クリーンブース

クリーンブースとは

クリーンブースとは、簡易的な空間内を陽圧に保ち、外部からのゴミの侵入を防ぐ空間清浄化システムです。

厳格な管理が求められるクリーンルームとは異なり、クリーンブースは局所的、簡易的な空間清浄化環境が求められる場面で用いられます。

クリーンブースの使用用途

クリーンルームは空気中に存在する埃などをミクロ単位のレベルで除去すると同時に、温度や湿度なども一定の範囲でコントロールします。これらの性能はISOやJISで規格されており、極めて高度な空間清浄化システムです。

一方、クリーンブースは、広域な作業空間の空間清浄化度を管理する必要がなく、局所的に一定程度のクリーン環境が必要な場合に用いられます。例えば、半導体製造工場や液晶パネル製造工場、医薬品製造施設、化粧品製造施設、及び食品製造工場などで使用されます。

また、クリーンルーム内で更なる空間清浄化環境の改善が必要な場合に、クリーンブースが併用される場合があります。

クリーンブースの原理

クリーンブースの原理

図1. クリーンブースの原理

一般的なクリーンルームは、湿度や温度を制御可能にするための断熱パネルと空調、室圧設定を可能にする陽圧機器や差圧ダンパーなどのクリーン化機器を用いて空間清浄化環境を厳密に管理しています。

一方、一般的なクリーンブースでは、フレームなどで構成された小規模空間を塩ビ製のシートなどで覆うことにより外の空間と遮断し、クリーンブース内の天井に設置するファンフィルターユニット (英: FFU) によって清浄化されたクリーンエアーが送気されることで、クリーン環境を保ちます。クリーンブース内の圧力はFFUによって陽圧に保たれ、外部からのゴミ侵入を防ぎます。クリーンブースは設置するサイズに応じて、室内空間を陽圧にするためのFFU選定が最も重要になります。

クリーンブースの使い方

クリーンブースの使用方法として気を付けるべき点は以下の通りです。

クリーンブース内にゴミや埃、微生物を持ち込まない、発生させないような工夫が必須です。クリーンブースの性能だけに頼るのは危険であり、利用する際のルールや手順を予め決めておき、利用者自身の意識も向上させる必要があります。

FFUの掃除も重要です。特に吸込み口の掃除を怠ると、ブース内のクリーン度が低下するため、定期的に掃除をする手順を決めておく必要があります。

クリーンブースは簡易的なシステムであり、下部には隙間があります。クリーンブース内は陽圧に制御されていますが、虫などは侵入可能であり、普段からクリーンブース周辺の床は清潔に保っておく必要があります。

掃除の頻度や方法、フィルターの交換頻度などは、求めるクリーン度によっても変わってきます。使用環境の条件に応じて、どのような管理が必要かをあらかじめ考えておく必要があります。

クリーンブースの種類

1. フロア型と卓上型

フロア型と卓上型クリーンブース

図2. フロア型と卓上型クリーンブース

フロア型は床上に設置し、人が出入りする大型のクリーンブースです。大規模な作業を行う場合に使用されます。一般には入室する作業員はクリーンウェアを着用し、クリーンブース内に異物が侵入することを防ぐ必要があります。フロア型クリーンブースは工場などの製造現場で主に使用されています。

卓上型クリーンブースはテーブルの上に設置する小型のクリーンブースです。一般にはクリーンブース内には手のみを入れて作業を行うため、作業員はクリーンウェアを着用する必要がなく、気軽に利用できるのが特徴です。卓上型クリーンブースは、他のタイプのクリーンブースよりも小型でコンパクトなため、研究室や工場の限られたスペースでの使用に適しています。また、一般的に設置やメンテナンスが容易で、比較的低コストであるため、多くの企業や研究機関で使用されています。

2. 閉鎖型と開放型

開放型クリーンブース

図3. 開放型クリーンブース

密閉空間を作り出す閉鎖型のクリーンブースが主流ですが、開放型のタイプもあります。開放型クリーンブースは、対をなした送気装置間で常に清浄空気の気流を発生させ、この空間内で作業を行うタイプの装置です。閉鎖型クリーンブースと比べると持ち運びがしやすく、局所的な作業空間をクラス1レベルの高度なクリーン環境に保ちたい場合に使用されます。

3. 標準タイプとカスタムタイプ

クリーンブースメーカーは各社、標準的なサイズと仕様のクリーンブースを販売している一方で、ユーザーからのカスタマイズも受付けています。標準タイプはサイズが規定されているため、カスタムタイプと比べると安価に入手することができます。カスタムタイプは希望に応じたサイズで作製可能であったり、FFUの風速計を付けるなど、様々なオプションを付加可能です。

クリーンブースのその他情報

1. クリーンブース用のカーテン

クリーンブース用のカーテンには様々な特性を持ったものがあり、使用環境の条件に応じて選定します。

カーテンの機能としては、防炎、防虫、帯電防止、遮熱、遮光などが挙げられます。静電気が発生すると、ゴミや埃が付着しやすい環境となってしまうため、帯電防止機能をもったカーテンが有効です。

2. アルミフレーム製のクリーンブース

クリーンブースの中には、アルミフレームを使用したものもみられます。アルミフレームを使用するメリットしては、以下が挙げられます。

  • 軽量
    アルミはとても軽い金属であり、アルミの比重は約2.7、鉄の比重は約7.8です。アルミは鉄の約1/3の重さとなります。
  • 製造コストや時間の短縮ができる
    アルミフレームは多くの場合、表面はアルマイト処理がなされています。メッキや塗装などの工程を減らすことができ、コストや時間の削減に繋がります。
  • 設計の変更がしやすい
    アルミは軟らかい金属なので、他の金属と比較すると加工しやすい特徴があります。後から穴あけや切断を行うことも比較的容易です。

参考文献
http://www.acti-ve.co.jp/clean_booth/clean_booth_management.html
https://www.vinyten.co.jp/service/partition/clean-booth/

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