行動解析ソフトとは
行動解析ソフト (英:behavioral analyzing software) とは、人や動物・物体などの行動を解析するソフトウェアです。
人や動物、昆虫、生物、細胞、魚類等の行動追跡を容易に行えます。そして、追跡の結果を動線・進行方向表示や各種グラフ表示して、数値化・統計処理等を行います。
また、自動車やロボットの移動を分析して、操縦安定性・安全性・効率的運転・生産効率などの改善活動にも使われます。
近年はAI (人工知能) 技術を使用して、より高度で精度が高い行動解析が出来るものが増えています。
行動解析ソフトの使用用途
行動解析ソフトは、次の用途例があります。
- 人の行動の動線分析
生産現場での作業改善・効率化・品質向上・安全性向上などを図ります。 - 動物、昆虫、生物、細胞、魚などの行動分析
メダカ・ハエ・マウス等の行動を計測し、挙動の研究、神経科学・神経生理学の研究、治療への応用などを行います。 - 車両、ロボットなどの挙動解析
自動車の旋回性能・ブレーキ時の挙動・安全性改善、ロボットの動作改善・作業効率改善などが可能です。 - 広いフィールドでの行動解析
混雑対策などを効率的に手法を開発できます。 - 心理学実験、労働環境分析、人間工学、マーケティング・リサーチ等の分野
ビデオにより行動解析・行動観察・タスク分析などが効率的に精度よく行えます。
行動解析ソフトの原理
ビデオカメラのトラッキング技術を採用した画像処理により、解析を行います。
1. 小動物の行動解析
マウスやラットなどの実験小動物における様々な行動解析を行うソフトウェアです。ソフトウェアのアルゴリズムにより、実験動物の体全体や頭・四肢等の各部位の位置を自動認識します。これにより、におい嗅ぎ行動や首振り運動、泳ぐ等の振舞・行動を判別し、行動解析を客観的かつ高精度に自動化できます。
体の部位と姿勢の自動認識、及び時間との関連性のデータを活用することにより、動物が「いつ」「どこで」「何を」していたかを、自動検出できます。
2. AI学習の仕組み
まず解析したい行動が映っている多数の動画から、行動の名前と関連付けた教師データを作成します。そのデータをAIに学習させ、学習済みモデルを作成します。そして、生成された学習済みモデルを使用して行動を解析します。
人物や動物の行動解析を行う場合は、動画データを骨格データに変換して、学習や解析を行える製品もあります。これにより、データの軽量化と推論時間の高速化が可能です。
行動解析ソフトの種類
行動解析ソフトは、大きく分けると2種類あります。
1. AI技術を使用しないもの
主に小動物の挙動や物品の移動の解析に使われます。撮影された映像の特徴を画像処理で把握して動きを解析します。
2. AI技術を採用したもの
検出したい行動に名前を付けて、あらかじめAIが学習することにより、人や動物の骨格及び画像情報から、人や動物の行動を判別します。車両や物体の場合も同様に行います。
行動解析ソフトのその他情報
1. 行動解析ソフトの特徴
- コーディングが容易
映像機器操作・時間読み取り・観察メモなどは不要です。 - 集計・分析の自動化
自動でデータの集計や分析ができます。また、データの修正や補間も、映像を見ながら可能です。 - 解析項目が豊富
グラフを数値・棒グラフ・帯グラフで表示し、タイムテーブル画面を作成します。また、2次元軌跡・行動分析では、画像解析により位置データを算出し、行動・作業・動作などをカテゴリ化して時系列で記録します。 - 多くの算出項目
軌跡表示・平均速度・エリア分析・相対位置分析などを算出し、スポーツの場面では、技や動作の種類、攻撃のパターンなどを時系列で記録します。 - カメラの設置・撮影・キャリブレーション・解析処理が容易
- 高度なトラッキング機能を搭載
- 画像上に動線を描画
- ターゲット別・シーン別の行動統計解析
- Excelへのデータエクスポートが可能
2. 行動解析ソフトの仕様例
- カメラタイプ:モノクロ・高速度・高解像度から選択可能
- 計測周期:60~500Hz
- 計測点数:無制限
- 計測項目:座標・速度・加速度・角度・進行方向・進行方向変位・2点間距離・滞在時間・出入り回数・滞在数など