抗菌コーティング

監修:FCR株式会社

抗菌コーティングとは

抗ウイルス抗菌コーティング(以下、抗菌コーティング)とは、ウイルスや菌の増殖を抑える抗菌コーティング材を物体の表面にコーティングすることです。抗菌のメカニズムは、商品により様々となっております。

コーティングをすることで表面上のウイルスや菌の増殖を抑制します。これは、一時的に死滅・除去する殺菌や除菌とは区別されます。
JIS規格では、抗菌加工されていない製品の表面と比較し、菌の増殖割合が1/100以下である場合、その製品に抗菌効果があると規定しています。

抗菌コーティングの施工

施工方法は、スプレーガンを使用して材料を吹付ける方法が一般的です。予め施工対象の表面を清掃(脱脂処理等)して、材料を定着させることが重要です。
上記方法では予算的な懸念がある場合、施工業者によっては手すりやドアノブなど、頻繁に手が触れる箇所に限定して行う施工もあります。

ニーズが多い場所
基本的には人々が集まる建物全般が対象となりますが、具体的には、オフィス・商業ビル・ホテル・飲食店・映画館・競技場・学校・医療施設・福祉施設・介護施設・一般住宅・電車・バスなどに対して比較的多く採用されました。

抗菌コーティングの原理

抗菌コーティングに使用するコーティング材の材料はメーカーにより様々ですが、比較的ポピュラーなものは「酸化チタン」や「銀」などになります。

1. 酸化チタン

抗菌コーティング材の中で最も多く使われているのが、光触媒である「酸化チタン」です。光触媒は光を受けることで活性酸素を発生させ、その活性酸素が触れたウイルスや菌を分解して二酸化炭素や水に変えます。通常、紫外線を当てることで分解力と親水性を発生させますが、可視光応答型光触媒を使うことにより、室内でも効果を発揮します。

2. 銀

銀イオンは、抗ウイルスや抗菌効果だけではなく、消臭や防かび効果も期待できます。Ag+といった文言で、消臭スプレーにも使われており、元々は食器等にも使われる安全性の高い成分です。
酸化チタンは光が当たることで性能を発揮しますが、銀は光を必要としないため、酸化チタンの効果を補う目的で使われることが多いようです。

抗菌コーティングのその他情報

1. 抗菌コーティングの効果

抗菌コーティングを施工する効果は多くあります。

  • 抗菌効果
    スプレーガンで天井・壁・パーティションなどの生活空間に噴霧することで抗菌層を形成し、抗菌・抗ウイルス・消臭効果などが発揮できます。

  • 持続性
    消毒や除菌は、アルコール等の薬剤をスプレーした際、表面に付着しているウイルスや菌を死滅や除去させます。その効果は状況にもよりますが、約2~3時間程度と考えられます。一方、抗菌コーティングは一度施工を行えば、付着しているウイルスや菌を分解し続け、増殖を抑制します。効果の持続は商品や環境にもよりますが、1年~5年と言われています。そのため、施工箇所ではこまめな消毒が不要となる利点があります。※コーティング面を露出させていないと効果を発揮しないので、清掃が完全に不要になるわけではありません。

  • 抗ウィルス効果
    抗菌コーティングは、細菌だけでなく、ウィルスに対しても効果があります。コート剤による新型コロナウイルスの不活化が確認されています。光触媒コーティング剤を塗布したプレートの新型コロナのウイルス量が、2時間の可視光照射により、無加工プレートに比べ99.4%減少したとの報告があります。室内の明るさで、新型コロナウイルスを不活化できると言えます。

  • 抗菌加工製品
    細菌による人間への悪影響は、その細菌がある量を超えて大量に増殖した場合に起きるのがほとんどです。抗菌製品は、細菌の増殖を抑えることができるので人体への影響を小さくすることができます。
    台所用品がぬるぬるしたり臭ったりすることがありますが、これは表面の細菌が増殖することによって起こります。抗菌加工製品は表面の細菌の増殖を抑制するだけで、それ以外の細菌は死滅させないものです。したがって、皮膚などの常在菌に対する作用はほとんどなく自然界の微生物に影響を及ぼしません。

2. 抗菌コーティングの安全性

抗菌コーティングの安全性について確認される項目は一般的に、急性経口毒性・皮膚一次刺激性・皮膚感作性・変異原性の各試験において人体への安全性を確認します。
急性経口毒性試験は飲み込んだ時の有害性を、皮膚一次刺激性試験は長く触れた時の炎症などを試験します。また、皮膚感作性試験はアレルギーを、変異原性試験は遺伝子 (DNA) の影響をそれぞれ調べます。
SIAA(社団法人抗菌製品技術協議会)認証マークは、上記の項目※をクリアした製品にのみ付けることが出来ますので、安心して使用できます。
※SIAA認証マークは、経産省の抗菌加工製品ガイドライン・JISの基準・抗菌製品技術協議会の自主基準に適合しています。

本記事は抗菌コーティングを製造・販売するFCR株式会社様に監修を頂きました。

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