クリーンルーム

クリーンルームとは

クリーンルーム

クリーンルーム (英: clean room) とは、空気の清浄度が管理されている部屋のことです。

空気中に浮遊する微粒子や微生物が、限定された清浄度レベル以下に管理されている空間を指します。供給される材料、薬品、水などについても要求清浄度が保持され、必要に応じて温度、湿度、圧力などの環境条件についても管理されます。

空気の清浄度は、その空気の微粒子の大きさと数を、パーティクルセンサーでカウントすることで確認が可能です。ほこりや微粒子の付着が大きな問題となる製品の製造には、クリーンルームが利用されています。なお、クリーンルームは、防塵室、滅菌室、バイオクリーンルームなど、用途によってさまざまな呼び名があります。

クリーンルームの使用用途

クリーンルームは半導体や液晶、電子部品などの工業製品の製造に使用されています。小さなほこりが製品の品質に大きな影響を及ぼすためです。

特に半導体の前工程では、最も清浄度の高い米国連邦規格クラス1~10、ISO規格ではクラス3~4のクリーンルームが利用されます。電子部品や光学機械などの精密機器を製造する工場や、薬品や食品を取り扱う工場では、ISOクラス5~7程度のクリーンルームが必要です。

その他、印刷や塗料、レンズやフィルムなどの業界でも、幅広くクリーンルームは活用されます。

クリーンルームの原理

1. 人間からの微粒子防止

クリーンルームは、内部に入る人間由来の微粒子を抑え、かつ高性能なフィルターで微粒子をとらえることにより、清浄度を維持しています。クリーンルームの清浄度を保つためには、まず人間から出る汗、髪の毛といったゴミやほこり、細菌などの減少が必要です。

要求される清浄度にもよりますが、クリーンルーム内では専用の白い防塵服や靴に着替え、手袋をして髪の毛が出ないようキャップをかぶります。さらに安全メガネやマスクを使用する場合もあります。そして、クリーンルームに入る時に、空気によるエアーシャワーで全身のゴミを流します。

2. 室内空気の浄化

クリーンルーム内の吸い込み口から取り込まれた空気は、循環して吹き出し口に設置されたHEPAフィルタと呼ばれる高性能なフィルターによって、微粒子等が浄化されます。クリーンルーム内の清浄度は、パーティクルセンサーによってモニタリングが可能です。

また、クリーンルームは気密になっており、部屋の空気の圧力を調整することで、外部から余計な微粒子が入らないように設計されています。

クリーンルームの種類

クリーンルームは、精密機器の製造用途、あるいは食品製造や医療・生命科学研究用途の2種類に大別されます。医療機関や生命科学研究機関で用いられるクリーンルームは、特にバイオクリーンルームあるいは無菌室と呼ばれます。

工業用途では、空気中の塵埃を排除することが想定されますが、バイオクリーンルームでは、これに加えて細菌などの微生物やウイルスの混入の防止が必要です。

クリーンルームのその他情報

1. クリーンルームの規格

クリーンルームは、空気中に単位体積あたり何個の微粒子が含まれているかによって、更にクラス分けされます。日本では、このクラス分けに米国連邦規格 (FED) ・ISO規格・JIS規格の3種類が使われています。

米国連邦空気清浄度基準FED209E
米国連邦空気清浄度基準FED209Eは、すでに2001年に廃止され、ISO規格14644-1に移行していますが、業界では、広く慣用されているFEDを使用する場合が多い状況です。

FED
FEDでは、クラス1からクラス100,000まで6分類され、クラスの数字は、単位体積あたりに含まれる微粒子の数を表しています。つまりクラスの数字が小さいほど、清浄度が高いことを表します。

ISO規格

ISO規格 (JISに準拠) は、FED規格に相当する6種類に加え、更に細分化してクラス1からクラス9までの9種類 (ISO) 、または8種類 (JIS) に分類されます。

2. クリーンルームの方式

クリーンルームの方式

図1. クリーンルームの方式

クリーンルームは空気の循環させ方、すなわち気流の作り方によって一方向流方式と乱流方式の2種類があります。

一方向流方式
一方向流方式は、吹き出し口と吸い込み口が向かい合って設置されており、均一な気流を作る方式です。天井に吹き出し口、床に吸い込み口を設置すれば、垂直方向に均一な気流を作ることが可能で、ある壁面に吹き出し口、向かいの壁面に吸い込み口を設置すれば、水平方向に均一な気流を作ることができます。

一方向流方式は、気流は絶えず循環しているため、高い清浄度を保つことができます。

乱流方式
乱流方式は、天井に吹き出し口、壁面に吸い込み口を設置する方式です。気流の滞留が起こる箇所があるため、一方向流方式に比べて清浄度は劣りますが、比較的低コストで導入・運用できることがメリットです。

参考文献
https://www.comany.co.jp/cleanroom/firstvisitor/what.html
http://www.airtech.co.jp/products/cleanroom/120/

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