監修:株式会社REVOX
図面検索システムとは
製造業において、企業内で描いた図面をデータベースに登録、管理し過去の実績データを基にすぐに探し出すことができるシステムを指します。
製造業では主に、営業、設計、調達の部門にて使用されることが多く過去実績の図面の抽出作業を効率化することが可能です。
また、最近ではAI技術を用いて、簡単で精度もよく誰でも簡単に参考図面や類似の図面を探すことができるシステムが現在増えてきています。
図面検索システムは、PCとDB(データベース)サーバー、あるいはクラウドから構成されます。
図面を取り込む際に、予め顧客情報、製品情報、見積情報や価格などマスターとなるデータを入力することで、AIが過去の実績として学習するため、様々な切り口で検索をすぐすることができ導入効果が大きく見込めます。
また、元々、図面の管理や検索については、「紙」をベースに保管していてそのペーパーレス化ができている企業は多くありません。
そのため、図面を紛失してしまったり、図面がかさばってしまい探すのがかなり手間である、といった課題が目立っていました。
このような問題を解決するために、開発されたのが図面検索システムです。
図面検索システムの使用用途
図面検索システムの使用目的は主に2つあります。
- 類似品の設計、製造の防止
- 迅速な予算取り
それらが主に使用される分野は以下のとおりです。
産業
- 大手メーカー
- アセンブリメーカー
- 部品、材料商社
- 中小部品メーカー
類似図面検索における主な加工
主な対象となる分野
- 産業機械
- 車両
- 半導体
- 家電、OA
- 医療
- 航空、宇宙
図面検索システムの原理
類似図面検索ができるシステムは主にPDFの2D図面を対象とするシステムがリリースされてきており、大きく3つの算出方式があります。
1. 図面から形状だけをAIが認識して算出するタイプ
- メリット :人の手間がかからない。情報量で精度が上がる
- デメリット:情報量がある程度必要
2. 図面に人が形状を認識させて算出するタイプ
- メリット :類似品の算出までの時間が高速
- デメリット:手間がかかる
3. 図面の形状をモデリング化して算出するタイプ
- メリット :精度が高くなる傾向がある
- デメリット:コストメリットを考えるハードルが上がる
保管先のDBサーバーには、図面や実績を保管でき、蓄積することができます。しかしながらDBサーバーで保管する要領には限界があり、近年では、クラウドを活用したサービスが主流になりつつあります。
最近では、図面の取り込むファイルの形式の種類については、PDFが主流です。
紙で図面を保管している場合、探すのに時間がかかり無駄な手間がかかってしまいますので、紙の図面をスキャンしPDF化したうえで、図面検索システムに取り込むことで類似図面を探す手間を簡略化することができます。
■ 一般的な類似図面検索の作業手順
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先ず手書きの図面、Excelで描かれた図面などPDF化します。
次に、PDF化した図面を取り込み、情報となるデータを入力します。
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図面検索・参考図面の引き出し
新規で取り入れた図面の類似実績からAIが他の図面を検索し表示されます。
検索方法については、AIが図面の形状から判断をし、類似度の近いものが参考図面として表示されます。他にも、図面の属性情報を用いた検索や図面内に記載されている文字などの仕様による検索も可能となっています。
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過去の図面とデータの活用
図面を検索した後に、図面の過去見積をした価格と見積にかかった工程を見える化することが可能です。
又、AIを駆使したシステムのため、検索結果の良否をフィードバックすることで、学習効果でさらに図面を検索する精度が上がります。
他の機能として導入した企業ごとの顧客別の受注率、機械別の受注率、製品別の受注率、担当者別の受注率、等の情報を集計できます。そのため失注の要因が明確になり、最適なリソースの配置や今後の見込客や傾向を分析でき、改善に繋がります。
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受発注管理・生産管理システム
図面検索システムでは、案件毎をCSVファイルとして抽出することで受発注管理と紐づけることが可能です。
図面検索システムによる効果
図面検索システムの導入によって主に3つの効果が期待できます。
1.設計業務の効率化・標準化
過去に製作をした類似図面を何度でも利用できるため、1から設計をする必要がなくなり、類似図面を探す手間が省け、スピードが飛躍的に上がります。
図面の改訂前後の変更箇所が一目で把握できるため、ミス防止に効果が出ます。また、紙で図面を保管をする必要がなくなるので、物理的に紙がかさばらなくて済むうえ、ペーパーレス化もできます。
2. 迅速な予算取り・指値対応・購買価格の是正
サプライヤーなどに発注した図面とそれに伴うサプライヤー名、購買日、価格などの情報を登録することで、類似図面を検索したときにその情報を迅速に得られます。それにより見積りをしなくても自社で予算取りを迅速にしたり、サプライヤーに指値で問い合わせたり、見積回答が来たときの価格が妥当かを判断できるようになります。
3. 生産現場と営業の合理化
過去の実績とデータを生産管理システムに取り入れることができるため、データの分析ができることで、生産性の向上を図ることが可能になり、製造部と営業部毎で本来の仕事ができるようになります。
本記事は図面検索システムを製造・販売する株式会社REVOX様に監修を頂きました。
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