スパッタシートとは
スパッタシートとは、飛び散る火花を受け止めるためのシートです。火花が周りの物体に付着した場合、物体の材質によっては燃えてしまい火事になる恐れがあります。燃え広がりを防ぐために、スパッタシートが使われます。
スパッタシートの材料はガラス繊維や炭化繊維が使われています。これらの繊維に使われている物質は融点が高いため、火花が付着しても燃えたり溶けたりせず防火性能を発揮します。
JIS規格で、スパッタシートの性能が3種類に分けられています。A種、B種、C種とあり、A種が一番難燃性をもつ規格になります。
スパッタシートの使用用途
スパッタシートは主に溶接で利用されることが多いです。
溶接とは熱や電流を与えて金属表面を溶かし、表面同士を結合させることで、別々の材料を一体化させる方法です。
溶接にも種類がありますが、その中でもアーク溶接と呼ばれる手法があります。アーク溶接は手軽に行える方法ですが、火花が周りに飛び散りやすいという問題があります。火花の飛び散りによる物体の燃焼を防ぐため、シートが使われています。
最近では溶接だけでなく、キャンプの焚火時にも防火対策として使われることがあります。
スパッタシートの原理
スパッタシートの材料として、主に使われているのがガラス繊維と炭化繊維です。
- ガラス繊維
溶かしたガラスを細長く引き伸ばし、繊維状にしたものです。
ガラスは高温にしても溶けるだけで、燃焼することがありません。理由としてはガラスの構造にあります。ガラスはシリカ(SiO2)を主成分としています。SiO2の結晶構造は安定しており、化学反応が起きにくいです。燃焼自体は酸素などが結びつく化学反応ですが、SiO2は既に酸化物となっているため燃えにくくなります。
ガラスは難燃性以外にも、絶縁性に優れています。溶接には電気を使うものもあるので、絶縁性も求められる場合に使われます。
- 炭化繊維
ポリアクリロニトリル樹脂を高温処理し、炭化することにより製造されています。他の樹脂に比べて炭素の含有率が多いため、炭化繊維に使われています。
炭素自体は酸素と結びつき燃えます。しかし炭化繊維を構成する炭素は結合が強く、結合間に酸素が入り込めなくなるので、燃焼が発生しにくくなります。
炭素繊維は軽くて強いという特徴があります。またガラス繊維と異なり表面がチクチクしていないため、扱いやすいです。
参考文献
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https://www.monotaro.com/g/00132939/
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