シリコンガスケット

シリコンガスケットとは

シリコンガスケット

シリコンガスケットとは、シリコーン (熱硬化性または熱可塑性のポリマー) で作られたガスケットのことです。

ガスケットは、配管や器具の可動性のない部位で部材と部材の間に設置し気密性や水密性、油密性などの密閉性を保つためのシール材を指します。設置個所に合わせて成形されたシート状ガスケットと、液状を塗布・固化させて密閉性と耐圧性を得る液状ガスケットがあります。

素材によって、耐熱性や耐薬品性などが異なります。シリコンガスケットは高温や化学薬品に耐性があり、耐久性が高い点が特徴です。成形された製品も販売されていますが、液状ガスケットを指してシリコンガスケットと呼称する場合が多くあります。

シリコンガスケットの使用用途

シリコンガスケットは高い耐久性や耐熱性、耐薬品性などを有するため、産業に広く使用されます。以下はシリコンガスケットの使用用途一例です。

  • 自動車エンジンのシリンダーヘッドやバルブカバーなどのパッキング材
  • 航空機のエンジンやタービン、燃料ポンプ、バルブなどのガスケット材
  • 医療機器や食品加工機器など、清潔性が重視される産業機器のシール材
  • 電子部品や半導体の製造工程での高温・高圧環境下でのシール材
  • 建築材料、雨水排水設備、配管、化学工業装置などの耐候性・耐薬品性を必要とするシール材

シリコンガスケットはこれらの産業分野において、特性を生かした高性能なシール材として広く使用されています。また、柔軟性に優れているため、さまざまな形状やサイズにカットして使用することが可能です。

加えて、色の種類も多く、さまざまな用途に合わせた色のガスケットが開発されています。

シリコンガスケットの原理

シリコンガスケットのシール効果は、その柔軟性と弾性によって生み出されます。さまざまな形状にカットしてシールする部分に密着させることで、ガスや液体などの流体を漏れなくシールできます。

素材であるシリコーンは、二酸化ケイ素を還元したものにメチルアルコールなどの有機酸を結合させた化合物です。有機と無機の両方の性質を持ち非常に安定しています。化学的に安定で、酸化・分解されづらいことや生理活性の低いことが特徴です。

生理活性が低い点から、蛇口や炊飯器などの体内に取り込まれる可能性のある用途でのガスケットにも使用されます。また、耐熱性も高いため、エンジンオイルの流路のガスケットなどにも有用です。

成形ガスケットは厚みがあり、使用経過とともにへたりやずれ変形などが生じます。液状ガスケットは比比較容易に複雑な形状でもシーリングでき、へたりがない点が利点です。一方、硬化に時間がかかるなどの難点もあります。

シリコンガスケットの種類

シリコンガスケットにはさまざまな種類が存在します。以下はシリコンガスケットの種類一例です。

1. シートタイプ

シリコンガスケット材料をシート状にカットして使用するタイプです。ゴム素材の性質を生かした柔軟性や弾性によって、さまざまな形状にカットして使用することが可能です。

ただし、カット精度によってシール効果が左右されるため、正確なカットが必要です。また、厚みや硬度によってもシール効果が変わるため、使用する環境に応じて適切な厚みや硬度を選ぶ必要があります。

2. メタルクラッドタイプ

シリコンガスケットの表面に金属を張り合わせたタイプです。金属とシリコンガスケットの両方の特性を併せ持ち、高い耐久性と高いシール性を発揮します。

3. リジッドコアタイプ

シリコンガスケットの中心にリジッドコア (金属または樹脂製の芯材) を挟んで作られたタイプです。シリコンガスケットの強度を高め、圧縮力に対しても高い耐久性を発揮します。

4. マルチレイヤータイプ

複数のシリコンガスケット層を積層させたタイプです。耐久性とシール性に優れています。

5. 液状タイプ

シリコンゴムを液状状態にしたタイプです。専用のノズルを使って塗布することで、ガスケットとしてのシール効果を発揮します。さまざまな形状に対応可能で、密着するためシール効果が優れています。

ただし、塗布面が平坦でないと密着しないため、塗布面の処理が必要です。また、完全硬化するまでの時間が必要なため、作業はすぐ終わりません。

参考文献
http://www.mohno-dispenser.jp/compass/compass13.html
https://www.henkel-adhesives.com/jp/ja/products/industrial-sealants/liquid-gasket-solutions.html

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