが、早く細かく動かすとほとんど動きません。

2. アクティブ型

アクティブ除振台は、床などに固定されたセンサーが常に外部の振動を感知しており、アクチュエータを通してその周波数と逆向きの周波数となるような振動を発生させています。これによって、外部の振動と除振台が起こした振動をが打ち消しあい、装置は静止した状態を維持することが可能です。

なお、アクティブ型の除振台の制御方法は、装置もしくは除振台の振動をセンサで感知するフィードバック制御と、床や地面の振動を感知するフィードフォワード制御に分けることができます。

除振台のその他情報

除振性能を示す振動伝達特性とは

除振台の性能を示すデータが振動伝達特性のグラフです。縦軸に振動伝達率 (db) をとり、横軸には振動周波数 (Hz) がとられます。振動伝達特性は一般的に、縦軸と0で接して上昇しある周波数でピークを迎え、周波数が高くなるにつれて富士山の稜線のようななだらかな円弧状の曲線を描いて低下していきます。

縦軸の0は振動伝達率が0dbである、同期という状態です。対象物はちょうど、振動源と一体となったように同じ動きをすることを示します。つまり、振動はそのまま伝わる状態です。

振動伝達特性のピークの部分は「共振」と呼ばれる状態です。発生した振動に対して、対象物が非常に大きく振動することを意味しており、場合によっては機械は破壊することにもなりかねません。共振は機械では避けるべきポイントです。共振から周波数が高くなり、振動伝達率が0よりも小さいマイナスになる領域が除振領域になります。

除振台を選ぶ際には、設置環境の振動の周波数を振動伝達率の大きさから、どの程度振動を抑えることができるのかを判断することができます。

参考文献
http://www.herz-f.co.jp/data/avs/
http://www.meiritz.jp/support/tech/joshin.html

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