Vベルトプーリ

Vベルトプーリとは

Vベルトプーリ

Vベルトプーリとは、Vベルトを用いて動力伝達をする際に使用される円盤形状の部品です。

Vベルトは断面がVの字になったベルトで、Vベルトプーリとセットで使用されます。VベルトプーリにはVの字の溝が掘られており、平ベルトおよびプーリと比較し接触面積が大きく伝達効率が高い点が特徴です。

ベルトおよびプーリは多くの回転機械に利用されますが、Vベルトプーリは日本国内で使用されるプーリの中でも使用頻度の高い部品です。

Vベルトプーリの使用用途

Vベルトプーリは家電製品から産業機器まで、さまざまな装置に使用される部品です。以下はVベルトプーリの使用用途一例です。

  • ベルトコンベアやコンプレッサ
  • 自動車や自転車
  • 工業用ポンプ
  • 可搬式発電機

ベルトとプーリのかみ合いが強固なため、高速回転する機械で使用されます。一方で、動力伝達対象との距離が短い場合にはVベルトプーリの使用は不適です。

距離が短い場合は、摩耗が小さい平ベルトが採用される傾向にあります。

Vベルトプーリの原理

Vベルトは断面がV字型となっており、VベルトプーリにはV字型の溝が掘られています。VベルトがVベルトプーリの溝にはまり込み、摩擦によってプーリを回転させます。

動力伝達のポイントは、ベルトの張りとベルト面粗さです。

1. ベルトの張り

張りは強くなるほどプーリとのかみ合いが強固になり、伝達効率が高くなります。しかしながら、強く張りすぎるとベルトが破断してしまう可能性もあるため、適切な調整が必要です。

ベルトの張りの強さは、ベルト張力計を使用することで定量的に管理できます。

2. 面粗さ

Vベルトプーリはベルトとの接触面が広いため、それぞれの接触面の粗さは伝達効率を左右する重要な要素です。面が粗いほうが摩擦力が高まり、伝達効率は高くなります。

その反面、摩耗量が増え、機械寿命が短くなるという欠点もあります。長期間使用し続けるとVベルトプーリの溝が次第に摩耗し、表面が滑らかになります。この状態ではベルトとプーリが滑りを起こしやすく伝達効率が低下するため、交換が必要です。

Vベルトプーリのその他情報

1. Vベルトプーリの芯出し

Vベルトプーリはモーター側と機械側の位置がずれた状態で使用すると、Vベルトやプーリの摩耗を早めたり機器へ想定外の負荷を掛けたりします。この状態を「芯が出ていない」と表現します。

上記を防止するために、Vベルトプーリの芯出しは非常に重要な作業です。水糸を使用する芯出しは、広く使用される方法です。モータ側と機械側のプーリ上面・下面に糸を当て、糸の浮き上がりを比較します。

片方に糸を押し当てた状態でもう片方を浮かせていき、糸がプーリ面から離れるタイミングを確認します。面の平行具合や位置のずれを目視で確認できる方法であり、微調整しながら複数回繰り返して調整します。

近年ではレーザによる芯出し器も販売されており、作業が簡単で正確性も高いことから広く普及しつつあります。

2. Vベルトプーリの摩耗

Vベルト及びVベルトプーリは経年によって徐々に摩耗します。摩耗速度はVベルトの方が早いため、Vベルトの交換頻度の方が高いです。ただし、Vベルトプーリも徐々に摩耗するので、経年によって交換が必要になります。

Vベルトプーリの摩耗具合は、溝ゲージという計測器具で計測することが可能です。Vベルトプーリの溝に溝ゲージを押し当て、溝と溝ゲージの隙間を隙間ゲージで計測します。溝ゲージはVベルトプーリの規格によって使い分ける必要があり、JIS規格、ISO規格、ウェッジベルトなどがあります。

Vベルトプーリの径によっても溝ゲージの使い分けが必要です。事前に測定するVベルトプーリの規格とサイズを確認する必要があります。

摩耗限界については、メーカー許容値は隙間が0.8 mmとされている場合が多いです。ただし、型式によっても異なるため使用しているVベルトプーリの許容値は測定前に確認します。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/machine-elements/gear/belt-chain-basic.jsp
https://kikaikumitate.com/post-2727/
https://kurashi-no.jp/I0019796
https://www.nbk1560.com/resources/pulley/article/vpulley-exchange/?SelectedLanguage=ja-JP 

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