スチーム乾燥機とは

スチーム乾燥機とは

スチーム乾燥機とは、スチームを用いて処理物を加熱し乾燥させる乾燥機です。

多数の回転する中空ディスク・チューブ・ドラム・ケーシングなどにスチームを通して、処理物を関節的に加熱乾燥させます。 熱伝達効率が良く、熱容量が大きい特徴があります。 汚泥・酒粕・搾りかすなどの産業廃棄物や鉱石・木材などの原材料の乾燥に多く使われ、乾燥後は新たな原料としてリサイクルされます。

スチーム乾燥機の使用用途

スチーム乾燥機の用途は急速に拡大しています。

1.産廃汚泥の減量化・燃料化

各種工場の水処理設備から発生する汚泥は、脱水処理しても水分が60~85%ほど含まれており、水分を多く含むほど産廃処理コストが増加します。スチーム乾燥機で汚泥の水分を10~30%程度に乾燥することにより廃棄汚泥が減量し、処理費用の低減が可能です。

汚泥が有機物系の場合は燃料として有効利用が可能です。木材チップ・コーヒー粕・お茶殻・大豆粕・家畜糞尿・食べ物の残渣・野菜や果物の残渣・水産加工物の残渣などがあります。

2.飼料化・肥料化

酒造工場では製造工程の副産物として酒粕・ウイスキー粕などが発生し、産業廃棄物になります。これらの粕類には栄養素や肥料成分が多く含まれおり、スチーム乾燥機によって水分10~30%ほどの取り扱いしやすい粉粒状にすることで、飼料や肥料としての有効活用が可能になります。

3.食品の乾燥

スチーム乾燥機は海苔やシイタケなどの食品乾燥に使われます。

4.産業用原材料への用途

各種化学工場の水分を含む原料のリサイクル・殺菌処理・樹脂の乾燥・無機鉱物や肥料の乾燥・製鉄所のコークス炉用挿入炭の乾燥・汚泥の乾燥などにスチーム乾燥機が使用されます。また、銅鉱石・鉄鋼石・酸化鉄・石膏・焼却灰・ソーダ灰などの乾燥にも使われます。

スチーム乾燥機の原理

スチーム乾燥機は、熱源にスチームを用いて熱交換式で間接乾燥します。気体のスチームが熱交換する部分で凝縮して液体に変化する際に大きな潜熱を発生します。この熱が処理物を加熱し乾燥させます。そして、処理物から蒸発した液分は少量のキャリアガスと共に外部に排出されます。

乾燥品の含水率は2つの方法で調整が可能です。1つは、スチーム圧力を変更することにより乾燥温度を変える方法です。もう1つは乾燥機本体の軸の回転速度を変更する方法です。処理物の乾燥機内の滞留時間を変更することにより、含水率を調整します。

熱源には飽和蒸気を使用し、乾燥効率の良い伝導伝熱式と熱風式を組み合わせた乾燥方式があります。低温乾燥であるため、高含水率の有機廃棄物であっても成分を変化させずに加熱乾燥できます。

乾燥後は燃料・肥料・土壌改良剤・飼料などに利用できます。木材の乾燥に使用するスチーム乾燥機は熱風により乾燥させますが、風の流路・温度・風速などの制御を行うことが重要です。自然乾燥で3〜4ヶ月かかる工程を7〜10日ほどに短縮できます。

スチーム乾燥機のその他情報

1. スチーム乾燥機の特徴

スチーム乾燥機には多くの特徴があります。

1.少排気量
間接加熱型のため排気ガス量が極めて少なく、排ガス処理装置・脱臭設備がコンパクトになります。

2.省エネルギー
熱効率が高く、ランニングコストを低減できます。

3.運転が容易
大幅な処理量の変化や水分量の変化に対応でき、運転管理が容易です。

4.その他
高い攪拌効果により水分の偏差が少なく、均一な乾燥物が得られます。また、外部とのシールをして、内部からのガス漏れや外気の流入がないため、液体回収が容易であり、キャリアガスの使用量もわずかです。

2. スチーム乾燥機の種類

乾燥機は熱源の利用法により直接加熱式と間接加熱式とに分類されます。また、空気の循環法により自然循環式・強制循環式・真空乾燥があります。

スチーム乾燥機は、このうち間接加熱式で強制循環式を採用しているのが大半です。そして熱交換部によりディスク型・チューブ型・ドラム型・チャンバー型などの種類に分けられます。

1.ディスク型
円筒型のシェル内に多数のディスクが付いた軸を設置します。ディスク・軸・シェルは中空になっており、スチームを流してシェルに加熱空気を流入させ、シェル全体を回転させます。シェルに投入された処理物は乾燥してシェル出口から排出されます。複数のディスク軸の回転数を変えて、粘着性の処理物の付着を防ぐ方式もあります。

2.チューブ型
多数のチューブをシェル内に並べ、スチームを流してシェル全体を回転させてシェル内の処理物を乾燥させます。連続運転が可能です。

3.ドラム型
回転するドラムの内部にスチームを通して加熱し、ドラム外面に処理物を付着させて乾燥した付着物をそぎ落とす方式です。

4.チャンバー型
乾燥チャンバーに処理物を入れ、スチームで加熱した乾燥空気を処理物に当てて乾燥させます。バッチ方式で木材の乾燥などに使われます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です