オイルコンとは
オイルコンとは、機械等で使用する油の温度を適切に保つ装置のことをいいます。
空気の温度を調節する装置を「エアコン」というのに対し、オイルコンはその名の通り、油の温度管理をするものとなります。一般的な構造は、冷媒ガスを通じて熱処理を行うエアコンと大きな違いはありません。
高速回転する機械のモーター部やベアリング部は発熱を起こすため、予期せぬ故障や不具合を引き起こす場合があります。オイルコンは効率的に機械の熱を取り払うことができるため、機械の安定した動作を支援する機能を持ちます。
オイルコンの使用用途
オイルコンは、マシニングセンタやCNC旋盤といった、高い精度が求められる工作機械などで多く使用されています。
主軸が高速回転すると熱変位が生じ、加工精度にも悪影響を及ぼします。そこで、オイルコンにより使用する油の温度を冷やすことで、熱変位を最小限に抑えることができ、安定した連続加工が実現します。
工作機械を用いて生産を行っている現場で、加工精度がばらついていたり、歩留まりが上がらないなどの問題を抱えている場合にも利用されることがあります。
オイルコンの原理
一般的なオイルコンは、空気を圧縮する圧縮機と凝縮器、減圧機構、蒸発器などから構成されています。
- 圧縮機
圧縮機では冷媒ガスは高い圧力をかけられ、高温・高圧の状態になります。 - 凝縮器
圧縮機で高い圧力がかけられた冷媒ガスを大気中の空気によって冷却・凝縮することで、液体に変化させます。 - 減圧機構
高温・高圧の液体を減圧し、蒸発しやすい液体にします。 - 蒸発器
減圧機構を介して生成された液体を機械油と接触させます。すると、液体が油から熱を取り去って蒸発し、低温・低圧の気体になります。この現象は気化熱といい、あらゆる物質を冷却させるのに役立ちます。
また、中にはインバータが搭載されているものと、そうでないものがあります。インバータが搭載されていないと、温度管理を運転のON/OFFでしか制御することができないため、設定温度との誤差が大きくなります。より高精度に油の温度管理したい場合はインバータ付きのものを選ぶのが一般的です。