ナットランナ

ナットランナとはナットランナ

ナットランナとは、ナットの締め付けを自動で行うことができる電動工具のことです。

ナットだけでなくソケットを替えることで、ねじやボルトに対応できる機種もあります。手で持って使用するハンディタイプが多いですが、全自動で締め付けを行う機種もあります。ナットランナは締め付け強度を設定することができるため、均質で高精度な締め付けが可能です。

ナットランナを使用することで、作業が簡便になるのはもちろん、高精度で信頼性の高い締め付けが可能となるため、信頼性が必要な締め付け箇所に幅広く使用されています。

ナットランナの使用用途

ナットランナによる締め付けは均質で高精度であるため、自動車部品やバイク、造船といった安全面で保証が必要な箇所に多く使用されています。他にも、ガソリンスタンドや化学工場といったより高精度な締め付けが要求される設備点検や、ビル等の鉄骨の組み立てを行う工事現場でも使用されることが多いです。

また、完全に自動化された自動組み立て装置に、ナットランナが組み込まれている場合もあります。ナットランナを選択する際は、使用するナットやボルトのトルク範囲を確認する必要があります。

ナットランナの原理

ナットランナは、大きく分けて「電動モータによる駆動」と「空気圧による駆動」のものがあります。基本的には、モータによりトルクを回転させ、締め付けが完了すると自動で止まる設定になっています。

1. 電動モータによる駆動

電動モータによりトルクや角度を電気的に制御しているので、空気圧駆動に比べて精度が高く、かつ作業履歴やデータを残すことができます。コードレスタイプもあり、近年メジャーになつつあります。

発熱しやすく、感電の危険性がある場合は、絶縁タイプか空気圧稼働のナットランナを選ぶことが大切です。また、増し締めができないので、再度締め直す場合は一度ナットを緩める必要があります。

2. 空気圧による駆動

エアーコンプレッサーを必要とし、圧縮空気を利用してエアーモータを回しトルクを制御しています。感電の危険性がないのがメリットですが、エアーコンプレッサーを使用するため電気代がかさむというデメリットもあります。電動モータ駆動より発熱が少なく済み、長時間の使用に向いていて昔から使用されてきたタイプです。

ナットランナの構造

電動タイプはACサーボ、DCブラシレスなど回転数の制御が可能なモータを使用し、エアー駆動式は空圧によるエアーモータにより回転します。制御を行うユニットは内蔵もしくは別置きで付属します。それらの回転は遊星歯車用いた減速機を介して駆動軸へ伝えられます。

トルク検出機能があり、トルクによる回転の制御を行える高機能なタイプでは、位置、姿勢を検出するアームなどを装備できる物があります。

ナットランナのその他情報

1. ナットランナと電動ドライバ

ナットランナは名前の由来であるナット締め工具ですが、回転して締結するネジ、ボルトにも使用することができます。電動ドライバーインパクトレンチとの違いは、締付トルクの管理が正確にできることです。

電動ドライバー、インパクトレンチでは規定トルクに達すると軸が空転する構造ですが、電動ナットランナは規定のトルク値に近づくにつれてモーターの回転が減速し、正確なトルク値に止める機能を持っていて、近年ではより精度の高い締付ができる電動ナットランナが主流になってきています。

ナットランナは締付時のトルク値に合わせて、回転速度やトルクを制御しながら締付を行います。回転速度は電動ドライバーやインパクトレンチに劣りますが、締め付け後のトルク値の誤差が少なく、動作時の騒音が少ないことも特徴です。

2. ナットランナのトルク管理

近年のナットランナは、締付時のトルクと角度の変化をモニタリングしながら、締付の良否を判断し、ボルトを斜めに差し込んでしまう斜め締めや、ワッシャの入れ忘れ、2枚入れなどを検出できます。それらのデータはナットランナ自体で記憶したり、ワイヤレスでPCなどへ転送し、組み立て時のデータとして記録することが可能です。

また、高機能な機種では、ナットランナの姿勢や位置を検出することもできます。ネジ締めをする穴の位置を判断して、締め付けているネジやボルトが指定されたものに合致しているかどうか判断したり、ネジやボルトの違いをネジ穴位置から判断して締付トルクを自ら変更したりします。

参考文献
http://ith.co.jp/product/NutRunner

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