手動ウィンチとは
手動ウィンチは人力によって重量物に取り付けたワイヤーを巻き取ることにより、重量物を持ち上げる事が出来るウィンチです。電動ウィンチは電力を供給出来るかどうかでウィンチの設置場所に制限が加わりますが、手動ウィンチはどこにでも設置出来ることが最大の利点です。
どこにでも設定できるという利点をより追求するため、耐塩性、防錆性など耐久性を向上させた製品も存在します。また、特殊なものとして10トンの重量物を持ち上げることも可能な大型手動ウィンチも存在します。
手動ウィンチの使用用途
手動ウィンチは多くの作業現場や施設等で活用されています。
例えば、野球場やゴルフ場及びゴルフ練習場等では防球ネットが使用されていますが、このネットを人力だけでポールに張るのは大変な労力を必要とします。しかし、手動ウィンチを使用することでこの労力は何分の1にも削減することが可能になります。
その他、船舶の乗降タラップの昇降、作業用ステップの高さ調整、桟橋の高さ調整等、重量のある物を上下させ、ある位置で安全に固定させる必要がある場面で手動ウィンチは活用されています。
手動ウィンチの原理
手動ウィンチの主な構成は、手動ウィンチ全体を支えるフレーム、ワイヤーを巻き取るドラム、そしてドラムを回転させるハンドルの3点からなります。
ハンドルの軸にはピニオンギアが付いており、ドラムの外周についているドラムギアに接続されています。ハンドルを回すとピニオンギア経由でドラムギアが回ることにより、ワイヤーが巻き上げられます。ピニオンギアに対してドラムギアはだいぶ大きいため、大きなトルクを発生させることが可能になりますが、その分ハンドルを回転させる分量は多くなります。小型の手動ウインチで減速比(ピニオンギアとドラムギアの歯数の比率)は1/4程度ですが、10tの重量物を持ち上げることが可能な手動ウィンチでは1/300程度というものもあります。つまりハンドルを300回転させてやっとドラムが1回転します。手動ウィンチには通常自動ブレーキが装備さており、何かあっても釣り上げている重量物が落下することはありません。