スピードコントロールモーターとは
スピードコントロールモーターとは、スピードコントローラが内蔵されており、回転速度を制御可能なモーターです。
モーターの駆動部に速度計測用のセンサが取り付けられており、そのセンサから送られてくる速度をもとにフィードバック制御をすることで回転速度を制御しています。交流を電源として使用する製品が一般的です。
スピードコントローラには、速度設定器が接続されており、任意の回転数などをパソコンや入力ボタンから入力します。
スピードコントロールモーターの使用用途
スピードコントロールモーターは、精密なモーターの動作が要求される生産工場や装置の内部で使われます。
具体的な使用用途は、以下の通りです。
- 半導体製造工程や電子部品製造工程における位置決め装置の駆動部の動力
- 糸やワイヤーの巻取り作業の動力源
- コンベアなどの停止する際の負担軽減用のモーター
スピードコントロールモーターを選定するは、スピードの可変範囲、スピード制御の精度、寿命、消費電力、サイズ、熱や塵、振動への耐久性を考慮する必要があります。
スピードコントロールモーターの原理
動作時は外部の速度設定器から送られてくる信号と、センサから送られてくるモーターの回転数の信号をもとに、どの程度の回転が必要かを回転速度の制御回路にて計算します。その回転速度の制御回路で計算した内容をもとに、どの程度の電圧をモーターに入力すればいいかを電気信号の制御回路で計算し、外部の電源から電力を必要分だけモーターに送信します。
その処理を繰り返し行うことによって、速度を制御する仕組みです。回転速度の出力の精度は、電気制御盤でモーターに送信する電圧の幅とセンサから送られてくる信号の処理速度によって決定します。
スピードコントロールモーターの構造
大きく動作部と制御部に分けられています。動作部にはモーターと回転速度を検知するセンサがあり、制御部には回転速度の制御を行う回路と電気信号の制御を行う回路で構成されています。
動作部に取り付ける速度検出するセンサは、レートジェネレータと呼ばれる装置です。これはモーターの回転速度に比例した交流電圧を出力することが可能で、交流電圧を制御部にフィードバックする役割を持ちます。
モーターは一般的なACモーターと、同じステーターとローターを持つ構造です。誘導電流を元にして回転力が発生します。
スピードコントロールモーターのその他情報
1. 回転速度 – トルク特性
回転速度を横軸に、トルクを縦軸に取った際に使用限界曲線と起動トルクを示す直線を描くことができます。使用限界曲線と起動トルクより下側の領域は連続運転領域と呼ばれ、この領域内での回転速度とトルクの組み合わせであれば、定格内の連続運転が可能です。
一方で、使用限界曲線と起動トルクより上側の領域は使用制限領域と呼ばれ、この領域内でのスピードコントロールモーターの運転はモーターケースの温度が90℃を超える恐れがあります。モーターケース温度が高温にならないように、周囲環境の調整が必要です。
2. 他モーターとの違い
スピードコントロールモーターは速度制御を行う機構に対して、インバータ駆動モーターに注目すると速度に加えてトルク制御も可能です。モーターの容量もスピードコントロールモーターは小容量であるのに対して、インバータは大容量まであります。
ブラシレスモーターは、モータードライバに対して回転速度を入力することで比較的簡単に速度を制御することが可能です。機能面ではインバータ駆動のモーターは多くの機能を備えていますが、スピードコントロールモーターはコスト面や使用性で優れています。
ブラシレスモーターと比較すると、どちらも小型のモーター制御に使用されますが、スピードコントロールモーターは低コストで運用可能です。目的に応じた機器を選定する必要があります。
参考文献
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/webseminar/sp_kiso_1_1/
http://www.mekatoro.net/mechatro_parts/vol3/pdf/P05-218.pdf
https://www.orimvexta.co.jp/product/detail/?id=001003
http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/orien-sougou/book/orien-sougou-P0383.pdf