流速計

流速計とは

流速計

流速計とは、河川を流れる水や、ダクトから廃棄される空気などの流速を知るための計測器です。

流速計には、羽根車の回転速度を用いる測定や超音波のドップラー効果を用いる測定など、幅広い種類の測定原理による製品が開発されています。流速計と類似した用語に流量計があります。流速と流量は定義が異なりますが、互いに関係性があり、全くの別物ではありません。

流速計と流量計は、同じ類の計測器として扱われるのが一般的です。

流速計の使用用途

流速計は、河川やダムなどの調査や工業製品の生産工場など幅広い範囲で使用されます。例えば、河川の流速の調査、排気ガスの速度調査、樹脂製品の射出整形において、材料の流入速度の制御、化学溶液の流入速度の制御などです。

流速計の選定の際には、対応している計測の流速の範囲、耐久性、メンテナンス性、非接触か接触型かを考慮する必要があります。通信機などを組み込まれている流量計も多く、遠距離からモニタリングが可能になるため、作業の効率化が可能です。

流速計の原理

流速計の測定原理を、羽根車を用いる電気式の流速計、超音波を使用する流速計に分けて説明します。流速計は、測定部と測定部から出された電気信号などを情報処理する装置、通信機器などで構成されているのが一般的です。

1. 電気式

電気式の流速計は、羽根車の回転数を計測することによって、流速を測定する方式です。羽根車に磁石などを取り付け、その磁石が回転することによる磁界の変化量を電気信号として変換し、情報処理部へパルス信号として送信します。

羽根車は、測定対象の流体が流れる方向に必ず向いてなければなりません。そのために重しなどを取り付けることによって、流体の方向に羽根車が向くように調整されています。

2. 超音波式

超音波式は、流体に向けて超音波を発信し、その超音波が水面で跳ね返ってくる時の位相のずれを情報処理部へ送信し、位相のずれから流速を測定します。非接触で離れた位置から測定することができるため、流体の流れを阻害せずに、安全に測定することができることが特徴です。

流速計の種類

原理の項目で紹介した電気式、超音波式以外にも、流速計には以下のような種類があります。

1. 差圧式

差圧式は流体の経路の中にオリフィスと呼ばれる経路を細く絞った部分を設け、オリフィスの前後の圧力差から流速を求める方式です。圧力差が大きければ流速は速く、圧力差が小さければ流量は遅いことを示します。気体、液体、蒸気の測定に使え、安価で可動部分がなくメンテナンスなども容易です。

2. 電磁式

電磁式流量計は、ファラデーの電磁誘導の法則を利用しています。導電性流体が流れている空間に流れと90度の角度で磁界を発生させると、流速に応じた起電力が生まれます。導電性流体のみに適用できる測定法ですが、液体の温度や圧力、密度や粘度の影響を受けない測定が可能です。

3. コリオリ式

コリオリ式は、回転座標系の運動物体にはたらく見かけの力であるコリオリの力を利用した流速計です。2つに別れたU字形のパイプに流体を流すと、入り口と出口で逆向きにコリオリの力が作用し、パイプがねじられます。

流体の流速が速いほどコリオリの力は大きく、パイプの変形も大きくなることから、流速を求める流速計です。

4. 熱式

熱式は流体が流れる際に、熱源から熱を奪って温まる現象を利用しています。流体経路の2点の温度差や、ヒーターを設置し、ヒーターの上流と下流の温度差が同じになるように制御する際の消費電力から流速を算出する方法があります。

5. カルマン渦式

カルマン渦式は、カルマン渦の数を検出することから流速を求める方式です。カルマン渦とは、流体中にある柱状の障害物の下流側に発生する渦で、カルマン渦式流速計では、圧電素子で渦の振動を検出したり、超音波で検出したりするものもあります。

参考文献
http://www.dentan.co.jp/technology/denji_ryusoku.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/flowmeter/type/

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