プラスチックニッパーとは
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プラスチックニッパーとは、樹脂などの比較的やわらかい素材を切断するために使用される工具です。
名前のとおりプラスチックの切断に特化したニッパーのため、ピアノ線などの硬い金属線は切断できません。無理に切断しようとすると、一般のニッパーに比べて刃が薄いため破損する可能性が高いです。
ただし、軟金属 (銅やアルミ、真ちゅうなど) の細い金属線であれば、製品によっては切断可能なものもあります。
プラスチックニッパーの使用用途
プラスチックニッパーの使用用途は、プラスチック製品の切断やバリ取りです。電気配線の整線で使用される結束バンドなどを、それほど大きな力を要せず簡単に切断できます。ツラ切りが可能でバリが出にくいため、正しく使用すればケガをしにくいキレイな切り口に仕上がります。
キャッチング機能があるニッパーであれば、切れ端をつかんだまま保持可能です。切れ端が飛散しないため掃除がしやすくなるほか、切れ端の残留による機械や装置、精密機器などの不具合も防止できます。
狭い隙間でも刃先を差し込みやすいので、プラモデルのパーツや3Dプリンターのサポート材など、細かく入り組んだものにもよく利用されています。 プラモデル用のニッパーは、特に刃先が細かく薄いです。
作業効率を上げるために、戻しバネ付きのニッパーもよく使用されています。切断後にバネの力で刃が元の位置に戻るため、手の疲労も少なく連続的に作業が可能です。
プラスチックニッパーの原理
プラスチックニッパーは、切れ味が良く、バリや白化が生じにくい点が特徴です。それぞれの特徴は、下記のような原理となっています。
1. 切れ味が良い原理
プラスチックニッパーがよく切れるのは、刃をできるかぎり薄くしているからです。刃が薄いほど加わる圧力が大きいため、ハサミや一般的なニッパーなどと比べて切断能力が高くなります。
また、プラスチックニッパーが刃を薄くできる理由は、樹脂などのやわらかい素材を切断することに特化しているためです。そのため、硬い素材を切断すると刃こぼれしやすいので注意が必要です。
ニッパーのサイズが大きいほど力も大きくなるため、プラスチックでも太い材料や比較的硬い材料を切断するには大きな製品を選ばなければなりません。プラスチックニッパーは、呼び寸法150mmが大きいサイズです。細かいところを切断するには125mmサイズが主流です。
2. バリや白化が生じにくい原理
図1. プラスチックニッパーと一般的なニッパーの比較
プラスチックニッパーは一般的なニッパーに比べて刃が鋭利なため、切断面にバリや白化が生じにくいです。一般的なニッパーは硬い素材を切断しても刃こぼれしないように、表刃も裏刃も角度をつけて刃を厚くしています。表刃がフラットなプラスチックニッパーとは違い、表刃に角度があるぶん切断面にバリが残ります。
白化と呼ばれるプラスチックが白く変色する現象は、樹脂が引き伸ばされて組織密度が小さくなることが原因です。刃の厚い一般的なニッパーは「切る」というより「押しつぶす」ように負荷をかけながら切断するため、白化が生じやすくなります。プラスチックニッパーは刃を薄く鋭利にすることで、素材にかかる負荷を軽減しています。
プラスチックニッパーの種類
図2. ラウンド刃・ストレート刃・片刃
1. ラウンド刃タイプ
ラウンド刃タイプは、表刃側がゆるやかなR状になっています。対象物がごくわずかに削られるように切断されるため、バリが出にくいです。
2. ストレート刃タイプ
ストレート刃タイプは、表刃側が平らな形状をしています。切断面がフラットになるため仕上がりがキレイです。刃先が細いため、狭い箇所でも切断しやすいです。
3. 片刃タイプ
片刃タイプは、刃が片側にしかついていません。片方が包丁で、もう片方はまな板のようなイメージです。切断面の真ん中にバリが出にくいので、よりなめらかな仕上がりになります。
図3. 斜刃・エンド刃
4. 斜刃タイプ
斜刃タイプは、刃先の角度が大きいです。角度が大きいほどニッパーを寝かせる必要がないため、対象物周辺の物体に干渉することなく切断ができます。
5. エンド刃タイプ (喰い切りタイプ)
エンド刃タイプ (喰い切りタイプ) は、ニッパーの先端部分で90度方向からの切断ができます。通常の刃先では対応できないコの字型の奥まったところのバリ取りなどが可能です。