キャストナイロンとは
キャストナイロンとは、キャスト法で製造されたナイロンです。
キャスト法とは金型内で原料であるモノマーを反応させて、材料を作り出す方法です。樹脂は冷却されると内部にひずみが残り、ひずみが残ると変形の原因となり、場合によっては破損にもつながります。
他の成型法に比べ金型内で発生するひずみが少ないため、寸法安定性に優れているのが特徴です。また、ひずみによる変形が少ないことから、通常のナイロンよりも高強度です。
キャストナイロンの使用用途
キャストナイロンは、自動車部品で使われています。使われている部品の1つが軸受です。軸受は名前の通り、回転する軸を支える部品です。軸受があることで回転時の摩擦を少なくし、エネルギーの消費や部品の故障を抑えています。
従来の軸受は、耐久性が求められることから金属製が主流でした。しかし、燃費向上を目的として、自動車の軽量化が進みました。
軽量化のために樹脂製の軸受が検討されており、材料として軽量性と強度が両立可能なキャストナイロンが使われています。
キャストナイロンの原理
ナイロン樹脂にも種類があり、キャストナイロンで使われるのは6ナイロンが主流です。6ナイロンは、ε-カプロラクタムという物質を開環重合させることで製造されます。
6ナイロンは、ナイロンの中でも一般的であり、同じく一般的なナイロンとして6,6ナイロンもありますが、物性に若干の違いがあります。融点は6,6ナイロンが高い一方、加工性は6ナイロンの方が優れています。
なお、6ナイロンには下記のようなメリットがあります。
- 耐油性をもち、エンジン周りでの使用が可能
- 一般的な樹脂に比べて融点が高く、高温化での使用が可能
- 軽さと耐久性を併せ持つ
軽量性と油や衝撃に対する耐久性を持つことから、他の樹脂よりも軸受で利用されています。多くのメリットを持つ一方、デメリットも存在します。
最大のデメリットは吸水性の高さです。ナイロンの分子中には、アミド基が存在し、アミド基の親水性により、水と反応して加水分解を起こします。加水分解により寸法変形が発生し、強度が低下してしまうことがあります。
キャストナイロンの種類
1. キャストナイロン6 (ポリアミド6)
キャストナイロン6は、ε-カプロラクタムから製造される線状高分子であり、耐摩耗性や耐衝撃性に優れています。また、耐薬品性や耐候性も持ち、屋外や厳しい環境下での使用が可能です。
水分を吸収しやすい性質があるため、湿度の高い環境では寸法変化が起こる可能性が高いです。主な用途として、ギア、軸受け、歯車、パッキン、繊維などが挙げられます。
2. キャストナイロン66 (ポリアミド66)
キャストナイロン66は、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンから製造される高強度の線状高分子です。そのため、キャストナイロン6よりも耐熱性や耐摩耗性に優れています。
自動車部品の断熱材や電気機器の断熱部品、機械部品、工業部品など、高温環境での使用に適しています。また、摩擦特性が良好で、スリーブ、軸受け、歯車などの部品にも広く利用される製品です。
3. キャストナイロン12 (ポリアミド12)
キャストナイロン12は、ラウロイル塩化アミンから製造される柔軟性と耐低温性に優れた線状高分子です。その軟質性から、曲げや捻じりが容易で、耐薬品性もあります。
燃料タンク、ブレーキ管、ケーブルシースなど、自動車産業や航空宇宙産業での使用が一般的です。さらに、医療機器やスポーツ用具などにも幅広く応用されています。
4. キャストナイロン (耐油性)
キャストナイロンの中には、特に耐油性を強化したタイプもあります。これらのキャストナイロンは、オイルやガソリンなどの燃料に対して高い耐性を持ちます。
エンジン部品や燃料系部品など、油脂を多く使用する機械や車両の部品として利用され、耐摩耗性や耐薬品性も持ち合わせており、高い機能性を持つ製品です。
参考文献
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https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/plastic_mold_design/pl09/c1015.html
https://koyo.jtekt.co.jp/2018/11/column01-01.html
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https://www.try-it.jp/chapters-10095/sections-10240/lessons-10241/point-2/
https://www.yumoto.jp/material/6nylon
https://www.yumoto.jp/material-onepoint/plastic-the-water-absorbent